AEU 議会場
AEU、新ヨーロッパ共同体は欧州を中心とした協議制を取る国家であり世界三大国家群とよばれる超大国のひとつであった。
その議会場でヨーロッパ各国の代表が声を荒げ議会は紛糾していたのである。
その原因はつい最近になって現れたソレスタルビーイングの新型ガンダム3機への対応及びソレスタルビーイングと言う組織へのAEUの対応についてであったのだ。
当初新型のガンダムは人革連に対してのみ武力介入を行っておりAEU内部では危機感こそ存在するもののどこか対岸の火事のような扱いであった...
しかしユニオン、東京への武力介入という事態が発生し事ここに至り、もはや他人事ではなく自らにその刃が向くのは時間の問題であるとの認識はAEU加盟各国の共通認識になっていたのである。
「軍備増強!それしかない!連中に対抗するには...」
「それもそうだが我々だけで彼らに対抗するのには限界がある!ユニオンや人革連に協力を仰ぐべきだ!」
「いや、こうなったら彼らの要求を受け入れるという選択肢も考えなくては...」
「何を馬鹿なことを!」
議会は紛糾、2時間が経過しようとした今においても何一つ進展は見られなかったのである。
これがAEUの最大の欠点と言えるかもしれない特徴であったのだ...各国の協議制とはすなわち其々が自国の国益を優先するということでもあり、AEUがユニオンや人革連に対して宇宙開発で後れを取っている原因でもあったのである。
状況を冷ややかに観察していたイギリス代表はそんな紛糾している議会の中である違和感を感じたのである。
それはドイツ、イタリア、スペインの代表が他国に比べて発言が極端に少なく、そして冷静さを保っていたことに対してであった。
イタリアやスペインはともかくドイツはAEUの経済を牽引し、今までの議会でも声を大にして自らの意見を主張することが多かったのである。
それが今回は沈黙に近い姿勢を保っていた...あのドイツ代表の女性議員の性格は知り尽くしているつもりではあるが...それがイギリス代表議員に違和感を抱かせたのだあった。
「ひとつ、提案があります。」
2時間の沈黙を破り唐突にドイツの女性代表が口を開いたのであった。
「我々はあくまで民主主義を尊重し、実質的にアメリカの意向のみが採択されるユニオンやそもそもそのような概念が存在しない人革連に対して世界をリードし民主主義の正当性を貫いてきたという自負があります...しかし協議制に固執するあまり他陣営に後れを取っていたことも事実として認めなくてはなりません。」
「何が言いたい!?」
「我々は今転換期を迎えているということでありますよ、今我が陣営が直面している未曽有の危機に対し我々の動きはあまりに遅すぎると言っているのです。」
「あなたは協議制を否定するというのか?」
「そうではありません、しかしこの非常時において我々の制度はあまりに非効率的と言わざるを得ないのです...そこで我がドイツはこの危機に立ち向かうためAEU議会において最高決定権を持つ議長選出の動議を提出します。」
その発言、提案は議会にどよめき、困惑を与えたのであった。
しかしそのドイツ代表の発言にイタリア・スペイン代表は静かに相槌を打っていたのであった。
イギリス代表はその様子を観察し既にドイツ代表がイタリアとスペインに根回しを済ませていたことを確信したのであった。
やられた...我が陣営は協議制、様々な思惑が絡み合い物事が進みにくいというデメリットが存在するのではあるが、逆に加盟数ヵ国の賛成さえ得られるのであるならば自らの主張を通しやすいということでもある。
しかしいつの間にそのような事を...イギリスの諜報能力は世界でも随一である、ドイツの動きを今まで察知できなかったというのは失態と言わざる負えない...
「我がスペインはドイツ代表の発言に賛成を致します、そしてそれと同時に議長においては現在の世界情勢を鑑みてAEUにおける最高決定権、非常時大権を与えるべきであると考え、それの付与を提案する次第であります。」