人革連 低軌道ステーション
「鹵獲中に収集した羽根つきガンダムのデータ、ティエレンのミッションレコーダーに残されていたソレスタルビーイング移動母艦とデカ物が外部装甲を外した映像...数十万機の探査装置と20機以上のティエレンを失った代償にしては少なすぎる。」
「弁明のしようもありません...いかなる処分も受ける覚悟です。」
「君を外すつもりはない。辞表も受け付けぬ。」
「ん?」
「確かに本作戦は失敗した、だが君に対する評価は変わってはおらんよ、ガンダムの性能が我々の予想を超えていたのだ。」
「お言葉ですがガンダムの性能は底が知れません。鹵獲作戦を続けることは我が軍にとって...」
「それも分かっている。主席は極秘裏にユニオンやAEUとの接触を図っておられる。」
「ユニオンやAEUと?」
「ソレスタルビーイングへの対応が次の段階に入ったという事だ。」
つまりは他の陣営と協力してのガンダムの鹵獲作戦の実施と言う事か。しかしそう上手く事が運ぶものであろうか...AEUはともかくユニオンは現在ソレスタルビーイングに対して沈黙を続けているのである...タリビアの一件以来ユニオンは特に彼等に対して行動を起こそうとはしておらず交戦も行っていないようであるのだ。
そのタリビアの件ですらユニオンが彼らを利用したような立場であり積極的に攻撃を仕掛けたわけではない...米軍のある部隊がガンダムと交戦して損傷を与えることに成功したとの未確認情報が存在するのだが実際のところはユニオンが今現在どのような方針で動いているのかは不明である。
世界の警察を自称する米国がこれほどまでに沈黙の姿勢を貫いていることがセルゲイ・スミルノフ中佐にとっては不自然に感じられていたのである。
宇宙 ソレスタルビーイング輸送艦 プトレマイオス ヴェーダ、ターミナルユニット内
このような早期の段階でナドレの姿を晒してしまうとは...それだけではない。デュナメスの高高度砲撃能力の露呈やエクシアの損傷、そしてそのパイロットである刹那・F・セイエイのモラリアでの問題行動など枚挙にいとまがない。計画に失敗は許されない、今後はヴェーダからの作戦指示を優先することになるだろう。スメラギ・李・ノリエガはヴェーダからの指示を無視あるいは改変して実行する悪癖があるのである...軌道ステーション事故での人命救助活動などが良い例であろう...
それに彼女は先日ユニオンでGNドライヴ搭載機...ガンダムに対抗できるMS開発の可能性などというレポートをヴェーダに提出しており整備士のイアン・ヴァスティと何やら検討を行っていたようであるのだ。その危険があるなら当然の事であるがその件でヴェーダから返ってきた答えは0に近い可能性であった。確かにユニオンで開発されたとされる複合材料は危険視されるべきではあるがMSの性能を決定づけるのは装甲材だけではない...過小評価するつもりもないが過大評価するべきでもない。どれだけ優れた装甲を有していようが既存のMSと同じ動力源ではGNドライヴ搭載機に対抗することは難しいと言えるだろう。先日のエクシアが損傷した件に関してはエクシアの機体特性...エクシアは可動域拡大のために装甲が細分化されており、また他のガンダムより関節の露出が多いため姿勢や角度によっては大きく防御能力が低下することになる...つまりはそれが原因なのだ。
そのようなMSを開発することは不可能である...ならばそのようなことに囚われて時間を浪費するなど無駄でしかないのだ。確かにユニオンのネットワークセキュリティは進歩しているようだがそれとこれとは別問題である...どちらかと言えばそのような新型MSの問題よりもユニオンのサイバー関連技術に対処するほうが優先されるべき問題であろう。ソレスタルビーイングには立ち止まっている時間などないのである、計画遂行のためにもふさわしくない人間は排除されるべきであろう。
最もガンダムマイスターにふさわしくないと判断していたアレルヤ・ハプティズムの評価は先ほど彼が提出した作戦プランを見て変わることになったのだが...
その作戦プランは宇宙に存在する人類革新連盟軍超兵特務機関への武力介入である。その機関は彼の出自、過去と関係しているのである。過去というものがあの男を歪ませているのならそれは自らの手で払拭する必要がある。それでこそガンダムマイスターといえるだろう。
この頃のソレスタルビーイングは内部がギスギスしていますね。ティエリアが精神的に成長するにしたがってそれも改善しますが...