英雄機ドランノーガ   作:兵庫人

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現在製造中

「おめでとうございます、マスター♪」

 

 サイがドランノーガを一歩前進させると、その隣でピオンが嬉しそうな笑みを浮かべて拍手をする。ゴーレムトルーパーを動かせた興奮でピオンのことを忘れていたサイは、彼女に祝われて照れくさそうな表情となり礼を言う。

 

「あ、ありがとう、ピオン。でもまだ一歩歩かせただけなんだがな」

 

 顔を赤くしながら言うサイにピオンは首を横に振って答える。

 

「いえいえ。一歩歩かせただけで充分です。ゴーレムトルーパーの操縦は全て今のと同じ要領ですから後は適当に動かしているだけですぐに上達しますよ。……ですけど」

 

 そこでピオンは一度言葉を切ると僅かに残念そうな顔をする。

 

「ここではあまりドランノーガを動かせそうにないですね」

 

「……ああ、そうだな」

 

 ピオンの言葉にサイもその理由を気づいて頷く。

 

 今いる草原がイーノ村から離れているとはいえ、ドランノーガのような巨大な機体を不用意に動かしていたら村民の誰かが気づくかもしれない。見たこともないゴーレムトルーパーがいつの間にか村の近くで動き回っていると知れたら村はパニックになるかもしれないし、それはサイも望むことではなかった。

 

「動かすのはこれで止めにしといて、次はドランノーガの武装などの再確認とその使い方を学びましょう。マスター、ドランノーガの図面を出してもらえませんか?」

 

「分かった」

 

 ピオンに頷いてサイは頭の中でドランノーガに命令を送る。すると前方の景色を映し出している壁に三枚の画像、前と上と横から見たドランノーガの図面が現れる。

 

「ではまず……」

 

 そこからピオンによるドランノーガの武装の解説が始まった。

 

 ドランノーガの武装があるのは上半身の人型の両腕、下半身の竜の前腕部に頭部の角。戦闘ではこれらの武装を使い、後は下半身の竜の前腕部と尻尾に牙で敵を殴ったり噛み砕いたりする。

 

 一応サイはドランノーガの武装の知識も先程脳に刻み込まれたのだが、ピオンは再確認の意味も込めてこれらの武装の性能を解説して、どの様な場面で使うのかを丁寧にサイに教えていく。そしてその説明は非常に分かりやすいものであったが、ホムンクルスの少女は相変わらず自分の主人である青年に抱きついたままで、中々集中できずにいるサイであった。

 

「……ん? なぁ、ピオン? あれは何だっけ?」

 

 そう言ってサイが指差したのは、ドランノーガの上半身の人型の後ろにある四角形の装置。それは昨日、このゴーレムトルーパーがピオンを吸収した直後に自己進化機能で作り出したものであったが、何の装置か思い出せなかった。

 

「もうお忘れですか? あれはホムンクルスの体を製造して保管する為の装置です」

 

「ああ……。そういえばピオンがもし死んでしまったら、あそこから新しいピオンの体が作られるんだったな」

 

 今のピオンはドランノーガの専用オペレーターで、死んでしまっても新しい体が作られる。その話を昨日、本人から聞かされたのを思い出してサイが一人頷いているとホムンクルスの少女が口を開く。

 

「それもありますけど、それだけじゃないんですよ、マスター? あの装置が今製造しているのは私の予備の体だけじゃないんです」

 

「ピオンの体だけじゃない?」

 

「はい。マスターは私が保管されていた部屋に、私の他に三人のホムンクルスがいたのを覚えていますか?」

 

「ピオン以外のホムンクルス? それも三人? ……もしかしてアレか?」

 

 サイとピオンが初めて出会った前文明の遺跡の一室。そこには四つの保存カプセルがあり、その中の一つにこのホムンクルスの少女が保存されていて、他の三つにはミイラと化した三人のホムンクルスの遺体があった。

 

 そして今ドランノーガは、その三人のホムンクルスの新しい体を、専用オペレーターの予備の体と一緒に製造しているのだとピオンは言う。

 

「でも……何でドランノーガがあのホムンクルスの体を作れるんだ?」

 

「マスター。よーく思い出してください。昨日、このドランノーガは私を吸収する前に何をしていました?」

 

「ピオンを吸収する前? ……ああ!?」

 

 ピオンの言葉に何かを思い出したサイが思わず声を上げる。

 

 昨日、ドランノーガはピオンを吸収する前に前文明の遺跡の一部、サイとピオンが初めて出会った一室の壁を破壊して、下半身の竜が部屋にあったホムンクルスの少女の体を保存していた保存カプセルを食べて吸収していた。だがその時に吸収したのはピオンのカプセルだけでなく、他の三つのカプセルも吸収していたようだ。

 

「あの時に……」

 

「はい。保存カプセルと一緒にあの三人のホムンクルスも吸収させました。完全にミイラ化していた為、体の製造にはもうしばらく時間がかかりますけど、体が製造されれば私と同じくマスターの補助をさせる予定です」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 いつになるかは分からないが、ピオンみたいなホムンクルスが三人増える事にサイが驚きを隠せないでいると、ピオンはそこに言葉を付け加える。

 

「ちなみにですが、今体を製造している三人。全員女性で私と負けず劣らずの巨乳の美人揃いみたいですね」

 

「っ!? それは本当か!?」

 

 これから増える予定のホムンクルスが全員巨乳の女性だと聞いてサイ……でなく巨乳好きの馬鹿はこれ以上なく真剣な表情となった。

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