そんな大げさなものでもないですけど
成人式で旧友と再会するとこういう気持ちになる人もいるのかも
え?私には関係ない話ですけど?ええ、ええ、そうですけど?
5話ニュアンステーマ See-Saw「あんなに一緒だったのに ~Re Tracks」
5話
─────なんか思ってたのと違った でも普通はこういう感じだよね
まだ夕日を見せない時間帯の電車はいつもなら学生でいっぱいなのかもしれない、高校も事務所も歩いていけるから電車乗らなくてわかんないけど。
今はまだ夏休みで席もガラガラだったから、贅沢に真ん中に座っちゃった。
─────期待してたんだって なんか意外だった
今日は何か聴きながら帰りたい気分かな。アイドルになってからはプロデューサーがおすすめしてくれるやつばっか聴いてるかも。
最近だとあれ…あさひが聴いてほしいっす~って言ってたからその場で買ったやつ、なんだっけ…しゃにむになんとか~って、ジャケの愛依がカッコいい曲。
─────似合わないよね それはちょっとわかってた
最寄りに着いて、改札でペスモの残高を見てから家の方に歩く。
普段乗らないからあんまり入ってないかと思ったけど、結構入ってんじゃん。これならもっとどっか寄り道してもよかったかも。
どうせだし今から少し寄り道しよ。
どこがいいかな、遠回りしちゃおうかな。
─────なんかの曲の歌詞の気持ちわかったかも けっこう刺さるね
あ、公園…いつもみんなで遊んでた方の。
─────あの頃もこんな感じだったっけ?
ここ、新しいブランコできたんだ。
滑り台とジャングルジムとなんか動物のバネみたいなのは覚えてるけど。
─────もっともっと話してた気がする
うん、ブランコにしよう。
─────私に風が吹いたから?
小糸ちゃん来るかも、この間樋口が言ってたし。
─────キミに風が吹いたから?
─────私は風が無くてもいいよ
─────私は私のままで楽しいよ
そっか 私の風が止まっても
キミに吹き続けるなら
もう
そういうこ「浅倉…?」
「あ、樋口。やっほー」
なんだろ…なんか言いにくかった、今の。
樋口が近づいてくる。
「空いてるよ、となり」
「…」
少し躊躇った後に隣のブランコに座ってきた。
「この公園ってブランコなかったよね」
「これ出来てそんなに経ってないでしょ、まだ綺麗だし」
「そっか」
「今日、観に行ったんでしょ?」
「あ、言ってたっけ?」
「…事務所で話してきたのは浅倉の方」
「ふふっ、忘れてた」
そういえば話してたかも。
樋口に大会の組み合わせ表、見せた覚えが無くもない。
「なんで一人なの?」
「終わるの遅いかもって言われたから、先帰ってきちゃった」
「なんで待たなかったの?」
「今日『コードグレー』やるじゃん、録画してなかったんだ」
「ふーん…ドラマの方とったんだ」
「…なに、樋口怒ってる?」
「別に」
「いつもはスマホ見てるじゃん」
「たまたまでしょ」
「そっか」
何か怒らせちゃったっぽい、心当たり無いけど。
「樋口は今日何してたの?」
「自主練」
「へー、えらいじゃん」
「どうも」
あ、これ絶対私だ。
どうしよう…どうしようもないけど。
「…はぁ」
足でブランコに速度をつけようとした時、樋口のため息が聞こえた。
「…最近は、意地張っても無駄ってわかってきたから」
「…ん?」
「浅倉、なんで久我から逃げたの?」
逃げた
透くんから、逃げた
─────私はずっとここにいるよ
待っていれば会えた
─────キミが風に吹かれただけ
でも待てなかった
─────いつも通りだよ
なんで?
─────変わったんだからさ お互いに
だって、わかんないじゃん
─────もう子どもじゃないんだし
触れようとして離れられたら
─────だってそれが私たちじゃん
─────近づけば平行線で 離れたら交差線
あのキレイな、透明な毎日が
─────付かず離れずな関係
キミのキレイな目が、私を見て
─────互いに都合のいいキョリを保ち続ける
濁ったりしたら
─────それがキミと私だよ
もう私は
──戻れないよ
「帰るよ、浅倉」
「ぁ…」
「はぁ…私シャワー浴びたいし。夕ご飯、食べてくでしょ?」
「あ、うん、たぶん」
「メールしとくから」
「ありがと、樋口」
「…どういたしまして」
【The time to ♡にーちゅ come】
P 「次の円香の衣装なんだけどさ、雛菜的にはどれがいいと思う?」
雛菜「ん~…円香先輩に似合うのは…これ~~!!」
P 「お!それ♡にーちゅシリーズの新作らしいんだが…それでいくか!」