五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん 作:五条悟のディスク
あったけぇ...寒い中家にやっと帰ってきて飲む味噌汁くらいあったかい。
ひと段落じゃん
○月○日
やっと落ち着いたのでここ最近あったことを書いておこうと思う。
結論から言うと、夏油先輩の目論見は無事阻止されたらしい。東京高専一年は憂太を除いて大怪我ではあるものの、なんと憂太の反転術式によって事なきを得たらしい。
聞くところによると憂太の本質はどんな形にもなれる無形の呪力であり、しかも保有呪力量が五条先輩並みとのこと。潜在能力がとんでもないとは思っていたけれどもこれほどとは思っていなかった。
ちなみに夏油先輩の遺体は五条先輩に完全に任せた。俺もそれなりに仲良くさせてもらったが、やっぱり二人にしてもらいたい瞬間とかあるだろう。二人の中で納得できる終わり方はできたのだろうか?
個人的にはこの後のほうが大変だった。
まずは憂太にぶん殴られたことだ。特級である夏油先輩にパンダと棘がかなわないと知っていて時間稼ぎのために送り込んだこと、また二人が傷つくさまをきっかけにしようとしたことをわかっていたのにあの選択をとったことを打ち明けたからだ。
憂太のポテンシャルと里香ちゃんに賭けるしかなかったし、俺も五条先輩も向うことが難しい状況的に最善であるとその時考えた手であったが。「僕がうまくできなかったせいかもしれない、でももうこんなことはしないでください」と言われて左頬に鋭いのをくらってしまった。
常に生死がどうなるかわからないこの業界で、保証はできないが善処することで手打ちとなった。
憂太は自分のせいもあるといったかもしれないけれどそれは違う。
百鬼夜行の時にはそこまで考えが回らなかった。先輩が後輩を、先生が生徒を守ることは当たり前なんだよ。術式や技術で戦えるといっても君たちはまだ生徒だ、俺がもっと何とかするべきだったんだ。
言い訳はできない。
○月○日
大変だった。
何が大変だったかって医療班に強制的に運び込まれたことだ。
余りにも多く襲い掛かる呪霊に疲弊して戦うことをあきらめてしまった術師が多く出てしまった。そのため百鬼夜行の途中あたりから指数関数的に負傷者が増加していっていたそうだ。
そのため、最終的な負傷者はかなりの数になったのだ。
治療を行える術式を行使できる術師はとんでもなく少ない。汎用性の高い医療行為を行えるのは家入先輩と俺くらいだ。
俺の場合は欠損したものがそろっていること、あくまでもばら撒かれた血肉がその場にあればそれぞれをもとの場所に戻せるというだけの術式である。
生きていれば何とかしてやる、と豪語する家入先輩には遠く及ばないものの条件をそろえれば確実に治療することができる俺が起用されるのは当然の帰結であるともいえる。
そんなこんなでとんでもなく忙しく過ごしていた。
とりあえず今日はリラックスした一日を過ごすとしよう。
○月○日
とりあえず俺が担当した人は呪術師として継続して活動できなくなるような人がいたけれども、一応何とか生きてはいるしいずれは社会復帰できるそうだ。
なんと俺のもとに直接出向いてお礼を言いに来るような人もいた。
連行されたときはなんてこったと思っていたが、できることをきちんとすることができたんだと。助けられる命を助けることができたんだなと実感できた。
なんだかいいことが起きそうだったんで外に出れば500円玉を拾った。
間違いなく俺のほうに風が吹いている。
○月○日
ミゲルと会ってきた。
呪詛師側に立っていたということもあり、上側は牢にぶち込むかお得意の死刑にするつもりのやつらが何人かいたが、五条先輩が黙らせたらしい。
本人もあくまでも夏油先輩にスカウトされただけでもう呪術師を襲うつもりがないと明言しており、なんなら縛りを付けてもいいと言っていた。
まあ実質術式を完全に無効化できるような呪具があり、悪意を持って参戦していたならもっと被害は拡大していただろう。その特性ゆえに抵抗することもできず殺される術師がいたかもしれない、そう考えるとミゲルがああいうやつでよかったなと思った。
というか何十年かかければ術式を無効化できる呪具を作れる部族えぐいな。いつ保護という名の軟禁されてもおかしくないと思うんだけど....
そんなこんなでしばらく様子見で、許可が出れば釈放とのこと。
十分な実力者が監視につくことを条件に出してきており、俺にお鉢が回ってきたがいいように七海と灰原に押し付けて来た。
何が悲しくてゆっくりしたい年末に外国人呪術師と一緒にいなければならないのか。
サラリーマンから復帰してあまりたってない七海にはちょうどいい任務だろう。知らんが。
さっき携帯電話開いたら、『覚悟しておくように』というたった一文のメールが七海から来ていた。
まあ当分会う予定もないし、のらりくらりと躱させてもらおう。
○月○日
一年ズのお見舞いに行ってきた。パンダは夜蛾学長の応急処置ですでに見た目はいつも通りになっており、けがをしていた棘と真希に世話を焼いていた。
思った以上に元気そうだったので改めて安心した。
お見舞いの品は梨などの喉にいいとされているものを気持ち多めに構成された果物セットだ。
パンダはどうしてそんな手できれいに林檎が剥けるんだこらこっち向いてサムズアップするななんかむかつくだろ。
話をしているときに憂太とあった。少し気まずかったが、いつも通りでいいとのこと。
全員に俺の行きつけのラーメン屋で何を頼んでもいいことを条件にしてこの一件はもうおしまいだと話が付いた。これを機に食べまくってやると息巻いている一年生に楽しみにしておいて、と告げて帰った。
ラーメン屋は意外と高いからなぁ...
○月○日
事後処理だったりのもろもろが終了した。
朝のニュース番組では百鬼夜行の現場の一つであった新宿、新宿駅の周辺が流れていたがまるでいつも通りのように人々が行きかっていた。
いつもと違う点をあえて挙げるとするならばクリスマスが終わり年末に向けて忙しそうにする人が多く歩いているように見える。
年末は呪霊もあまり活発にならないし、百鬼夜行の一件もあったもんで特に功労者には年末の強制休暇が与えられている。
俺もよく休むように夜蛾校長に言われたためゆっくりしようと思う。
去年はなんやかんやで年越しそば食べられてないんだよなぁ...
とんでもなく忙しかったし、家でテレビ見ながら即席そば食べながら年を越すとしよう。
せめて残り数日は平和であってくれよ、なんて。
ごめん、そっち忘年会には行けません。
いま、京都にいます。
呪術界の上下を横断する禪院家に誘拐されるような形でこっちの忘年会に参加させられています。
本当は憂太や一年のみんなと行きたかった俺おすすめのラーメン屋の味が恋しいけれど、今はもう少しだけ知らないふりをします(不可抗力)。
私が参加することでこの呪術界も、きっと誰かの人生を乗せるから。
「んなわけあるかボケカスッ!!」
羽織りを廊下に叩きつけてそう叫ぶ。
今日は12月31日、年末の大晦日だ。去年は紅白だったので今年はガキ使を見ながら引きこもり生活を謳歌してやろうと思っていたのになぜか円李は県は京都、禪院家の本家にいた。
意味が分からん。
前日、高専の職員室で一年間の資料の整理とまとめをしていた時のことだ。禪院家の使者が急に職員室に乗り込んできた。なんでも当主様であらせられる禪院直毘人が俺をご所望とのこと。
もちろん断ったが、通りすがりの五条先輩に行って来いと言われてしまった。
五条悟のおかげでお宅に節円李が向かうとその場で手紙まで用意して使者に持たせていた。
最近またいろんな方面で無茶したそうでツケが貯まっているのでこれを機に精算してやろうということらしい。円李ならそんじょそこいらの問題なら何とかするでしょうというお墨付きが全くありがたくない。
そんなこんなで今俺はここにいる。
たしかにご飯もおいしかったし、待遇もめちゃくちゃよかった。クソみたいな婚約話をまるで当たり前のことのように告げたことから倫理的な嫌悪感があったが現状はただの京都のお高いお宿と大差ない。
禪院直毘人一派と思われる人からはなんだか痒くなるような好意的な雰囲気があるんだがそれ以外からは時々刺すような視線を感じることが時々ある。
こんだけ大きな家となれば本家と分家だったり、内部での争いとかあったりするんだろうか。直毘人をよく思ってない人からすればこの催しはあまり気分がいいものでもないかもしれない。
慣れない和装でいるのもすこし疲れたのでこうして会場からでて、廊下に出てきたのだ。まじで帰りたい。
「やぁやぁ、特級サマは人気者でええな」
声のするほうを見ればこの場にはあまりふさわしいといえないような風体の男が立っていた。
ニヤニヤとした口元に釣り目気味ではあるが整った顔。なによりもこういった和の影響が強い場で金髪はかなり印象深い。
「えっと...あなたは?」
「おろ、まさか君。俺のことしらないん?」
ニヤニヤニヤニヤ
なんとなく全容を掴めないさまは狐のようだ。金色の狐目だし。
「俺は禪院直哉、君とタメや」
禪院直哉
その名を聞いて思い至る。せめて当主や権力的に実力のある術師や人間の名前だけでも覚えておくだけで、幾分か生きやすくなるよ。ということで聞いていた名前の中にあった名だ。
現当主である禪院直毘人の息子で、数いる兄弟の中でも一番の実力者。次期当主の有力候補。
「なんや、知っとるやんか。君考えてること顔に出やすいんやな」
「で、何の用ですかね...?」
なんだかまた面倒ごとな気がしてきた。
やっぱもう帰ろうかしら、そこまで広くもない我が家がなんだか恋しくなってきた。
日常回?を書いてみたいと思い挟みます。ゆうて次で終わりだと思いますが。
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では