ユニオン MSWAD本部
1機のフラッグが飛行形態のトップスピードで目標に接近していた...相対している敵機は自らの機体よりも旧式であるリアルドと呼ばれるMSでありその形態は飛行形態ではなくMS形態であった。
フラッグの操縦桿を握るのはユニオン、米軍が誇るフラッグ・ファイターの一人でありアラスカのジョシュアの異名をとるジョシュア・エドワーズ少尉その人であった。
何度このシチュエーションを体験したか...しかし今回は前回までと同じ結果になるはずがないとジョシュアは自分に言い聞かせていた。
先手を取ってリアルドに向けリニアライフルを数発発射する...敵機の死角、明らかに背後を取っての攻撃だったがリアルドはその攻撃を当然のように回避する...奴は背中にも目をつけているのかと疑いたくなるような動きだが今更その動きに驚愕している暇などなかったのだ...こんな光景は幾度となく俺は体験したのだから...
こちらは機体の性能では勝っている...そのままジョシュアのフラッグは急上昇し敵機の頭上から急降下、気に食わない上官の名前が付いた技である空中変形を行いリアルドに対してプラズマソードを構え突撃を開始したのだ。
ユニオンフラッグは換装作業なしでの変形を可能としてはいるが空中変形には基本的には対応していない仕様である...しかしパイロットの技量次第では可能であり初めてこの空中変形を行ったパイロットの名前から命名されグラハム・スペシャル呼ばれている。
プラズマソードをリアルドに向け横薙ぎに一閃する...しかしリアルドは寸前でその攻撃を屈みこむように回避しその手にしているソニックブレイドがフラッグのコックピットに迫り...
そこでジョシュアは自らに撃墜判定が出たことを悟ったのだ...訓練用のシミュレーターから出るとヘルメットを脱ぎ地面に叩きつける。
また負けた...それも本人ではない、ただのシミュレーターに...
あの模擬戦から作り出された、ただのデータ...それにすら俺は一勝どころか敵機にかすり傷すら負わせることが出来ないでいた。
ジョシュア・エドワーズ今まで自らの人生でこのような経験をしたことは無かった...ハイスクール時代から含めて自らの敵は全て叩きのめしてきた、挫折など味わったことが無かった。
何故俺は勝てない、奴に...あの人に...
俺はあの人に勝ちたい...
その時だった、頬に冷たい感触を感じ、振り返ると冷たい缶コーヒーを差し出した同じくオーバー・フラッグス隊のハワード・メイスン准尉であった。
「...どういうつもりだ?俺を笑いに来たのか?」
「まさか、ただ俺は少し誤解していたようだ...少尉殿。」
「ふん...」
「お付き合いしますよ、少尉殿。一人で訓練するよりかは得るものも多いでしょう。」
「勝手にしろ...」
宇宙 ソレスタルビーイング輸送艦 プトレマイオス
チームトリニティが去り、スメラギ・李・ノリエガ他、プトレマイオスのメンバーはイアン・ヴァスティが隙を見てスローネの機体を解析した結果の報告を受けていたのだ。
「あのスローネって機体だがシステムや装甲は我々と同じ技術が使われていた...」
「やはり...」
「しかしGNドライヴの炉心部にTDブランケットが使用されていない...ドライヴ自体の活動時間は有限、言ってみればこいつは疑似太陽炉だな。」
「恐らくはスイールが保有しているGNドライヴも同様のものとみて間違いなさそうね...」
情報がヴェーダから漏洩している...もはや疑いようのない事実である。それにしても情報が少なすぎて状況を読むことが出来ない...
しかしトリニティが私達の仲間だと世界が思い込んでいるのなら今ミッションを遂行するのは危険...様子を見ながら情報を少しでも集めて対応を練らなければ...