宇宙 ラグランジュ1 ユニオン、スペースコロニー
アーサー・グッドマン大佐はホーマー・カタギリ司令の命令を受けラグランジュ1のコロニーへ急行したのであった。
我が陣営へのソレスタルビーイングの武力介入...それも東京への攻撃は完全に想定外の事態であったのだが...
しかしつい先ほどコロニーへ着任したばかりのグッドマン大佐に開示された情報は東京への武力介入以上の衝撃をもたらしたのであった。
この現状...全てが異常事態と言ってもいいほどであった。
そして我が陣営の威信をかけて今まさに動き出そうとしている作戦は表向きこそ私が作戦の指揮を執ることになってはいるがそれは文字通り形ばかりのものであったのだ。
会議室でこれから発動されようとしていた作戦について説明されているとき、私はまさに蚊帳の外にいるような扱いであったのだ。
「...ワシの推測ではソレスタルビーイングが武力介入を行うにあたりそれらを支援するネットワークシステムが世界中に張り巡らされておるはず...恐らくは量子型演算処理システム...量子コンピュータと呼ばれるものじゃろうて...」
レイフ・エイフマン教授が今回の作戦に参加するであろう人員へ説明を行っていたのであるが、その話の大部分をグッドマン大佐は理解できていなかったのである。
そしてエイフマン教授に代わりアムロ・レイ少佐と呼ばれる人物が大型モニターの前に立ち発言を始めたのであった。
アムロ・レイ...彼に関する事柄についてにわかには信じがたい情報ではあったのだが、彼がこの世界に持ち込んだ証拠を見せられたのであっては信じざるを得ない。
「合衆国政府、及びユニオン加盟国へのネットワークへの不正アクセスについて調査結果が出ている...こちらの情報はほぼ彼らに筒抜けであると考えたほうがいい。」
なるほど...エイフマン教授とアムロ少佐の発言が真実であるのならばこの異常なまでの情報管理体勢の説明もつく。
続けてアムロ少佐が発言を続けた...
「恐らく彼らの武力介入の根幹を担うのはこの量子コンピュータと見て間違いない...このシステムが存在する限り現在確認されている7機のガンダムを破壊出来たとして連中の計画を阻止することは叶わないと推測される。」
「つまり我々の最優先目標はソレスタルビーイングのガンダムを撃破する事ではないと少佐はおっしゃるのですかな?」
その発言を受け思わずグッドマン大佐はアムロ少佐に問いかけたのであった。
「その通りです。今回の作戦は彼らの活動の根本を断ち切るため、その根幹を担う量子コンピュータの確保にあります。」
アムロ少佐が指をモニターに指すと地球上に存在するタワー、天柱、ラ・トゥールの三大国家群に存在する軌道エレベーターの情報が表示されたのであった。
そしてエイフマン教授が再び発言を始めたのであった。
「これほど大規模なシステムじゃ、稼働させるためには膨大な電力を確保する必要がある...恐らくは各国家陣営の太陽光発電システムに介入して電力供給を受けているじゃろう...」
教授の発言に続きアムロ少佐が話を続けた...
「だから今度の作戦は地球圏に存在する太陽光発電システムを一時的にダウンさせ連中のシステムの所在地を明らかにする。」
つまり作戦の概要はこうである。
ソレスタルビーイングが保有する量子コンピュータの所在を明らかにするために天柱、ラ・トゥールに潜入している我が陣営の諜報員が破壊工作及びコンピュータウイルスを用いて電力の送電システムを一時的にダウンさせ、また我が陣営のタワーの発電システムを意図的に制限する。
しかし我が陣営の発電及び送電システムをほんの少し維持することによって、この緊急時において優先的に電力供給されるように操作されているであろう箇所をこちらから追跡、ソレスタルビーイングの量子コンピュータの所在地を明らかにしようとする作戦である。
本作戦はほぼ全て仮説の上に成り立っている不安定なものであり仮に彼らが自前の発電システムを備えていたとしたら作戦の根本が崩れることになるからである。
しかしその可能性は低いとエイフマン教授は推察していた...恐らく量子コンピュータのメインターミナルが設置されているのは地上ではなく宇宙であろうと教授は考えていたのであった。
であるならばメンテナンスなどに多大な人員を必要とする発電システムを自前で備えるよりも太陽光発電システムによる送電を受ける方がはるかに効率的である...仮に地上に備えられていたとしても彼らの組織の特性上目立ちすぎる大規模な発電システムを備えているとは考えにくい。
二段構えの作戦であった。
アーサー・グッドマン大佐には動力機関を核融合炉に換装し武装も強化されたバージニア級輸送艦が与えられたのであった...オーバー・フラッグス隊も宇宙への配属転換命令がなされており大規模な宇宙戦の準備が着々と進められていた。
もし地上にそのシステムが存在した場合には別のプランが用意されているのであるがそれは地上部隊と工作員の連携により対応する予定である。
天上人より自由を取り戻す...
我々は再びこの手に自由を手にするための作戦であるとカタギリ司令直々に今回の作戦を命名したのであった...
再征服作戦
オペレーション・レコンギスタはまさに実行に移されようとしていたのであった。