シックスがいろんな世界に転生してはボコられる話   作:Schun

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転生物ですが今回は逆行転生要素もあります。




シニカル天才学者春川英輔と実況の遠藤くんと解説の小林さん

「…………ここは?」

 

 目を覚ますと見慣れた天井が目に入って来る。

 起き上がり辺りを見回すとかつての自分の家の寝室のようだ。

 

「確か……ネウロに……」

 

 そう、自分はネウロに殺された筈だ。何故かつての自宅にいるのだろうか。

 考えていても仕方ないので寝室を出ることにする。ドアを開けても見慣れた景色しか見当たらない。携帯電話やテレビを見るとネウロに殺される7年程度昔のようだ。鏡に映った姿も若返っている。

 

「これは……」

 

 創作でよくあるタイムスリップなのだろうか? インターネットで過去の出来事を調べても相違はない。部下を読んで質問してみても自分の立場は以前と変わらないようだ。

 

「これならば……」

 

 ネウロを殺せる。

 

 この時代には女子高生名探偵桂木弥子、ひいてはネウロは存在しない。ならば幾らでも対策は出来るし、前世で活躍していた警察共も事前に殺せる。

 前世の自分は人間を侮り過ぎた。下等生物には違いないがそれでも人間に対しての猿人類程度には賢いのだ。優れた人間ならば慢心した「新しい血族」の驚異になる事を自覚しなければならない。

 だが所詮下等生物だ。慢心を捨てた「新しい血族」に叶う筈がない。

 

「今度こそネウロを屈辱と絶望で彩ってあげよう」

 

 

 

 

 

 □□□□□

 

 

 ──錯刃大学病院特別脳病科治療施設──

 

 

「……そうか、君はあの本城博士の娘か」

 

「はい、10月18日に生まれた1人…………そんなのが名前の由来だそうですけど、意味わかります?」

 

「10の18乗分の1、漢字文化圏では極小数の単位『六徳』の10倍、『弾指』の10分の1、つまり刹那か」

 

 既に国内で並ぶ者の無い脳科学の権威だった私が……治療と研究を依頼されたうちの一人、それが彼女だった。

 脳科学は……まさに彼女のような特殊な症例の患者の協力で進歩してきた。

 どんな未知の病気であろうが……私には治す自信があったし、私にとって彼女は……貴重な実験体のひとりにすぎなかった。

 

「見て見て! まだ刹那さんの事を被験体としか見てなかった頃の春川英輔だよ遠藤くん! ここからどんどん心開いてくから!」

「へー、医者と患者が惹かれ合ってくってストーリーなのかな?」

 

 なんだ……この声は……

 

「そうなんだけどそうじゃないの、先に結末を言っちゃうと春川教授の努力虚しく刹那さんの脳細胞の破壊を止める事が出来ず、末期は凶行や暴言を繰り返すから正視に耐えられないようになって、そして遂に死んじゃって……、それでプライドの塊だった春川教授は電子世界で刹那さんを生き返らせようと執着することになっちゃうの」

「重い……重くない……?」

「残念ながらそれだけじゃないの、刹那さんを0から創る為に自分を電子世界にコピーした人工知能『電人HAL』を作ったんだけど、思い出だけで人間を作るなんて何年あっても足りないから電人HALが春川教授を殺しちゃうの、そして原子力空母を乗っ取って脅して手に入れたスパコンで刹那さんを創ることにしたんだ、それが絶対叶わない事を知りながら……」

「えっあのさ、なんで漫画にそこまで心折られなきゃなんないの? トラウマを植え付けるのが目的なの? 作者は悪意の塊なの?」

「さすが遠藤氏、理解が早いな〜素晴らしい」

「その悪意の塊ってのが実は間違って無いんだよね〜、刹那さんの病気の正体は失敗前提の薬物投与なんだよね」

 

 何……! 

 

「終盤に出てくるラスボスのシックスが刹那さんの父親、本城二三男に『愛娘を実験体に差し出す顔が見たい』って理由だけで脳や神経を破壊する薬を使わせたんだよね」

「なにその吐き気を催す邪悪は……」

 

 本城博士の本名を知っている……これは脳が作り出した幻聴か? 白昼夢か? 

 

「はいでは早速! 最も精神(メンタル)にクると私の中で話題の! 電人HALが消去されるシーンまで読んでみましょー!」

「やだよ! ぜってーかわいそうじゃん!!」

「そこがいいじゃん! 死に際にちょっと報われるし! 一緒に電人HALが死ぬシーンで泣こう!」

「そんでその悲しみを胸に春✕刹の二次創作やろう!」

「やだよ!!!」

 

 それ以後幻聴か白昼夢かわからない2人の男女らしき声は聞こえなくなった。

 

「教授?」

「ああ、済まない。少し考え事を」

 

 先程の幻聴は何だったのか、周囲を見ても私にしか聞こえていなかった。この手の幻聴は脳が作り出した物に過ぎない、少し働き詰めたのだろう。

 だが私が知り得ない情報も混じっており幻聴で片付けて良いものか。

 果たして幻聴が神託のように私の未来を示していたとしたら私は……

 

 

 

 いや、私は天才春川英輔だ。この頭脳で叶えられなかった事など何一つない。

 

 

 

 □□□□□

 

 

「チッ、試練を強くしたつもりが計算外だ」

 

「やかましいっ!! もう二度と変な邪魔しないでよね!!」

 

「安心しろ、我が輩もそうそうちょっかいを出すヒマはない。吾代の持って来た資料から、次の『謎』の気配を探すのだ……む、これは」

 

「どうしたのネウロ? 『謎』見つかった?」

 

「ふむ、この『ゾフィア・キューブリック暗殺テロ事件』この資料から微かに『謎』の気配がする」

 

「それってどんな事件なの?」

 

「少し前に日本の新聞にも載った事件を知らないとは……貴様の脳はヒメマルカツオブシムシ以下のようだな……」

 

「何故その害虫!?」

 

「ほら、貴様にも見せてやる」

 

「えっと……死の商人として有名だった社長がテロで殺された事件……でもこれテロの様子がカメラに映ってるじゃん、本当に『謎』なの?」

 

「そこは現場を見れば解かる事」

「行くぞヤコ、『謎』の気配だ」

 




今回のコラボ先
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん



没サブタイトル「Vやねん! 『新しい血族』!」
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