ユニオン MSWAD本部
「カタギリ、奪取したガンダムのパーツの調査結果だが...」
「残念だけど分かったことは何一つないね、君が回収したガンダムのパーツを調査したところその材質はEカーボン...品質は良いみたいだけど特質すべき技術ではなかったよ。」
「なんだと?ではあのガンダムの耐久性は?」
「それも恐らくはあの粒子の影響だね。エイフマン教授は恐らくガンダムの装甲の強度の秘密はあの謎の粒子を装甲の表面に展開しているためではないかと推察していたけど...結局はあの粒子発生機関を手に入れなければガンダムの秘密は解き明かせそうにないということだね。」
「なるほど、なかなかガードが固いという事か...俄然口説き甲斐がある。」
「もっとも実はもう僕の考えでは教授はあの粒子特性の秘密にかなり迫りつつあると思っているよ、ただどんなに聞き出そうとしても今の段階では詳しく話してはくれなくてね。...しかし現物が手に入るに越したことは無い...君にもまだチャンスはあると思うよ。モラリアの件もあるようだし彼等もまだまだ手を緩めるつもりなど毛頭ないだろうからね。」
「モラリアはソレスタルビーイングと事を構えるつもりのようだな。」
「AEUが後ろ盾になったんだよ。太陽光発電システムを完成させてコロニー開発にのり出すためには民間軍事会社の人材と技術が不可欠だからね。モラリアとしても縮小した経済を立て直したいという思惑がある。たとえ自国が戦場になったとしてもAEUの援助が必要なのさ。それにあわよくば手に入れようと考えているんじゃないかな?ガンダムを...」
「ふっ、なら今回は譲るしかないようだな、AEUのエースとやらに。」
「しかし事態はどうやらソレスタルビーイングやガンダムばかりにかまけていられないかもしれないよ?」
「どういうことだ?」
「これは極秘情報でまだ君には本当なら知らせてはいけないんだけど...どうやらあのレイ大尉のライバルが生きてこの世界にやって来ているみたいだよ。例の赤い彗星がね。」
「赤い彗星...」
「その件もあってレイ大尉は休暇を返上しようとしたくらいなのさ...結局はエイフマン教授が説得して休暇は無理やり取らせることにしたらしいけど...彼は働きすぎだからね。代わりに暫くの間はエイフマン教授が宇宙に上がるらしいよ。僕から言わせれば教授も負けず劣らず働きすぎだけどね...全く自分の年齢も考えてほしいよ。」
「それは出来ない相談だろうな、プロフェッサーもああ見えて強情なところがある。」
「君がそれを言うのかい?」
ユニオン 米国 大統領官邸
赤い彗星...シャア・アズナブルか...
大統領は上がってきた報告から赤い彗星のシャアが生存してこの世界にやって来ているとの報告を受けていた。そしてそれは彼のやったことを知る人間としては最大限に警戒するべき事案でもあったのだ。
ソレスタルビーイングだけではなく赤い彗星と言う合衆国やユニオンにとって...いや地球全体にとって脅威となりえるかもしれない存在に大統領は頭を痛めていた。もし彼がこの世界でも地球人類の粛清などと言う思想を持ち続け実行しようとしていたら...この世界ではジオンも彼の名も効力を持たないはずなので仮にそのようなことを実行しようとしても多大な時間を要するはずである。しかしだからと言って楽観視は出来るはずもなかった。
情報だけしか知らないがあのカリスマ性が本物であるとすれば人々の、大衆の支持を受ける可能性は高い。彼の存在は無視することなど大統領には出来なかったのである。
地球 孤島
ガンダムエクシアの修理のため宇宙から降りてきていたイアン・ヴァスティはその損傷個所を調べているうちにその表情は段々と固いものになっていった。
「おやっさん、エクシアを傷物にしたフラッグの武装って言うのはそこまでかい?」
デュナメスのパイロットであるロックオン・ストラトスが話しかけてくる...
「ああ、修理自体は予備パーツがあるから直ぐに終わるが...どうもあのフラッグに搭載されているソニックブレイドはEカーボン製ではないみたいだな。」
「というと?」
「これだけでは詳しくわからんが...以前スメラギさんが言っていたユニオンで開発されているという新素材が用いられているのかもしれん。」
しかしEカーボンを上回る素材を開発したとはにわかに信じられん...あのエクシアとフラッグの戦闘データを確認したところあの機体の想定される重量はとてつもなく軽量化されていると推察されていた。どのようなカスタムを施してもあのような軽量化は不可能なはず...しかし全く未知の材質の装甲に換装されたと考えれば辻褄は合うのだ。そこから導き出される答えはその新素材がEカーボンより軽量かつ強度に優れるという事実だ。それにエクシアとの戦闘時の機体反応速度も通常MSを明らかに超えていた...パイロットの腕もそうだがそれを反映できるMSの性能...反応速度だけを見ればもしかしたらガンダムにも匹敵しかねない...
これは少し不味いかもしれない...プトレマイオスの整備士であるイアン・ヴァスティは一抹の不安を覚えていた。