ユニオン MSWAD本部
その日のMSWAD基地は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。その騒ぎは輸送機が運んできたある物が引き起こしたと言っていいだろう。
「そんな馬鹿な!軍の正規の補給路に外部から割り込めるわけがない!」
ビリー・カタギリ技術顧問は補給部隊のある一人にそう問いかけたがそもそも運んできた当人たちが中身の物資の情報を保有してはいなかったのである。
しかしビリーはその中身の物資の正体についてそれが何であるのか一目で見抜くことが出来たのである。
輸送機から降ろされたコンテナの中身...それは赤い球状のポッドであった。MSの脱出ポッド...それもただのMSではないということはビリーと暫く時間をおいて現場に駆け付けたアムロには直ぐに分かったのである。
それを見た瞬間アムロ少佐の表情は一瞬で強張ったのだ...
「...シャアめ、一体何を企んでいる!?」
「少佐が来る前に軽く内部を調査してみたんだけどね...システムにトラップの類は見受けられなかったよ...最も我々がそれらに気が付けなかっただけかもしれないけどね。」
「...」
「内部にはサイコフレームの製造に関するデータと第一次ネオ・ジオン抗争以降に使用されたネオ・ジオン製MS、MAのデータ...それからサイコミュに関するデータも...それらが保存されているみたいだね。僕たちからしたらまるで宝の山そのものに見えるねこれは...」
方法は全く見当がつかないが間違いなくこれはあの赤い彗星ことシャア・アズナブルがアムロ少佐に送り付けてきたとみて間違いない...しかし一体なんの目的で?
彼が我々に協力してくれるのだろうか?...いや、だったら直接アムロ少佐の前に現れたらいいはず...彼らの関係は僕にとって複雑怪奇であり理解することは難しい...しかしただ憎しみ合っているだけの関係ではないことは確かであろう。
「しかしこれでサイコミュ研究は一気に進むことになると思うよ...いや、答えを見たのだから研究が進むという言い方はちょっと違うかな...カンニングのようなものだね。」
僕がそう語り掛けてもアムロ少佐からの返答は返ってこなかった...しかしその表情から僕は彼の内心を察して暫く話しかけないことに決めたのだ。
ともかくこの赤いポッド...いやネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルが最後に搭乗したMS、サザビーの脱出ポッドは宇宙であるラグランジュ1に存在する我が陣営のスペースコロニーに極秘裏に輸送することが決定したのである。