宇宙 ソレスタルビーイング輸送艦 プトレマイオス
ブリーフィングルームに地球にいる刹那とロックオン...それにヴェーダのターミナルユニットに入ったまま出てこないティエリアを除いたトレミーのクルーが集まっていた。刹那とロックオンに関してはリモートで今回の作戦会議に参加はしてもらっているが...
スイールでの戦闘...結果的に言えば当初の目的だった威力偵察は十分すぎるほどの成果を得ておりそれだけ見れば大成功のミッションであった...問題は今回の偵察で得られた情報にあるといえるだろう。
「今回の戦闘で得られたデータ...太陽炉搭載MSに艦艇の出現...それにレーザー兵器搭載のMSの量産....何もかも想定外の事態ね。」
戦術予報士であるスメラギ・李・ノリエガがそう口を開く...
「何者かがソレスタルビーイングの技術を盗み太陽炉を建造した?」
ガンダムマイスターの一人であるアレルヤ・ハプティズムが自らの意見を口にした...
「太陽炉の設計データはヴェーダの中にしか存在しないわ...つまり...」
「いや、そもそもあの太陽炉が本当に我々のものと同一の存在かどうかすら判断できん...現物を見たわけではないのでな。」
プトレマイオスの整備士であるイアン・ヴァスティはそう発言した...
確かに私たちはあの太陽炉搭載兵器について詳しいデータを持っていないのだ...中身を調べたわけではない。本当にあれは太陽炉なのかどうか...結局のところ現物を調べなければ断定はできない。
「太陽炉だけではない、あの大型陸上艦艇やレーザー兵器搭載MSの量産、そして原子力発電及び核兵器開発...ヴェーダや三大国家群の監視を搔い潜りそれをスイールはやってのけた...我々に今の今までその兆候すら掴ませずにな。」
「...あながちそうとも言い切れないわよ。一年前の記事だけどこれを見て。」
スメラギさんが大型モニターにある新聞記事の見出しを映し出した。
それは日本で発行されているある新聞であった。しかしその見出しを見たリヒティは思わず吹き出しそうになってしまった。
「...スメラギさん。これってスポーツ新聞じゃないですか...しかも何ですかこの一面は...」
その新聞は日本、経済特区東京に本社を置く歴史の長いある新聞社が発行しているものだった。しかし普通のスポーツ新聞の一面とはかなり趣の異なる記事がたまに掲載されることで有名であるらしいのだ。その新聞の名は帝東スポーツ、略して帝スポらしい...
その一面に掲載されたその記事のタイトルとは...
中東地域で巨大不明生物の目撃相次ぐ!伝説のデスワームついに発見か!?
一見ただのゴシップ記事...それもかなりオカルト色の強いものであったのだが...
「なるほど...案外この手のゴシップ記事も馬鹿には出来ないという事か。」
「えぇ...こんな記事のどこが...」
「イアンからスイールで確認されたあの謎の太陽炉搭載と思われる艦艇の説明を聞いてからこの記事を読めば理解できるかもしれないわね...イアン、お願い。」
「ん?そうだな、まだ全員に説明はしていなかったが例のあの艦艇...太陽炉と思われる動力源を搭載している以外にもいくつかの特徴が画像からでも確認出来た...モニターに出してくれ。」
今度はモニターに例の大型陸上艦が表示され、艦首が拡大された。
そこに装備されていたのは大型の掘削機のような兵装であった...一体何のためにこんなものを軍艦に搭載するのかリヒティには理解できなかったが...
「この装備の特徴...そしてあの作戦エリアに突如として現れたことから考えてこの艦艇は恐らく砂中を移動できる可能性が高い...潜水艦ならぬ潜砂艦と言うわけだな。」
「まさか...そんなSF小説に出てくるような兵器実現できるわけが...」
「いや、太陽炉、GN粒子の恩恵があれば出来ないこともない。」
リヒティはその情報を聞いて唖然とした...音声だけのため刹那とロックオンの表情は分からないが、他のトレミーのメンバーもなんとも言えない表情をしていたのだ。クリスだけは若干笑みを見せていたが確かに笑ってしまうのも無理もないかもしれない。
しかしもし潜砂艦なる兵器が本当に実現可能でありスイールが保有しているそれが該当するのであれば...
あのゴシップ記事はそういう事だったのか...
「なるほど...つまりこの記事に書かれている巨大不明生物とはスイールが保有していた例の艦艇が砂中を移動しているときに地元民が目撃したもの...まさか砂の中に船があるとは思いもしない...未知の巨大生物と誤認したという訳か。」
ラッセ・アイオンが感心したように再び記事を読み始めた...
ヴェーダにおいて日々世界中のニュースなどを収集する役割も存在する...たとえそれがゴシップ記事の類であろうと例外ではなく、ネットに配信された物であればどんな記事や情報であっても収集されるのだ。しかしその情報の重要度はランクごとに分けられ今回の記事のようなものは最低レベルのものにカテゴライズされるだろう。もっとも今回の件でヴェーダを責めることは出来ない...たとえ人間が情報の優先度を分けていたとしてこんな記事から今回の件を推察することなど不可能であろう。
「意外なところにヒントはあるものね...ちなみに直近ではこんな記事も出ているわ。」
スメラギさんが端末を操作して再び帝スポの一面がモニターに表示された...それは3日前の記事であった。
エイリアンの地球襲来は近い!?専門家が警鐘を鳴らす木星で観測された重力異常の謎に迫る!ワームホールは実在する!?人類よ、未知との遭遇に備えよ!
「流石に今回の記事にはヒントになりそうな事はないですよね...でもまあ、この新聞社の記事をチェックするくらいなら空いた時間に出来ますから、メンバー全員でこれから購読でもしますか?」
「了解した。」
リヒティが半分冗談で言ったその一言に刹那が反応してしまった...
前回とは違う意味合いのオカルト回...
今回の話は競馬予想中にあの新聞読みながら何となく思いついたものです...