英雄機ドランノーガ   作:兵庫人

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常識からかけ離れた機体

「う、く……」

 

 大蛇に乗った騎士のゴーレムトルーパーの操縦席で、ゴーレムトルーパーの操縦士はうめき声を上げて目を覚ました。

 

「ここ、は……? 身体中が、痛い……何故?」

 

 身体中に走る痛みに耐えながら立ち上がる操縦士だったが、記憶が混乱していて自分が今何処にいて、何故身体中に痛みがあるのか分からなかった。しかし操縦士はすぐに自分の身に起こった事を思い出して理解した。

 

 あの空から降って来た、翼を生やした竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーに不意打ちをくらって一撃で戦闘不能にされた事を。

 

「あのゴーレムトルーパーめ……!」

 

 操縦士は不意打ちを仕掛けて来た竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーと、まんまと不意打ちをくらってしまった自分に強い怒りを覚えた。そして自分が乗るゴーレムトルーパーを動かそうとするが動かず、次に現在の機体の状況を知らせる画面を呼び出す。

 

「これは……!」

 

 呼び出した画面を見た操縦士は驚きで目を見開いた。大蛇に乗った騎士のゴーレムトルーパーは不意打ちの一撃で大きなダメージを受けていて、自己修復機能を使っても動けるように回復まで長い時間がかかり、不意打ちとはいえ一撃でここまでのダメージを与えた竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーに驚異を感じずにはいられなかった。

 

「尻尾を一振りするだけでこれだけの威力……あのゴーレムトルーパーは一体……っ!? そうだ! モンスターの大群は!?」

 

 そこでようやく操縦士は自分が先程までモンスターの大群と戦っていたのを思い出し、慌てて周囲を見回す。すると自分に不意打ちを仕掛けた竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーが、空を飛んでモンスターの大群へと炎を降らせている光景が見えた。

 

「な、何だ? あれは……?」

 

 操縦士は竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーが戦う姿を見て思わず呟いた。それだけ竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーの戦いは、現代のゴーレムトルーパーの常識からかけ離れていたのだ。

 

 まず、これは竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーの操縦士も言っていたのだが、現存するゴーレムトルーパーで空を飛ぶ機体など今まで見た事も聞いた事もなかった。ゴーレムトルーパーとは地上の戦場を高速で駆け抜け、敵陣に突入してこれを殲滅する兵器、巨大な鋼鉄の騎兵なのである。

 

 それ故に「ゴーレムトルーパー(動像の騎兵)」。

 

 そして竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーが現代のゴーレムトルーパーの常識からかけ離れているもう一つの点。それは先程から上空からモンスターの大群に向けて無数の炎の玉を放っている上半身の人型の両腕。

 

 空を飛ぶゴーレムトルーパーもそうだが、操縦士は「飛び道具を使うゴーレムトルーパーなんて見た事も聞いた事もなかった」のだ。

 

 ゴーレムトルーパーには機体ごとに特殊な機能や武装があるが、それは全て機体の性能を上げたり、機体の装甲が剣や槍に変形するなどの白兵戦を有利にする為の機能や武装である。しかしあの竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーは、無数の炎の玉を放つ武装を使いモンスターの大群を灰にしてその進行を防いでいる。

 

 空を飛んで遠くから炎の玉を放ち攻撃をする竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーは、操縦士が自分の機体を含めて今まで見てきた、地上を高速で駆けて剣や槍を振るって敵と戦うゴーレムトルーパーとは全く異質な存在であった。

 

「………」

 

 操縦士は何か恐ろしいものを見るような目で、上空からモンスターの大群を攻撃している竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーを見ていた。

 

 大蛇に乗った騎士のゴーレムトルーパーと共に多くの戦いを経験した操縦士は「空を飛べて遠くから攻撃できる」ことが戦闘ではどれだけ有利で、敵に回れば手強いかを直感で理解したからだ。それと同時に、何故あのゴーレムトルーパーが最初に自分を攻撃して遠ざけたのか、その理由が分かった気がした。

 

「? どうしたんだ?」

 

 操縦士の視線の先でモンスターの大群に攻撃をしていた竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーは、いきなり攻撃するのを止めると、操縦士が乗っているゴーレムトルーパーの近くに着陸した。そして竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーは脚部を大きく開いて腰を下ろし、同時に前腕部を地につけて何かに備えるような体勢となった。

 

「な、何だ……?」

 

 地上に降りて何かに備えるような体勢をとった竜に乗った騎士のゴーレムトルーパーの姿に、それを見た操縦士は本能的な危険を感じて意味が無いとは分かりつつも操縦席の中で一歩後ずさった。

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