地球 某所
タリビアのユニオン脱退の声明を受けてユニオン・米軍の艦隊がタリビアに進路を向けていたそのころソレスタルビーイングのガンダムもまたタリビアに向かっていた。もちろんタリビアに武力介入を行うためである。そして今まさにガンダムによるタリビア軍への攻撃が始まろうとしていたのだ。
「声明でこう言ったはずだ、ソレスタルビーイングは戦争をほう助する国も武力介入の対象であると...」
アレハンドロ・コーナー...表向きの肩書は国連の大使であるのだがその正体は200年に渡ってソレスタルビーイングの監視者を務めてきたコーナー家の末裔である。そしてさらに彼の、いやコーナー家の野望はそのイオリアの計画への介入でもあったのだ。
ソレスタルビーイングには組織を運営する上での協力者はもちろん監視者という者達も存在する。彼らはヴェーダへのLv3のアクセス権を持ちまた監視者による全会一致という条件はあるがヴェーダに対する計画の中止や拒否権を有しているのである。これは恐らくヴェーダに対するストッパーとしての役割を期待したものであるだろう。ヴェーダはあくまで機械である、いくら高性能であろうが完全に人間を理解しているわけではなくまた判断は機械的である。そのヴェーダがもし暴走を始めた場合の安全策として彼らは存在しているのである...
しかし監視者であるはずのアレハンドロ・コーナー及び同じく監視者であるリニアトレイン公社総裁、ラグナ・ハーヴェイは結託し計画への介入を画策していたのだ。
これもアレハンドロがリボンズ・アルマークとの運命の出会いがあったからこそと言えるだろう。
彼との出会いで今まで難航していた全ての事柄が劇的に進行したのである、あとはついに始まった本格的な武力介入のタイミングを見計らってこの私が主役になるのだ。
そう世界を変えるのはこの私、アレハンドロ・コーナー
イオリア・シュヘンベルグもソレスタルビーイングもそのための踏み台になってもらう。そして世界を私色に染め上げる。
地球 某所
王留美...世界的に有名な王家の当主でありソレスタルビーイン出資者兼エージェントでもある彼女は若干17歳でありながら組織にはなくてはならない存在と化していた。しかし彼女はイオリアの計画に完全に賛同しているわけでもなかった。
彼女が求めたのは世界の変革、たとえどのような世界になろうが変わりさえすればいいと思っていたのだ...しかしその彼女の考え自体が変わることになった。そう、つい最近になって彼女の考えは劇的に変わっていったのだ。それは彼女に同行している兄である紅龍にもはっきりと実感出来ていた。
何故、彼女に何が起こったのかは紅龍にも不明であった、しかし最近何やら誰かしらと極秘に通信を行っているようでありまた護衛もつけずにどこかに赴いているのを紅龍は把握していたのだ。
しかし彼にはそれを問いただすことは出来なかった。兄とはいえ今は使用人として仕える身...いや兄だからこそこの件に関してはあまり問いただしてはいけないような気がしていたのだ。
「お嬢様、スメラギ・李・ノリエガよりユニオンの月面での鉱物資源採掘に関する情報収集の要請がありましたが...」
「ええ、確かに今のユニオンに関する情報を得るのは少々難易度が高い...しかし今は私にも為すべき事と言うものが存在するのですわ。」
「為すべきこと...それはソレスタルビーイングの活動よりも優先することなのでしょうか?」
「ええ、もちろん。今の私にはイオリアの計画や理念ですらもうどうでもよくてよ。」
「!!」
「でも彼等にも一応今の段階では協力する姿勢は保たなくてはならない...やることが多くて大変ね。」
紅龍には何のことかさっぱり分からなかった、しかしお嬢様が、留美がこんなにも上機嫌だったのは今まで無かったことである。まるで人生で生まれて初めて喜びを知ったような...紅龍にはそう見えたのである。