五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん   作:五条悟のディスク

23 / 26
京都に五条先輩と伊地知がいます。純粋に圧倒的火力を持つ二人を東京にはおかないだろうと。




始まるじゃん

 

「今度こそ夏油という呪いを完全に祓う、ね」

 

東京の中心、新宿の大交差点のど真ん中に立ち先日の集会の様子を思い出す。

 

全国の呪術師関係者が集まって行われた集会、夜蛾校長を中心に行われた『百鬼夜行』に向けた準備の中で俺の直感に引っかかる点があったのだ。

 

五条先輩も話していた通り、今回の宣戦布告には不審な点があるのだ。

 

夏油先輩の術式は取り込んだ呪霊を操ることができる呪霊操術。高専時代から所持していた呪霊は申請があったためこちら側で概要を掴んでおり、系統的にそのほとんどが二級呪霊。宗教団体を呼び水に信者から呪いを集めていたことが調査によってわかった。だとしても一般の人間の負の感情から発生する呪いは確かに高くても二級に至るかどうか。

 

各地に千の呪霊、合わせて二千の呪霊をばら撒くのがハッタリとは思いにくい。

 

『OB、OGそれから御三家。アイヌの呪術連にも協力を要請しろ。今度こそ夏油という呪いを完全に祓う!!』

 

と夜蛾先生の気合の入った言葉で集会は終わった。

 

呪詛師に関しても大きく見積もって五十ほど。こちらの予想される規模であったら十分に勝算がある。夏油先輩の負け戦になりかねない。しかし本当に負けが見えている試合に正面からあの夏油先輩がやってくるだろうか。

 

気になる点というのがこれだ。

 

この新宿に来た時からずっと何かを見落としているような気がしてならない。

 

「そんなに難しい顔してどうしたのさパパ」

 

「しゃけ」

 

「だからパパと呼ぶな」

 

今回の戦争のバックアップとして参戦することになったパンダと棘が声をかけてくる。基本的に一年と二年は高専で待機命令なのだが、夜蛾先生のお気に入りと広範囲に術式を行使することでアシストに回れる棘は後方支援という形で参戦している。

 

「いやなに、一人めんどくさそうなのがいるなと思ってな」

 

心配させぬように努めて別の話題を振る。並ぶビル群の上、屋上の広告の上に立つ肌の黒い外国人。あの男から感じる雰囲気はほかの呪詛師を比べてもなかなかに異質だ。警戒するに越したことはない。

 

開戦の狼煙はまだ上がらない。お互いに対面したままだ。

 

(日本の中心地、夏油先輩が出てくるならこっちだと思ったんだけど)

 

そうして遠くの空、ビルとビルの隙間から大量の呪霊を乗せたジンベイザメのような呪霊が姿を見せる。おそらくあれが今回用意した呪いだろう。

 

「あれ」

 

そういえば、ふと思い出した情報が脳内を巡る。

 

夏油先輩の呪霊操術は自身の手元から、遠くとも自身から数メートルの距離でしか呪霊を展開できない。先日の高専へ宣戦布告しに来た時もそうだ。高専時代よりも呪霊の展開速度は上がったかもしれないが、遠く離れた場所で任意の場所に呪霊を展開することはできないはず。もしできれば呪術師を影から刺して減らすことだってできるはずだ。

 

だがあの大量の呪霊は何だ。今出したのか?

 

もし夏油先輩がこの場にいたとして、呪霊を出した後の行動は?ここにいたら距離的に京都に呪霊を展開できないのではないのか?

 

もしかしたら事前に大量の呪霊を展開しておき、ここに当人である夏油先輩はおらずどこか別のところにいるのではないか?

 

 

『そんなことを言っている場合か!折本里香が暴走していれば街一つ消えていたかもしれないのだぞ!!』

 

 

 

『今いいところなんだ、邪魔するのはやめてもらっていいかな?』

 

 

『最近話題の里香ちゃんは見れなかったけど』

 

 

 

『きっとすぐ会えるよ』

 

 

 

そうだ、そうだそうだ!!

 

この負け戦を勝ち戦にひっくり返す手札を我々、こちら側が持っているじゃないか。

 

五条先輩を驚かせるほどの圧倒的呪力量、広範囲に及ぶ強大な火力。呪霊を御する夏油先輩もまた操ることができる最強の切り札が。

 

「狙いは高専!! パンダ、棘!!」

 

「どうし―――」

 

「質問は無しだ、今から二人を高専にむけて光速で投射する」

 

「なんで!?」

 

「この前の男、夏油先輩はたぶん高専にいる。絶対に渡しちゃならないものがあるんだよ、頼みたいことは!!最悪の場合憂太と真希が死ぬ!!」

 

質問無しといった手前ではあるが、状況がわからなければ打てる手も打てない。主人たる憂太さえ無事なら里香ちゃんが夏油先輩の手に渡ることもないはずだ。

 

そんじょそこいらの呪いとは異なるレベルで呪われている憂太から呪い(里香ちゃん)を引きはがして手中に収めることはできないだろう。憂太さえ生きていればその最悪の場合もないだろう。

 

そしておそらくパンダと棘は夏油先輩に勝てない(・・・・)。俺の仕込んだ術式での強化とか呪言とかそんなんじゃない。夏油先輩は五人しかいない特級の一人、そうやすやすとやられてくれるわけがない。高専のすべては憂太に委ねられた。あの二人(パンダと棘)は起爆剤だ、ぶっつけ本番で里香ちゃんを御するための起爆剤。

 

こんな方法でしか現状を解決することができない事実に歯噛みをするが今はこれが最善手だ。

 

俺が直接高専に出向く手もあるにはあるがこれはこれで問題がある。この地には多くの呪術師がいるものの、こちらが勝ちきるには俺という人間がこの場に必要なのだ。それに五条先輩もこの異常に気が付いているはず、すぐにこちらに向かってくるだろう。京都には御三家の本家があるので呪術戦の戦力としては申し分ない。戦力の偏りを恐れて俺と五条先輩を別々に配置したわけだが、五条先輩ならすぐに戻ってきてくれるだろう。

 

 

内心で頭を下げながら術式を行使する。大柄なパンダも含むように直方体の形に呪力が奔り二人を囲んだ。

 

先日考えていた攻撃術式、粒子を光速で相手にぶち当てるという術式の応用。高専の方角に光速で発射した対象物(パンダと棘)に重力負荷をかけて無理やりまげて山なりに投射する。体にかかる負荷は事前に仕込んでおく反転術式で常に回復させる。瞬間移動とはちょっと異なるが一秒で地球を七周半する光速で移動すれば誤差だ。

 

「頼んだぞ!!」

 

「おう!!」

 

「しゃけ!!」

 

目標座標は高専、その中でも一等嫌な予感がする高専の中庭に設定する。二人を囲む空間に、体に呪力が充填される。

 

空に昇る呪力の残留を残しながら目前から二人の姿が消えた。

 

 

開戦

 

 

周囲に散漫していた呪力が集まり励起する。様子見をしているようだった呪霊たちが各々活動を開始した。

 

「お前らに構ってる時間なんてないんだよ!」

 

今回のために広範囲における人避けと認識阻害の帳が降ろされている。事前にお願いしたように帳の最大高度をかなり高くしてもらった。ここなら使える広範囲に及ぶ殲滅術式がある。この場に集まった呪術師が呪いに向けて攻撃を開始する中、新宿の上空に意識を向ける。

 

術式を行使するために掌印を組もうとしたその瞬間、異質な雰囲気を放つ縄が俺を襲う。

 

すべての攻撃に対して俺に進むにつれて相対的に遅くなるように作用するはずなのだが、減速空間を打ち消して越え俺の腕に迫る。接触する直前に、呪力で強化した腕でそれを弾いた。

 

「アンタノ相手ハ、俺ダヨ...特級」

 

「あいにくお前に構ってる暇はないんだよ」

 

案の定、俺の眼前には事前に厄介そうだとマークしていた外人術師が立っていた。手には様々な種類のひもが編み込まれているような縄の束。

 

絵にかいたような片言の言葉に多少の苛立ちを抱え、反撃する形で呪力を込めた打撃を放つ。しかし縄を用いた予測しにくい攻撃の軌道にそらされてしまった。 

 

その後も一手二手と攻撃を連ねるがどれも有効打には至らなかった。縄のせいというのも考えられるが、素の能力値でもこの男はかなりのやり手なのだと評価を一段階上げる。

 

(それに...さっきから感じてた違和感、正体はあいつじゃなくてあいつが持ってる()か)

 

さっきの呪力を帯びた打撃もそうだ。纏う呪力が解かれて霧散する、呪力が乱される。呪力だけじゃない、減速による停止術式を打ち消した点から術式をも乱す。

 

 

厄介だ。

 

 

呪具であるあの縄を取り上げてしまえばいいがそのための術式をも乱される。

 

相対的に時間のズレを任意に引き起こして胴に一撃を叩きこむ。そこに生まれた隙に渾身の回し蹴り。縄と体の動きを合わせることによって衝撃を受け流そうとするも、すべてを無力化することができずに後方のビルへと吹っ飛んでいった。いまの一撃を喰らったのならすぐには起きてこれないはずだし多少時間は稼げる。

 

黒閃を用いた攻撃でなら衝撃で倒せるかもしれないが、黒閃を使うには相当の精神力がいる。身体的なケガや消耗は反転術式によってすべてを無効化できるが、精神的なものは治癒することができないため皮肉なことにそれこそ時間の経過でしか癒すことができない。夏油先輩という親玉がまだ控えていることもありこの場で消耗することはできるだけ避けたい。

 

現状、こちらがアドバンテージを確保しつつ戦うことができている。高専にいるはずの四人のことも気になる。この状況を維持したままできるだけ迅速に無力化する。あの男さえなんとかできればあとはこの場にいる術師に任せて問題ないはずだ。今のうちに他の術師の手に余りそうな呪いを叩き潰しておこう。

 

交差点の真ん中にトラックほどの大きさの中型呪霊、ビルの屋上に寄生する大型呪霊エトセトラエトセトラ。こちらの損害はそれなり、此度の戦争においてまだ致命的とは言えないものの敵味方問わずに死人を出したくないという俺の意思を貫き通すためにはそろそろ決着をつけてしまいたい。

 

中型呪霊の相手をしていた術師を円形上外側に引き寄せて空間を作り圧殺する。大型に関しては術師の攻撃が届きにくいという点からなかなか攻撃が通らないことでこちら側が押され気味になっているだけで、圧倒的に強いわけではない。なので屋上との接続点になっている手の形状の柱を捻じり切ると地面に叩き落とす。俺の意図に気が付いてくれた術師が動いてくれているのであとは任せても大丈夫だろう。

 

あの男が飛んで行った方向に落下しながら、そこいらをうろうろしていた呪いを可能な限り叩き落す。中型の呪霊に関しては呪力の刃で切断し分割してほかの術師に任せる。

 

そうして吹き飛ばした先、線路沿いに並ぶ住宅街の一角に立つ。

 

「はぁ!?ミゲル、アンタ何してんの!!?」

 

「見テワカレ!!」

 

なるほど、この術師の名前はミゲルというのか。

 

そのミゲルとやり取りをしていたのは白黒と特徴的な女子高生二人、夏油先輩による宣戦布告の時に高専にも来ていた子と同じだ。

 

そしてその女子高生二人と対面するように立っていたのは

 

「灰原!?」

 

「円李じゃないか!!」

 

おそらく補助監督として参戦していただろう灰原が対面して立っていた。

 

灰原の隣に降り立ち呼吸を整える。

 

「状況は?」

 

「うん!あの子たちによる被害がそれなりにある!!僕がもう少し早ければ間に合ったのにね!!」

 

灰原の目線を追うと商店街の入り口にあたる門に首つりにされた補助監督の姿が三つ。幸いなことにまだ死んではいないようなので、首つりの縄を切断し落下の際の衝撃を反対側への引力を加えることで緩和して落下させる。合わせて反転術式による治癒を行う。

 

「助かったよ円李!!」

 

「さて、とりあえず後は目の前のかな」

 

「誰だよアンタ」

 

「邪魔するんなら吊るすけど」

 

対面する女子高生二人が手にはそれぞれの呪具と思わしきもの。黒のセーラー服の子は首にあたる部分に縄が締め付けられたてるてる坊主のような人形、シャツにセーターを着た子は残穢を感じるおそらく術式を行使するカギになるであろう携帯電話。見たところ補助監督を吊るしたのは黒の女子高生だろう。

 

「人を殺したことは?」

 

「まだ」

 

「ならまだ引き返せる。その力を人に向けちゃぁいけない」

 

初めて人を殺すという行為には莫大なエネルギーを要する。それは社会的に構成された生まれ持っての倫理や常識によって構成されたある種の壁を壊すことによって初めて殺害という行動を選択できるようになるからだ。逆に、一度人を殺すという経験をしてしまえばそれ以降は簡単に人を殺すことができてしまう。

 

文字通りまだ人としてやり直すことができる。

 

「....うっざ」

 

しかし帰ってきた返答は否定だった。

 

そうして少しずつ、しかし確かに自身たちが受けた扱いを話す。地図にも載ってない田舎町で呪術師がどのような扱いを受けているのか、そしてそんな地獄から彼女らを救い上げた夏油先輩の話。

 

「私達はあの人(夏油傑)が見据える世界を信じてる。誰も私達の邪魔はさせない!!」

 

「邪魔するやつは、吊るしてやる!!」

 

携帯電話のフラッシュが焚かれると同時に首に圧迫感を感じる。白色の目くらましに黒色の術式と考えるのが妥当だろう。縄が首を絞めつけようとするも、やがてほぼ停止しているかのように減速する。ほぼ完全に停止したそれを呪力で切断する。

 

白色の携帯電話に呪力が集まっていくのを感じる。おそらく先ほどのフラッシュはブラフで、次の攻撃が本命。カメラのレンズ部分に呪力が集中していることから、カメラの撮影で姿を収めた対象の干渉する類の術式だろう。なら対策はシンプル、カメラに映らなければいいのだ。

 

「灰原!!」

 

「応!!」

 

俺の考えをくみ取り灰原も動き出す。人差し指に纏った炎で縄を焼き切ると、そのまま今度は大地を切断するかのように地面に指をなぞる。その軌跡をたどるように、両者を分断する形で炎の壁が形成された。

 

補助監督は多少呪術の心得がある程度で実際に戦える人はわずかで、灰原は隻腕の身でありながらそれなりに戦える数少ないうちの一人。

 

熱炎術式(ねつえんじゅつしき)』、文字通り熱を操り火を操る術式。熱血キャラの灰原を体現するかのような術式だ。

 

完全に遮ることはできなかったとしても火炎の陽炎による揺らぎで正確に俺たちの姿をカメラでとらえることはできないだろう。

 

空を裂く音。

 

「そりゃ、()狙ってくるよな」

 

「バケモンガ!!」

 

呪力操作によるごり押しで炎の壁を抜けて飛んでくる縄を弾く。同時に、灰原もこの中では目前の男が一番実力があると判断し合わせて攻撃を仕掛ける。

 

しかし追撃を仕掛けようとした灰原の体の動きが不自然に鈍くなる。

 

白色を基調としたスマホケースが呪力で覆われ黒色へと変色し、呪具とかしたスマートフォンをカーブミラーに向けている姿が目に入る。

 

陽炎の壁を避けて通した射線に写った灰原があの白色の術式をくらった影響だろう。

 

出し惜しみはしていられないか。

 

呪詛師側とは異なり、こちら側は基本的に死人が出たらお終い。対夏油先輩の可能性を恐れて出し惜しみをして死人が出てしまえば負けだ。

 

「永永無窮!!」

 

世界の流れが止まる。

 

灰原のスーツを引っ張るように引き寄せて自身と立ち位置を入れ替えて前に出る。時間停止に加えて呪力の精密操作で精神力がゴリゴリ削られていくがガッツで何とかするしかない。

 

 

黒閃(こくせん)!!

 

 

世界が流れ出すと同時に先ほどの蹴りの時は時とは比べ物にならない速度で吹き飛び民家をいくつも突き破って飛んで行った。多少の違和感を感じつつ女子高生二人に向けた術式を呼び出す。

 

出力は通常の負荷の三倍、おそらくミゲルほど肉体面は秀でていないと判断し重力負荷をかける。そうして膝をつき地に伏せた二人から灰原が呪具(首つり縄とスマホ)を取り上げる。

 

「ぐ、何すんのよ!!」

 

「返して!!」

 

未経験の高負荷を受けてもなおもがく二人に近づき、額に指をあてて呪力操作の応用で意識を奪う。

 

あらかじめ呪詛師を拘束するための呪具を携帯していた灰原が片手で器用に意識のない二人を拘束する。

 

「助けてくれてありがとう!!と言っても助けてもらったことは見えてもいないんだけどね!!」

 

「こちらこそだよ。とっさに合わせてくれて助かった」

 

「どういたしまして!!さて、あの男の人はどうなったかな!?」

 

「...なんで黒閃ぶち当てたのに立ってんだよ」

 

「服ニモ編ミ込ンデ正解ダッタナ。ナカッタラ死ンデタカモナァ...!」

 

服にも武器の糸が編み込んであるせいで呪力が乱れて、その結果呪力によるひずみを利用する黒閃も起きなかったのか。

 

しかし、衣服の一部が剝げ肌が露出している箇所があった。それに加えて俺の術式を弾く代わりに煙を上げて短くなる縄。消えてなくなる代償に術式を無効化するのであればもうあちらに防御策は多く残されていない。

 

だが油断はできない。であれば

 

「灰原、ほかの補助監督のカバーに向かってくれ。さっきの感じだと、呪術師そっちのけで補助監督から狙ってるやつもいるかもしれない」

 

「わかったよ!!円李も死なないでね!!」

 

屋根伝いに消える灰原を見送り、次にミゲルに目を向ける。

 

作戦変更だ。一刻も早くこの場を収めて高専に向かう。

 

夏油先輩を倒し切ることはできなくても、五条先輩が到着するまでの時間稼ぎにはなるはずだ。今求められるのは一刻も早く教え子のもとに向かうこと。

 

「悪いがさっさと終わりにさせてもらうぞ」

 

「本気ジャナカッタノカ、フザケタ男ダ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(夏油カラ聞イテイタ時間停止ニヨル確定攻撃。縄ノオカゲデ黒閃ハ防ゲタガ、ソレモモウ半分モノコッテナイ)

 

 

『円李はね、ある種の天才なのさ。原子レベルにまで干渉する無下限呪術を自由自在に操れるのは悟のもつ六眼あってのもの。対して円李も重力操作から転ずるあらゆる量子現象を操るけど特別な眼は持ち合わせていないんだよ』

 

『幼少期、円李は富士樹海の土地神の元、呪術を独学で磨きながら育ったそうだ、本人から聞いた話なんだけどね。そして神と時間を過ごしたものには神の気(・・・)が流れ込むわけだ。』

 

『そうして全く別の上位存在から祝福された体は文字通り人間離れした体へと移り変わっていくわけ。円李は人でありながら人という枠組みを脱しようとしているんだよ』

 

『まぁ、何が言いたいかって話なんだけど』

 

『甘ちゃんの円李のことだから死ぬことはないと思うけど』

 

『悟とは別ベクトルで最強だよ、円李は』

 

 

 

(ノルママデアト10分弱、死ヌコトハナイカ)

 

目前に見えるのはあきらかに先ほどより呪力を濃く纏う、片手で数えることができる特級呪術師、節円李。こちらに向けられた圧を前にして自然に脚が後ろに下がる。

 

「死ンダラ祟ルゾ!!夏油!!」

 

 

こうして、ミゲルの短くて長い対円李遅滞戦闘が始まった。

 

 

 





お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいました。

この話マジでまとまらなくて考え続けるうちにモチベが死んでこのままだとよくないと思いいったん離れてました。

暫く更新は続きそうな気がしますので、今後も本作をよろしくお願いします。

あと、感想・評価ありがとうございます。いつも私の起爆剤になってくれています。ぜひよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。