数日前...地球 某所
王留美は依頼されたMSの調達を無事完了しまた例の情報もあの人に伝えるために彼女に似つかわしくない格納庫で彼を待っていた。
格納庫の扉がゆっくりと開き彼女の待ち人が姿を現した。
「これが人革連の新型か...君には苦労をかける。」
「いいえ、これは私が好きでやっていることですの。でも大佐、この機体を入手するのには少々苦労しましてよ。」
「今の私はもう大佐ではない、それに塗装まで赤くされてはな。」
「しかし貴方の乗る機体にこの色以外は考えられませんですの...それとも金の方をお望みでして?」
「まさか、感謝しているよ。...しかし何も新型でなくともよかったのだが...」
「大佐を情けないMSには乗せられなくてよ...それとやはり大佐の予想通り月面ではヘリウム3を採掘しているようね...なぜわかったのかしら?」
「ただの勘さ、それよりこの事は彼等には内密に頼みたい。」
「分かっています...大佐はイオリア計画やソレスタルビーイングの事はお嫌いで?」
「そうじゃないさ、今の私には彼等のことを肯定も否定もする立場にはない。ただ昔の友人のやっている事を邪魔されたくないだけさ。」
「...大佐は罪滅ぼしのつもりなのですか?」
「まさか、ただ彼が苦労しているところを見ておこうと思ったにすぎんよ。それに彼は私を許してはくれんだろうしな。」
「そういう大佐はアムロ・レイの事、許したんですか?」
「答えにくい質問だな...」
アムロ・レイと大佐の因縁について私はその全てを把握しているわけじゃない、しかし彼等の間に割って入ることなど不可能だと留美には分かっていた。アムロ・レイには会ったことは無いけれど大佐の態度でそれは分かることである。
大佐、シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンはかつての世界で世界の変革を求め隕石落としと言う私たちの世界では全く想像も出来ないような作戦を実施した...その結果がどうなったかは今となっては分からないという...しかし世界を変革するためには誰かが人類の業を背負わねばならない、変革とは痛み無しでは実現しないものなのかもしれない。そして大佐に出会うまではひたすらに変革を、変革さえすればどうなろうが構わないと思っていた王留美の今の内心は以前とは全く別のものに変化していたのだ。
今はただひたすら大佐の望みのままに、大佐の考えは私には完全には把握できていない...それでも恐らく彼等は世界に変革を促す。イオリア・シュヘンベルグや彼の創ったソレスタルビーイングとは違う変革を...
たとえ今の大佐が口では何もしないと言っていたとしても彼等の羽ばたきが起こした風は必ずや世界を変えていくだろう。彼等二人にはもしかしたら世界を超えてなお残酷な運命が待ち受けているのかもしれない...ただもう大佐ばかりに全てを背負わせるようなことは避けなければ...私にだって大佐の運命の一欠片程度は背負わせてほしい。そしてその世界を眺めていたい。今はそれだけが望み...
「では少しばかり宇宙に上がることにする、エレベーターが使えるのだな?」
「ええ、MSもコロニー開発用の資材に紛れ込ませるように工作してありますから...天柱で問題なく宇宙へ上がれますわ。...あまり無茶をなさらずに...」
「分かっているさ、すぐに戻る...他に調べたいこともあるのでな。」
「調べたいこと...仰ってくだされば私もお力になりましてよ?」
「その時が来たら君の力を借りよう、しかしこれは私の役目なのでな。」
「?」
大佐の調べたいこととは一体何の事であろう?...アムロ・レイの事以外で大佐が調べる必要があることとは一体...
日本 経済特区 東京
先日のステーション事故に見舞われた沙慈・クロスロードは同じく事故に巻き込まれたルイス・ハレヴィとともに既に学校に戻っていた。ルイスが特に事故の事を気にしているわけでもなさそうだったので安心したけどまさかソレスタルビーイングに助けられるとは思ってもみなかった...
学校内のカフェテリアで本を読んでいるとルイスがやってきて声をかけられた。
「ねぇ沙慈、それ紙の本?珍しい...武士道?」
「ちょっとね...ルイスも読む?」
「遠慮しておきます、それよりこの日なんだけど空いてる?」
「また洋服?...ごめんその日はちょっと姉さんと食事の約束があって...なんか姉さん僕に紹介したい人がいるんだって。」
「へぇ、それって彼氏?」
「さあ?でも初めてだな、姉さんから誰かを紹介されるなんて...一体どんな人なんだろう...」
たくさんの感想と誤字報告ありがとうございます。
正直大佐やアムロの事を書くのは難しいですね。私なりには想像して書いてみてはいるのですがこれがなかなか難しい。
ちなみに最近Zガンダムと逆襲のシャアを見直したのですがクワトロ時代も逆襲のシャア時代もどちらも私は好きですね。