宇宙 ソレスタルビーイング輸送艦 プトレマイオス
「今すぐにでもスイールに対して武力介入を行うべきだ、これは我々に対する挑戦と受け取ってもいい。」
ティエリアが強くそう主張するのはソレスタルビーイングとしては当然の事だと思われた。...しかし私は今回の件に関して、スイールの情報が殆ど入手出来ないでいることに不安を抱いていたのである。
「刹那とロックオンが中東に向かっているわ...今は彼らの報告を待ちましょう。」
実際のところ彼らが直接現地で活動したとしてどれだけの情報を収集できるのかは不明...有用な情報を得られる確率は低いと言えるだろう。
「悠長なことを言っている場合ではない、今すぐにでもガンダム全機を用いて武力介入を実行すべきだ!」
確かにスイールへの武力介入はヴェーダも推奨している事でもある...しかしそのヴェーダですらスイール内部の情報を得ることは出来ていなかったのである。
ユニオンに引き続きスイールまでも...ユニオンがスイールに対して技術的に協力しているのだろうか?...いやその可能性は低いだろう。
そもそもこのような状況自体ヴェーダの推測からはかなり外れた状況である...ヴェーダを過信しているわけではないけれど中東が連盟を結成するなど...彼らの背後に何かしらの力が存在している気がしてならないのだ。
地球 某所
「どうやら事態は我々の予想通りには進んでいないようだな、ヴェーダと言えど完璧と言うわけにはいかないか...」
そうつぶやいたのは表向きは国連大使を務めるアレハンドロ・コーナー...自らの発言とは裏腹にまだまだ余裕のある態度を崩してはいなかった。もちろん内心もそうなのであろうし彼が今現在の状況、中東の裏側の事情を全く把握していないからと言う事でもあるのだ。
何も知らない人間は気楽だね...
彼に表面上は付き従っているリボンズ・アルマークは事態の異質さに既に気が付いていたのである...いや異質に変化したのは中東だけではなく数年前よりからのユニオンにも当てはまる事柄であったのだ。
明らかに計画を歪めようとしている人物、あるいは組織が存在している。それも我々に殆ど尻尾を掴ませないままに。
気に食わないね、人間風情が...僕たちの邪魔はさせないよ。
中東 アザディスタン
アザディスタン内部の状況は今現在安定していると言っていいだろう。連盟結成に反対する保守派改革派双方の過激派などはある人物の思惑によって極秘裏に暗殺もしくは拘束されておりデモなどは発生していなかった。
シャア・アズナブルは今現在中東のアザディスタンを訪れていたのである...もちろん目的は観光などではない。
結局のところシャアがAEU軌道エレベーター、「ラ・トゥール」で得られた情報は殆ど無に等しい成果であった。当然の事ながら内部に潜入することは不可能であるのだからそれも当然の事であろう。しかし自らの感覚においてこの世界に存在してはいけないプレッシャーを感じ取っていたのである。
アムロと私以外にもこの世界にニュータイプが存在する...それも考え得る限り最悪の人物が。
懐から端末を操作して王留美にある指示を飛ばす...
「...本当によろしいのですか大佐?」
「ああ、事態はどうやら私の想像よりも悪くなりそうなのでな。」
「しかし彼が素直に受け取るでしょうか?警戒はされましてよ?」
「心配には及ばない、それに以前にも私は同じようなことは行っているのでな...」
このまま奴を放置すれば世界は誤った方向へと突き進むことになるだろう..
アムロ...貴様が本気で世界を変えようというのなら...
奴は私が倒さなくてはならないだろう、パプテマス・シロッコ...奴の存在をこの世界に許すわけにはいかない。