透物語   作:ぎゅうにく

10 / 11
ソロ曲最高ですね
なーちゃんがお気に入りなので待ちわびてました
もう気持ち隠そうともしない潔さがまたイイですね
え?浅倉?なーちゃんの次くらいですかねぇ…


二章 10話

10話

 

シェイクを飲み込む

 

…ダメだ、甘すぎる

 

 

「そんなあからさまに甘そうなもん無理しなくても…」

 

「…なんか飲みたくなったんだ」

 

「久我も甘味の良さがわかってきたか!」

 

「いやぁこいつの顔そんな美味そうには見えねーけどなぁ…」

 

「甘いぜ紺野ォ…いや甘くねぇなぁ紺野ォ…」

 

「なに言ってんだこいつ」

 

 

久しぶりの授業、バスケ漬けの夏に慣れてしまうと自分がまだ学生だと忘れそうだ。

 

 

「甘味ってのはこうやって渋い面して飲むのが通ってもんなのさ…」

 

「鷲、お前後ろのJK見てみろや」

 

「ああ?…おぉ…笑顔が眩しい…」

 

「どう見てもあっちの方がいいだろ」

 

「なぁ鷲崎…なんかトッピングでビターチョコとかないのか?」

 

「おお、あるぞ!久我はビター派か、悪くねェな!もらってきてやるよ!」

 

「シェイクにチョコチップってストローじゃ飲めね―じゃん…」

 

 

こうして放課後に男三人でファストフード店でダラダラする…俺たちには珍しい青春の1ページになりそうな光景だが、実は俺が紺野と鷲崎を誘って出来たものだ。

鷲崎が何故かノリノリでトッピングを取りに行ったところで、紺野がボソッと声を出す。

 

 

「一緒に飲むために頑張って克服してんの、可愛いじゃん…なぁ?透くん?」

 

「……」

 

 

バレバレだった。

まぁ鷲崎なんかにバレるより数倍マシだし、何故かこいつには知っていてもらいたいって謎の信頼感みたいなものもある。

 

 

「夏に少しいい方向に変われたみたいだし、よかったわ」

 

「…お前の言葉が助けてくれたよ」

 

「そりゃ光栄だ」

 

 

 

「ま、インハイも終わっちまって、こうのんびりすんのも久しぶりだよなぁ…」

 

 

そう、夏の高校総体、通称インターハイは全国ベスト16

 

うちの部史上初の全国出場、ベスト16という大きな結果を残した

 

 

もちろん全員その結果に満足しきっている訳がない、負けて残した結果だ。

それでも東京ベスト8常連止まりだったうちが、去年の東京ベスト4を超える成績を残したことには監督も誇っていいと言っていた。

 

高校の校舎の壁に垂れ下がる水泳とテニスの全国出場の文字の隣に、同じようにバスケ部の全国ベスト16の大きな文字が垂れ下がっており、始業式にキャプテンが高校校長から表彰を受けていたのを、周りからの称える声に恥ずかしさを覚えながら見ていた。

 

 

俺自身も都の準々決勝からコンディションを高く維持し続けられたこともあって、ゲームメイクに冴え渡るものを感じていた。

都の決勝では残った時点で全国への出場は決まっていたので、勝敗にこだわり過ぎずに仲間たちと大いにバスケを楽しめていたと思う。特に4ピリ最後の点差の競り合いによるタイムアウト合戦には会場が沸いていて、ネット上でも漫画のような展開だったと大いに話題になっていたらしい。

 

 

全国大会では、やはりどこのチームも全国トップクラスのチーム。

途中で敗北したとはいえ俺個人としては多くの技術や動きをこの目で見て学べたので、結果以上の物を得られたインターハイだった。

 

 

それに都の決勝の後…

 

 

『お疲れ様、全国出場おめでと。スポーツでこんなに盛り上がったのは初めてかも』

 

『透くんおめでとう!すごかった!特に最後の10分はわたしもドキドキしたよ!!』

 

『透くん先輩おつかれ~~!!雛菜、久しぶりに透くん先輩に会いたい~~!!』

 

 

『ちゃんと見てたよ、かっこよかった。全国も頑張って、応援行くから』

 

 

 

こんなにたくさんの言葉をもらったのは初めてだった

 

 

今まで試合後に俺に言葉をくれるのはバスケだけだった

 

試合に勝てばよくやったと、負ければまだまだだと

それが練習にやる気を与えてくれるし、それを受け取れることが俺の幸せだった

 

 

でも長めのオフデーをもらった今、無性にバスケがしたい

 

練習がしたい

全国で感じた壁を乗り越えるための練習がしたい

反省点を監督と相談して、早くチームで動き始めたい

 

そう俺に強く思わせているのが、今はバスケからの言葉だけじゃなくなっていた

 

 

 

客席からの応援

 

知っている人からの感想

 

知らない人からの評価

 

仲間と交わした声

 

誰かからの期待

 

 

 

俺はそれらを背負ってバスケをしていたんだと気が付いていなかった

 

やっと自覚できた

 

 

観客からの言葉が聴こえて、

幼なじみからの言葉をもらって、

世間からの言葉を見て…

 

 

やっと俺にとっての幸せが、ただバスケをすることじゃなかったことに気が付いた

 

 

 

“誰かの言葉を背負って戦うこと”

 

 

 

それが俺の幸せなんだ

だって、受け取った多くの言葉が…すごくうれしかったから

 

 

だから透と再会したあの試合、あの時に俺は動けなかった

ただひたすらバスケをしていたあの頃の俺は、きっと本当は幸せじゃなかったんだ

 

あの透の目に込められた思いは今でも分からないけど、俺のバスケに何かを込めた目を向けてくる人がいるという事に、あの時初めて触れた

 

知らなかったその行動の意味を知りたくなって、あの目を覗き込んで戻れなくなりそうだった

 

 

 

 

 

「久我!ビターチョコなかったからホワイトチョコチップもらってきたぜ!」

 

「鷲お前バカじゃねーの…」

 

「……っははは!鷲崎、それ、もらうよ」

 

「透!?」

 

 

 

今はこれだけたくさんの人に支えてもらっているんだ

 

あの泉の先を覗いても、きっと平気だ

 

 

 

大丈夫─────だって、おもしろそうだろ?

 

 




【Geロ距離関係】

紺野「あーあー…こんなのどうすんだよ…俺は飲まねーぞ」
久我「……うっぷ」
紺野「そりゃそんな園田ちょこちゃんでもキツそうなもん透じゃ飲めねーだろ」
久我「…鷲崎」
鷲崎「これ食い終わったらそっち飲んでやるよ!」
久我「助かる…」
鷲崎「…なぁ久我、こういうのって何か必要だと思わねェか?」
久我「…?」
紺野「お前は好きなもん食えんだからいいだろ別に…」
鷲崎「等価交換だァ!なぁなぁ久我よォ…樋口円香のチェイン…持ってんだろ?」
紺野「鷲…それアイドルの個人情報だろ、やめとけや」
久我「円香に聞かないと渡せないし…事務所にも許可とか要るだろうから無理」
鷲崎「ちっくしょ~…じゃあせめて俺にも『円香』って呼ばせてくれェ!」
久我「……ん?」
紺野「は?」
鷲崎「だってお前さっきそう呼んでたじゃねぇか」
久我「……ああ、まぁ」
紺野「そりゃ幼なじみなんだから、昔からそう呼んでりゃそうだよな」
鷲崎「ならデビューした頃から応援してる古参の俺も幼なじみみてェなもんだろ」
紺野「こいつマジでやべーぞ…」
久我「そんなの俺の許可なんて取らなくても勝手に呼べばいいだろ」
鷲崎「……………」
久我・紺野「……………」
鷲崎「……………………………………………………………………まどか(ニチャア)」
久我「………うぷっ」
紺野「透!!出すならトイレに出せ!!テーブルは後でやべぇ!!!」

屋上にいる樋口「……っ、なんかさむ…パーカーとってこよ」
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