土佐さんは少々抜けている   作:さいどら

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あけましておめでとうございます。
正月イラストに土佐が!テンション爆上がりですねっ!

今年もどうぞよろしくお願いします。


土佐さん、新たな出会いをする

「カイト、貴様に頼み事などあまりしたくないのだが…」

 

「何だ、急に改まって」

 

仕事が終わって帰宅して一息ついたところに土佐がもじもじとしながら声をかけてくる。

 

そういえばこの前の酔い潰れた一件から、どうしてか名前で俺の事を呼んでくれるようになった土佐である。

飛んだ記憶の詳細は一切話してくれない土佐だが、一体何があったというのか。

 

「その…だな…買い出しで私も外に出る機会も増えてきたんだ。そろそろ…が欲しい」

 

「…すまん、よく聞こえなかった」

 

「服だ!服っ!!…貴様が汗水垂らして働いた金銭で私の服を寄越せなど、おこがましいのは承知しているのだが…流石に毎度同じ格好をすると目立つ…」

 

ああ、そういう事か。

ここにきてもうしばらく経ち、俺が仕事をしている間に土佐が買い出しに行って夕食を作って待ってくれていることも少なくなくなった。

 

買い出しに行くと言い出した初日、土佐が道に迷わないか心配で仕方なかった。

念入りに印をつけた地図を渡したら怒られたのももう数週間前の話である。

 

(大して都会でもないここだとその辺の住民の人にも顔覚えられてきてる頃だろうしなぁ…)

 

獣耳と尻尾は隠して外に出てくれと強く釘は指しているのだが、変に目をつけられてバレると面倒なことになる。

それに、土佐は年頃の女性だ。

毎日同じ服を着て出歩くのもそれはつまらなくなってくるだろう。

 

「金銭面は気にしないでいいよ、家帰ってきて誰かいるってのはそれと比較にならない価値があるし…酒に付き合ってもらうこともあるしな。普段のお礼もこめて服…いいぞ、買いに行こう」

 

「…!すまん。では、次の休みにでも」

 

「ただ一つ問題がある」

 

「問題、とな?」

 

「土佐、お前服のセンスに自信はあるのか?」

 

「…貴様、私に服選びができないとでも考えているのか?」

 

「…悪いけど正直思うわ」

 

「どうやらまた斬らねばならんようだな、貴様?」

 

「待て待て落ち着け!服選びというか…お前の世界の服とこっちの世界の服って違うだろ!?ほら、商店街に着物着てる客がいっぱいいたか?」

 

「言われてみれば…郷に入っては郷に従え、とな?」

 

「まあ、そういえことだ。ただ、俺も女性の服選びなんて全く分からなくてさぁ…そこが問題なわけだ」

 

家に女性がいること自体、前の自分からは想像もできなかった。

仕事上で女性と話すことはあるけど、プライベートは別の話である。というか会社はみんなスーツだし。

 

「何か手はあるのか?」

 

「まあ、無いことは無いんだが…」

 

「と、いうと?」

 

「仕方ないか…いずれは頼ることになっただろうし、今がその時と思うしかないか。ちょっと待ってろ土佐」

 

俺はスマホを取り出して、()()()()に連絡する。

今日は夜遅いのですぐには返事は来ないだろうが、まあ次の休日までには返事は来るだろう。

 

「よっし、OK。あとは返事待つだけだな」

 

「何だ、貴様のような男にも力を貸してくれる異性がいるのだな」

 

ニヤニヤして尻尾を振るのはやめて欲しい。

ここ最近は土佐が悪い表情をすることも増えてきている。

 

「その言い方はないだろ…まるで俺が付き合いにくい人間みたいに」

 

「貴様の世話を焼くのは大変なんだぞ?せいぜい私のことをありがたく思うがいい」

 

ドヤ顔を決める土佐。

名前を呼んでくれるようにはなったが、あくまで上から目線のスタンスは変わらない。

 

「へいへいありがとうございます…ところで土佐さんよ、服を買いに行く時、いつも一人だったのか?」

 

「え…えっとだな…まあ、天城さんや姉上と共に買いに…こ、これは二人の買い物ついでに行っただけだからな!決して私が服選びができないなどと…」

 

(結局一人で行ったことなさそうじゃねーか!!)

 

心の中でツッコミを入れると、スマホの通知が鳴り響く。

差出人は…俺が連絡した人物。案外返事が早かった。

 

「あー土佐…OKだってさ。次の休み、服見に行くぞ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…ここで待ち合わせか?」

 

「ああ、もうすぐ来ると思う」

 

今日はいつもの商店街ではなく、少し遠出して大きめのショッピングモールまで来ている。

 

「それにしても…気分が優れん…」

 

「海で戦ってるくせに車酔いするとはこっちも思ってねーよ…」

 

車を走らせて来たのだが、車酔いで既に体力が憔悴している土佐であった。

自分はフネだとか言ってたのになんで乗り物酔いするのかこの狐は。

 

そんなところへ、俺には久しく聞く声が響く。

 

「あ、いたいた!久しぶり!」

 

「ごめん、突然服選びに付き合ってくれとか言って…」

 

「びっくりしたよー、お兄ちゃんいつの間に彼女なんか作ってたの?一生できないと思ってたのにー!」

 

「彼女…じゃないんだ、事情あって同居してるだけで…」

 

「彼女か?協力者というのは…」

 

「そう、俺の妹の…」

 

「海美っていいます!お兄ちゃんが迷惑かけてませんか?ほんとお兄ちゃんダメダメで…」

 

「…全くだ。奴は本当に手がかかるぞ?」

 

妹に微笑む土佐。

その声と姿を見て、妹は一瞬硬直する。

 

「えっ、待ってこの人、アズールレーンの艦船…?」

 

「加賀型戦艦二番艦、土佐。今日は世話になる」

 

「お兄ちゃん、コスプレイヤーさんを彼女にしちゃってほんとどうしちゃったの!そんな趣味あるなんて全く聞いてないよ!?目覚めたなら私に早く教えてくれれば良かったのにちょっと!!」

 

「海美色々待った!!俺は別にそんな趣味に目覚めたわけでもないしこいつはコスプレイヤーでもないし彼女でもない!!」

 

「…この状況、私はどう振る舞うのが正解なのだ?」

 

俺の妹・端島 海美(はしまうみ)

元気で俺の自慢の妹であり、今は大学生である。

 

そんな彼女だが、サブカルに精通しており、その手の話題になるとかなりうるさい。

 

…土佐の見た目に反応してこうなることは安易に予想できたので、いつ引き合わせようか迷っていたのだが。

 

「というか…海美、アズールレーンって何か知ってるのか?俺は全くわからなかったんだけど…」

 

「ストップ!逆にお兄ちゃん、何も知らないでこの人と同居してたの!?」

 

「いや、本当に知らなかった…」

 

「お兄ちゃん、一周回って凄いよそれ…」

 

ハチャメチャな対面になったが、これが俺の妹の端島海美である。

服好きでもある海美のことだ。まあ、俺と土佐の二人で服選びするよりは遥かにいい服を選んでくれるはずである。

 




海斗の妹である海美ですが、ただのサブカル好きで土佐さんといる兄に嫉妬とか別にそんな方向には行きません。

この小説は本当に土佐と日常をほのぼの過ごすだけのものになるのでご了承ください。土佐が同性同世代の現代人と絡んだらどうなるかな、なんてことを考えながら見ていただけると幸いです。
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