地球 某所
モラリアへの武力介入は無事とは言わないまでも成功を収めプトレマイオスの総合整備士であるイアン・ヴァスティは暫くこの先大規模な武力介入は行われないであろうとの予想を知らされたためこの時間を有効活用すべく動き出していた。
先日の戦闘でエクシアが損傷した件...これからの戦闘で敵対するMSの火力が向上した場合の対応をしなければならないと判断していたからである。
簡易的なガンダムの改良プラン...それを実行するため今現在地上に存在する4機のガンダムを宇宙に再び上げなければならないのである。既にガンダムの改良プランはウェーダに承認されているのであとはそれを施すのみ...改良と言ってもそれは簡易的であり短時間で完成すると予想されていた。各ガンダムの主な改良は以下の通りである。
ガンダムエクシア
ある程度の重量増加や運動性、機動性の低下には目を瞑りGNコンデンサーの増設。それにより改良前では限定的な使用に限られたGNフィールドを積極的に活用することが可能になるよう改良。また2基装備されていたGNビームサーベルを1基に削減。GNバルカンのオミット。
ガンダムキュリオス
エクシアと同じくGNコンデンサー増設によるGNフィールド使用時間の延長。またオプション装備としてGNビームサブマシンガンに代わり実弾のマシンガンを用意するプランがあるが現在はそのままでありコンデンサー増設以外の改良は無い。
ガンダムデュナメス
元々高い防御力を有しているため今回機体の改良は行われないが粒子を防御兵装に回すため通常のGNスナイパーライフルと同時に実弾仕様のライフルを装備。
ガンダムヴァーチェ
デュナメスと同じ理由で改良は行われず保留であるが敵の火力が想定以上に向上した場合は以前存在したヴァーチェの実弾仕様に換装予定。
地球某所 モラリアへの武力介入の前日 自然回顧主義組織、ラ・イデンラ拠点
ここのところラ・イデンラの活動は私設武装組織ソレスタルビーイングによる武力介入を中止させるべく世界中へのテロ行為の準備行動であった。しかし各国に存在する支部からの連絡は数日前から途絶し彼らの拠点は各国のテロ対策部隊によって鎮圧されていたのである。
テロを起こす前に我々の情報が流出しこの拠点も既に引き払う準備が進められていた。なぜ我々の計画が漏洩したのかは不明...今現在は内通者が存在する可能性がある為内部で裏切り者を探しているような状況であった。テロ組織において裏切り者の処遇は口にするのも躊躇われるような扱いである。そして既に確実な証拠が存在しないにも関わらず内部のメンバーの何人かは血の粛清を受けていたのだ。
明日は我が身か...貴重なパイロットとはいってもこの状況ではどうなるか分かったものではない。
思えば正規軍にいたころがひどく懐かしく思える...AEUのパイロットであった俺の栄光の人生は長くは続かなかったのだ。不名誉除隊になってからというもの流れに流れこんなところまでやって来てしまっていた。別に俺に何かしらの思想が存在するわけじゃない...ただ金のため、かつては市民を守る軍人がその対極の存在に成り果ててしまっていたのである。
そろそろここも潮時か...こんな状態の組織に未来があるとは思えなかった。このどさくさに紛れて乗機のヘリオンでも頂いて違う組織、場所に鞍替えするのもいいかもしれない。
MSのコックピットでそんな都合のいいことを考えていると夜空に何か一条の赤い光の軌跡が俺の目に入ってきたのだ。それは明らかに流れ星とは異なっているように思われた...そしてその赤い光の行く先は我々の拠点であったのだ。
その後何条もの同じ赤い光が走った...敵機襲来を知らせるサイレンが辺りに鳴り響き俺の他に数機存在しているヘリオンがあの光を生み出している存在に向かっていったのだ。
勿論俺も機体を起動させて迎撃に向かう...しかし臆病風に吹かれたのかそれとも既に俺自身やる気というものを無くしていたのかは分からない...友軍のMSよりも俺は出遅れていたのである。
しかし出遅れたと言ってもそれはほんの数分、いや数十秒の時間である...それにも関わらず俺が到着した頃には既に友軍機は全て残骸に成り果てていた。
夜空にあれは存在した、それは恐らくはMSであるが俺の知っているどの機体とも異なっていた。ニュースでしか知らないがソレスタルビーイングのガンダムとも異なるその機体、従来のMSとは大幅に異なる大型で重厚な機体が確かにこの夜空に存在していたのだ。その外観は強いて言えば人革連のティエレンのような重装甲と見れなくもないがデザインは決定的に異なっており機体の背部からは赤い光の粒子のようなものを排出していたのだ。
その姿に俺は目を奪われた、そして俺はさらに驚愕することになる。
あの重厚な、悪く言えば鈍重そうな外観からは想像も出来ないような機動を行ったのである。
あの機体は一瞬で俺の視界から消えるほどのスピード、そして気が付いたらあれは私のすぐ目の前に存在した。
あれが俺にライフルのようなものを向ける。
俺が最後に見た光景はあの黄色のような重厚なシルエット
あれは悪魔か?いや違う...
あれは神か...
しかし俺の思考はそこで永遠に途切れたのだ。