五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん   作:五条悟のディスク

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なんか筆が乗りまして。

2021年2月3日:オリ主が弱いという不具合を修正。夏油先輩のおなかに穴が開きました。あと停止できる時間の調整。







先輩とは強いものやん

先手必勝

 

片手で掌印を組み術式を行使する。一瞬で戦闘行動を封じるために一転集中の最大出力で重力負荷をかけるが、いままでの呪術師としての経験をもとに危機を察知した夏油先輩にかわされてしまう。二連三連と連続で術式を行使するがどれも躱されてしまう。

 

「どうしたんだい?手に取るように狙いがわかるよ」

 

嘘つけ。今の術式の設定は範囲内乱数座標選択、自身を原点に取った時に考えることができる定義範囲内の座標を範囲付き乱数で指定した攻撃を混ぜているのだ。夏油先輩を捉えようとする本命の攻撃以外の乱数術式に俺の意図は介在していない。

 

しかし現にそのおとりも含めすべての攻撃を躱されている。やはり特級とされた呪術師ということだ。才能と培った経験が夏油先輩を守っている。

 

点で狙えないなら面を狙うしかない。呪力量と精度が上がった今でさえ面定義の術式行使は疲労を伴うため使いたくはなかったが短期決戦、絶好の機会を逃すわけにはいかない。

 

両手(・・)で掌印を組んで術式を行使する。

 

片腕の欠損により掌印を組むことはもう無理かと諦めていたがこの義手によって可能となった。要は掌印とは術式を呼び出すためのルーティンなのだ。つまるところ自分の意思をどれくらい固く持つことができるか。義手を自身の腕だと誤認することで通常通り掌印を組めるように自分を騙したのだ。

 

天重維谷(てんじゅういこく)ッ!!」

 

点ではなく面での制圧、当然術式範囲内にいる夏油先輩も先ほどのような素早さで動くことはできない。もし行動に制限を駆けられるなら確定で黒閃を使える俺にも勝機がある。さらには体内の時間加速による疑似的な時間停止、今の俺なら近接戦闘でアドバンテージがある。

 

一息で夏油先輩に迫る。全身に動きに不自由を感じるほどの負荷がかかっているはずのにいまだ余裕の笑みは絶えない。

 

一瞬で最高速度まで加速し夏油先輩に接近する。地面から触手のような呪霊が俺を捉えようと伸びるがそのすべてを押し潰して無力化する。

 

視線が逸れたその一瞬で展開された咢を開く龍型の呪霊が俺の視界のすべてを覆う。左の拳で黒閃を放ち爆殺、左手を引く形でより速度を増した右の拳で夏油先輩を殴り飛ばす。黒い閃光が胴を貫く。

 

当然重要な臓器のいくつかをまとめて消し飛んだため、当然致命傷だ。

 

「なんで立ってられるんですか...」

 

「これを見せるのは初めてじゃないと思うんだけどね」

 

不敵な笑みを浮かべながらパチンと指を鳴らす。空間が揺らぎ夏油先輩の体が一回り大きくなったように見えた。いや、正しくは全身を包むように呪霊が巻き付いていた。

 

「初対面の時に君が気付いた呪霊を見落とすなんて」

 

対象者の呪力と同化することでその姿を隠し、呪力的な感知にも光学的な感知からも逃れる高隠密性の呪霊。違いと言えば腕にまとわりつく程度のものが全身を覆ってもなお余裕があるほど大きいという点だろうか。

 

「君の重力操作の術式、その弱点だ。流石に私も点での負荷は耐えられなかったが、面となれば話は別だ。大きくはないものの負荷をかけてその間に君自身が攻撃を繰り出す。この術式の弱点はね、負荷の影響を跳ね返せるほどの力を持っていれば何の効果もないということなんだよ」

 

パワードスーツのように全身にまとわりつく呪霊が夏油先輩の一挙手一投足を物理的に強化しているというわけか。たしかに簡単に言えばただ重くなった程度、それを無視できるほどの力があればいつも通りに動けるというわけだ。全くの盲点だった。

 

それに空洞になっているはずの体でなぜ立っていられるのか。あの調子だと呪霊を使って生命器官を代行して補っていることだろうか。いたって平静に思えるが、若干の脂汗が見て取れる。この状況が長く続くことは夏油先輩的にも避けたいはずだ。

 

唯一効果がある『点』での負荷は避けられ当たらない、面での負荷も物理強化を受けている今効果は期待できない。点無による圧縮も対象の座標を定義できなければ当たらない。お昼過ぎの街のど真ん中であることから地爆天星も論外。となれば俺に残された手、それは俺が夏油先輩を上回る速度で動くこと。永永無窮による時間停止で距離を詰め、黒閃での一撃をもってして行動不能に持っていく。

 

 

できれば殺したくない(・・・・・・・・・・)

 

 

狙うは動きの基本、脚だ。それに天重維谷の面制圧の限界がこの程度だと思っているはず。使えるなら最初から使うと思うだろう。実際にはそれ相応の呪力を使うため出し渋った結果肉体強化で脱せる程度の負荷しか与えられなかった。

 

選ぶのは予備動作なしで使うために最も早く掌印のショートカットを実用化した術式。

 

永永無窮(えいえいむきゅう)

 

光の速度で動く俺と相対的に世界が停滞する。鳥も風も、水の流れに呪力になびく裾さえも停止したモノクロカラーの世界を駆ける。今の俺が止められる時間は高専時代から大きく伸び6秒、これだけあれば接近して脚を確実に狙って黒閃が放てる。

 

狙うは右脚の脹脛、動きの起点となる利き脚と胴を繋ぐ器官。多量出血によるショックがあったとしても反転術式で巻き戻せる。今は確実に夏油先輩を捉えることだけを考えろ。

 

残りコンマ数秒で拳を振りかぶる。何度も何度も練習をした呪力の流れを感じる。

 

黒閃

 

世界が色彩を取り戻すのと同時に一瞬だけ負荷を数倍までに引き上げる。完全に動きが止まった夏油先輩の右足を黒閃の一撃をもって吹き飛ばした。

 

次の一手を、前を向いた瞬間。夏油先輩の右脚に左側頭部を蹴り飛ばされた。一瞬の停滞、その後公園に生える木々をなぎ倒しながら一直線に飛んでいく。頭だけが取れてなくなるのではないかと疑いたくなる衝撃が俺を襲うが瞬時に行われた呪力による肉体強化によって致命傷を免れる。

 

光が瞬く頭を抱え、血を吐きながら何が起きたか考える。混乱する脳をリセットするために今さっき夏油先輩に攻撃をくらう前の状態まで体を巻き戻す。

 

間違いなく俺は夏油先輩の脚を吹き飛ばした。ないもので攻撃はできない、しかし現に右脚を振りぬいて俺の頭を蹴り飛ばした。

 

「だから円李、君は甘いんだよ。君は私を殺すつもりで攻撃を放つべきだった。少なくともこの呪霊を吹き飛ばすぐらいはしなきゃいけなかったんだよ」

 

僧衣の襟を正しながら何もなかったように人の脚とはいささか表現しにくい膨らんだ右脚をさすりながら歩いてこちらに向かう夏油先輩。

 

なるほどそういうことか。重力負荷を跳ね返すほどの出力を持つ全身を覆う呪霊、吹き飛んだ右脚の代わりとしてその呪霊を使ったというわけだ。確かに脚の自由を奪ったかもしれないが、本当の意味で奪うことはできてなかったということだ。

 

「殺しませんよ、俺は」

 

「...来るか」

 

「必ずここであなたを抑えます。夏油先輩」

 

全身に呪力が漲る。夏油先輩の帳の中に取り残された生徒のこともある、あまりここで時間をとっていられない。

 

一瞬で終わらせる。

 

想起するのは満月に最も近い場所。加速の始まりの地を現実世界に持ってくる。

 

対象は目の前、夏油先輩。加速する世界と夏油先輩の中に流れる時間の差によって生じる感覚の混濁を利用して意識を奪い無力化する。

 

「領域展開、暁月匆そ---」

 

空間が侵食され月と太陽が帯を引く世界が現れるが、目の前にいたはずの夏油先輩の姿が一本の苦無と入れ替わる形で忽然と消滅する。

 

「それは!?」

 

飛来閃雷(ひらいせんらい)』。特級呪具であるこの苦無の効果は対象との置換。俺の領域展開が捉える範囲外まで瞬間移動されたということだ。

 

『必中必殺の領域展開、さすがにそれを打開する術を私は持たないのでね。ここらへんで退散させてもらうよ。最近話題の里香ちゃんは見れなかったけど』

 

エコーのかかったような朧な声が脳内に響く。

 

『......またね、円李。悟によろしく、きっとすぐ会えるよ』

 

まるで電話越しに次会う約束をして別れるかのような軽い言葉。結果的に何もできなかったことに気が付く。

 

「クソッ!!」

 

地面に拳を叩きつける。小石が肌を切り裂いたのか、痛みともに血が流れるが治す気にもなれなかった。

 

「そうだ棘、憂太!!」

 

彼らは無事なのか、自身がやらなくてはならないことを思い出し走り出す。現場保存のため外から入れないように設定した帳を念のために降ろしてから商店街に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のミスです。ずっと嫌な予感はしてたんです、もっと近い場所、商店街の中で控えておくべきでした」

 

「いや、タラれば話をしてもしょうがないさ。結果的に棘と憂太に大きな怪我もなく準一級レベルの呪いを祓えたんだ。今回は貴重な経験ができたということで次同じ事が起きないように努めよう」

 

職員室の隅、パーテーションで区切られた談話室で五条先輩に事の顛末を説明する。しばらくお茶を啜る音だけが響く。

 

「それで、ほかにもあるんだろう」

 

「...はい。夏油先輩が、あの場にいました」

 

あの呪力、間違えるわけがない。

 

念のため吹き飛ばされた右脚と現場検証から見つかった残穢を高専に登録してあるデータと比較して検査をしたが100%夏油先輩本人であると証明された。

 

「それに高専で保有していたはずの『飛来閃雷(ひらいせんらい)』の所持。六年前に紛失事件があったって聞いてたけど傑がもってたと」

 

「領域に閉じ込める前に逃げられました。俺は...」

 

「いや今回は傑のほうが一枚上手だったってことだ。流石は五人の特級の一人、円李の数少ない先輩ってわけだよ」

 

一息にお茶を煽り、お茶うけの煎餅の封を切る。

 

「それになんか嫌な予感がずっとするんです」

 

「嫌な予感、ね。傑の件もあるしその予感が当たる日は意外と近いかもしんないね」

 

ゴホンと五条先輩が大げさに咳をする。

 

「まあいつになるかわからないことをずっと警戒していても先にこっちが消耗するだけさ。今の呪術高専には最強の呪術師とその次がいるんだ。僕たちはいつでも動けるようにすることを第一に警戒をしていこう。それに今年は京都で交流戦だしねー。せっかくだし僕が京都で一押しのお店、円李に紹介しちゃうよ~ん」

 

明るくお道化る五条先輩の言葉についつい笑みをこぼしてしまう。やっぱり先輩として頼りになるなと思う。

 

「そうですね。それに京都校のほうにも連絡はしておいたほうがいいかもです。交流戦のついでに声掛けに行きましょうか」

 

「お、それいーね。楽巌寺のじいちゃんには何持ってこうか、是非喜んでくれるようなものがいいよね」

 

ニヤニヤと悪だくみをするときの表情を浮かべる姿にため息をつく。

 

上層部の中でもトップに立ち古い考えの保守派筆頭である京都校校長の楽巌寺校長は当然異分子たる五条先輩を毛嫌いし何度も邪魔をしてきた。同様に五条先輩も楽巌寺校長のことが大嫌いだ。

 

きっと喜ぶと書いて嫌がると読むようなものを選ぶに違いない。

 

この前みたいに生徒にまで影響が出ないほどほどにしてほしいと思うがどうだろうか。

 

五条先輩ならうまくやりそうと思う反面、加減を知らなそうとも思う。

 

そんなことを考えながら、いつの間にか前向きな思考に至っていることに気が付きやはり五条先輩にはかなわないと再確認したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このまま0巻完結まで走りたい。

ちなみにツイッターで本誌のネタバレをくらって悲しい。なんか海外に行ってそうな名前に惹かれてトレンドに飛んだのが間違えだった...

早く単行本出て欲しい(単行本派

ちなみにネタバレした奴は消します。

なんか本作に影響しそうなことがありそうですが、単行本で私が確認し次第訂正します。よろです。

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