透物語   作:ぎゅうにく

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二章です
短いです
ちょこ先輩は無事引けました
今期グレフェス向きの性能のようで
イベコミュの「明るい部屋」も素敵でしたね
今年は秋樋口で切らした鉱脈で迎える恐ろしい聖夜となりそうです


二章 8話

2章   ニュアンステーマ YOASOBI「夜に駆ける」

 

 

 

 

 

8話

 

苦手な物理の教科書を閉じて大きく背伸びをする。

普段から酷使している体が筋肉痛で軋み、グッと声が漏れる。

伸ばしきった体を戻すと、自然と詰まっていた息も出て思考がクリアに戻った。

 

 

「もうそろそろ11時か…」

 

 

前期の期末は特に評価が悪い科目は無かったが、物理だけはあまり出来がいいとは言えなかった。普段の小テストのおかげで評価自体はそれなりだったが、期末試験が苦しかったので後期に入る前に基礎をもっと固めておこうと思ったのがこの夜勉強の始まりだ。

 

うちの部は学校の成績自体はそこまで重視していない。赤点を取ったとしても監督から怒られたりするわけではないが優先順位は補習のため、練習に参加できないという大きなデメリットがある。

そのため割とみんなしっかり勉強して試験に望んでいる。

 

レギュラー陣の中では楽観的なPFの南先輩と、意外にもキャプテンの中村先輩が学年平均点のラインを前後している。二人ともよく練習後に自主練で残っているので、帰ってそのまま疲れて寝てしまう事が多いそうだ。試験前には今田さんを筆頭に成績上位の先輩方で勉強を見てあげているとよく聞く。あのイケチャラ大先輩(自称)の今田さんが学年10位内で、うちのチームでも1番成績がいいというのが未だに信じられない。

 

ちなみにうちの代はCの鷲崎が悩みの種。

センターのあいつが補習で抜けると連携プレーの合わせが出来なくなるという状況が生まれるため、試験前は紺野が付きっきりだ。

 

 

 

もう寝ようか。

明日は午前練でいつもより体を動かすから、オフデー終わりだし体調を整えておこう。

 

明日の練習の準備を終えてベッドに腰掛けた時、スマホが呼んできた。

 

 

「電話?誰だ…なんだ透か…え?」

 

 

透からの着信だった。

こんな時間に透から電話って何の話だろう?

 

不思議に思いながらもあまり待たせていると切れてしまうかもしれないので、ひと呼吸おいてから通話ボタンをタップし、ベランダに出る。

夜風が涼しい。

 

 

『もしもし?』

 

『あ、出た。ごめん、夜遅いけど』

 

『いや、別に大丈夫』

 

『そっか、よかった』

 

 

再会してからいつもしているような、口調は慣れているのにどこかぎこちない挨拶。

逆にこれが俺たちの今の微妙な関係を示しているように思える…少なくとも俺の中では。

 

 

『あのさ』

 

『ああ』

 

『今日、楽しかったね』

 

『服、助かった。ずっとウェアと制服ばっか着てたから』

 

『ふふっ、まかせといて。ていうか、あれでよかったんだ?』

 

『え?まぁ…透が選んだ服なら変じゃないだろ?』

 

『あー…うん、大丈夫。事務所にあった献本のメンズのやつ、参考にしたから』

 

 

そう、今日は透と昼間ショッピングに行ったんだ。

貴重な休日だったのに何故か普段のオフデーの感じがしなくて忘れてたけど…普段一人で過ごすから感じていた何かを、透と過ごした今日は感じなかった。

 

きっと楽しかったんだ。

実際、前より少しだけ透との距離感の端っこを掴み直せた気がした─────

 

 

 

 

 

 

「あ、ごめん透くん、待たせた」

 

「プロデューサーさんにさっき電話がきて、事務所に戻るって」

 

「あー…そっか…後で謝んないと」

 

「今のうちにチェインでも一言入れといた方がいいぞ」

 

 

プロデューサーさんが戻ってすぐに透が河川敷に来たが、あいにくすれ違いになってしまった。

 

 

「えっと、なに話した?」

 

「…特には。軽く自己紹介したくらいで」

 

「…そっか、じゃあまた今度かな」

 

「何が?」

 

「ふふ、なんでもない」

 

「それで今日は…」

 

 

 

「あのさ、デートしようよ。一緒にショッピングとか」

 

 

 

 

 

 

「透は何を見に行くんだ?」

 

「え、特にないけど」

 

「ノープランか…なら俺が行きたい所あるんだけど」

 

「いいよ、どこ?」

 

「服を見に、透の選んだやつで…」

 

「え…わたしが選ぶの?」

 

「普段おしゃれな服とか着ないから、どれが流行りとか知らなくて…」

 

「ふーん…じゃあ頑張っちゃうから」

 

 

再会した時から思っていたけど、透は流行とかに疎い俺から見てもオシャレだ。

今日、透と会うことになったからといって特別着る物を考えたわけじゃないけど、バスケウェアとかだらしない服はさすがに避けて選んだ。それでも透が来て隣に立つんだと改めて意識した時、やっぱりもう少し洒落ていた方がいいのかと思ってしまった。透が気にしていないとしても、男として気にならないとはいかなかった。それを口に出すほど女々しくはないけど…こういうのはバレたらなんか恥ずかしいんだろうな…

 

 

 

「透くん、行こ。透くんと遊ぶの、私、楽しみだったから」

 

 

 




【Natural オペレーション】

はづき「ごめんなさいプロデューサーさん!大崎さんがレッスン前なのに起きてくれなくて!今日ソロレッスンの日なのに…あと芹沢さんが撮影の途中でどこかに行っちゃったって黛さんから連絡が…ああ!月岡さん!それ麦茶じゃなくて田中さんのめんつゆの原液…!!」
P 「すぐに戻りますのでそれまではづきさんお願いしますぅ!!!」
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