宇宙 ラグランジュ1
ユニオン、米軍のMSパイロットであったデカルト・シャーマンにとってアムロ・レイとの出会いはまさに人生の転機というものであったのだ。
人類の革新...ニュータイプ...アムロ少佐と同じその素質があるのかはまだ分からないが少佐はその素質の欠片を感じ取ったらしいのだ。
確かに少佐と過ごしていると何か言葉に出来ないような感覚を感じることがある...宇宙に来てからはその感覚は尚更研ぎ澄まされているようであった。
ここラグランジュ1では宇宙世紀の技術が着々と再現されつつあったのだ。そして内部にはニュータイプ研究所が創設されておりサイコミュ技術の再現が着々と進んでいたのである。ニュータイプ研究所とはいっても宇宙世紀において連邦ジオン双方に存在したそれとはまた異なる性質の存在である...サイコミュ兵器の開発と言う部分においては共通するものではあるのだが将来的には民生転用を見据えたものであるし何より投薬やマインドコントロール、外科的手術においてニュータイプ能力を付与しようとしていた強化人間等の非人道的な研究開発は行われていないのである。ただしニュータイプの素質を持つ人間の才能を人工的に高める手法は研究されてはいるが...もちろん人道に配慮した方法でではある。
アーマーザガンに先日新型のシステムが組み込まれていたのである...それもただのシステムではない。
バイオセンサー...機体制御に関わるシステムでありこの技術は我々の世界では全く未知の技術であったのだ。
このシステムはただの機体制御を行うシステムではない...時として超常とも呼べる現象を引き起こす可能性がある代物なのだというのだ。
サイコミュと呼ばれる技術体系が確立されるまでに宇宙世紀において一体どのようなことがあったのか想像も出来ないが...ニュータイプというものの本質を考えれば逆行するような行いなのかもしれない。
同時刻 ラグランジュ1
※名もなき研究者視点
スペースコロニー内部に存在するドックにおいて例のMA、アーマーザガンとともに一隻のバージニア級輸送艦が改装作業を行っていたのである。
バージニア級輸送艦はユニオンが保有する宇宙輸送艦でありMSの母艦としても利用することが出来る大型宇宙艦艇であったのだ。その規模は人革連のラオホゥ級輸送艦よりも大きくまた性能とコストも上であった。
「しかし、何でです!?まだ量産が本格的に始まっていない融合炉をなんでまた輸送艦に...」
アイリス社からこのコロニーに本プロジェクトに参加している若い研究員はそう疑問を投げつけた。
「お前なぁ...MSが宇宙空間で単独で作戦行動できるわけないだろ。次世代機を運用するのにその母艦が旧式ではいかんでしょうが...」
バージニア級輸送艦の動力を熱核融合炉に換装し推進機関も熱核ロケットに変更する改装がこのドックで行われていたのである。
「しかし、融合炉のMSを運用するのなら艦艇も新型艦を用意するのが道理では!?」
「贅沢は言えんということだ、しかし例のラーなんとかっていう宇宙艦のデータは次世代艦に反映されるそうだ。期待していいだろうよ。」
「それもそうですけど...アーマーザガン2号機の開発は遅れることになりますよ。例のソレスタルビーイングの連中が活動している今、新型機の完成は急がなくては...」
「当然だ、だから例の1号機にバイオセンサーの搭載がされたんだろう。」
「バイオセンサー...確かにものすごい代物らしいですけどそれよりも例のフレーム...もしくはフルスペックのサイコマシーンの完成を急ぐべきですよ!あれさえあれば...」
「いくらデータがあるとは言ってもそれら全てを同時には不可能だ...それに完成させることが出来たとして扱える人間が足りん事くらい分かるだろう。」
「やはり強化人間...必要なんじゃないんですかね?」
「馬鹿か...それをやったら人革さんと同じになっちまうだろうが。それとも何か?貴様が改造人間候補にでも志願するつもりか?」
「案外それも悪くないかもですね。人革さんと違ってこちらの技術は成熟してるらしいですから...」
「...冗談でも教授と少佐の前でそんな事言うのは辞めておけよ。それに俺たちはパイロットじゃない...戦うのも人類の革新も適任者に任せておけばいい...自分の出来ることをやればそれでな。」
「それもそうですけどね...いつまでもテロリスト連中にガンダムを使わせておくことは我慢なりません。少佐もはやくやっちゃえばいいんですよ...あんな偽物のガンダムなんて。」
「偽物ではないだろう...違う世界の事だ、どちらが本物で偽物かなど判別できるわけがない。それに宇宙世紀の模倣を進めている俺たちが言えたことではない。」