シノとオリヴァーが居なくなった603では、ヤマギが奮闘していた。
ジョイル・ヨルムンガントは試験が終了し、そのまま603に現地配備となった。そして、
『こちらヘンメ!!指定ポイントに付いた。周囲に敵影なし!!スネーク・アイを射出する!!』
優先観測ビーコンが、周囲のデータをキャッチする。
『観測データにも敵影は見られない。大丈夫だ!!』
ヘンメの通信が届く。それを聞いたマルティン・プロホノウ艦長は、
「よし、これより、投下軌道に入る。………。」
すると、いつもの定位置に、モニクの姿が見えないのに気が付いた。
「特務大尉はどうしている?」
「それが、先ほどから搬入作業の方を指示していますが………。」
「全く………現場をかきまわしていないといいが………。」
プロホノウ艦長はそう呟く、そして………、
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「そこ!!整備は手順通りにやれ!!」
「まだ物資は大量にあるんです!!そんなの護ってたら、間に合いませんよ!!」
「知るか!!それを間に合わせるのが、貴様らの仕事だ!!」
その予感は見事に的中していた。
一方、そんな事をやっているモニクを尻目に、ヤマギは、技術本部から送られてきた『品』を見ていた。それは、巨大な自走砲だ。
それを見ると、嫌でも、報告を受けた時の声が聞こえてくる。
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「YMT-05試作
「ヒルドルブ………。でも本部長、この兵器は、前に不採用の………。」
そう、この機体、ヒルドルブは、コストや、運用上の問題で、不採用評価を受けているのだ。
「確かに、不採用の烙印を押された、悲しき狼であるな。」
「なら………。」
「戦争の現状は、かなり悪い。」
「………ッ!!」
「数あるエースパイロットが奮戦する中、ジオンは着々と戦線を広げて言ってはいる。
しかし、北アメリカ大陸を手中に収め、ロシアに侵攻し始めた所から、上手くいっていない。
南アメリカはメキシコ戦線で膠着している。中露戦線も膠着状態だ。
南アフリカの要地、オデッサを手にする事は出来たものの、ヨーロッパへの進行状況は喜ばしくない。」
「つまり………。」
「このままではいずれ物資が尽きる。あと一手、決定的な何かが欠けているのだ。」
「という事は………。」
「使えるものは何でも使う。膠着状態になった今、ジオンが何年絶えることが出来るかすら危うい。」
「でも、だからって、」
「分かってくれ少尉、これは上層部の決定なのだ。」
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「…………だからって。」
命令には、ヒルドルブは試験終了後、基地で実地配備。まるで、
「おう、アンタか、ヤマギ・ギルマトン技術少尉ってのは。」
すると、後ろから声がした。そこにいたのは、地上用の制服を着たジオン軍人だ。
「聞いてますよ、あなたが、」
「デメジエール・ソンネン少佐だ。よろしく………な………。」
すると、ソンネンの手が震え、慌ててポケットをまさぐり、震える手で掴みだしたケースに入ったタブレットを口に抛った。
「ハァ………ハァ………ドロップだ。食うか?」
ドロップを見せるソンネンだが、ヤマギは首を横に振った。
「それより、こいつはどうだ?」
そう言い、ヒルドルブの元まで床を蹴り、弱い重力の中上手く飛んで行く。
「主砲口径30㎝、最高時速120㎞。
そう言い、ヒルドルブのモノアイ部分に触れる。
「でも少佐………。今回のは、試験とは名ばかりで………。」
ガンッ!!
ヤマギが続きを言おうとした瞬間、ソンネンはヒルドルブの頭部を叩き、音を出した。
「こいつが戦えば、頭の固い上層部だって納得するさ!!」
そう怒鳴るソンネン。その迫力に、若干気圧されてしまう。
すると、もうすぐ降下体制に入るという事で、モニクがブリッジに向かおうとしていた。
すると、モニクとソンネンの眼が、ばったりとあった。その時、お互いに少し、驚いたような顔押していた。
(?昔に何か、あったのかな?)
一瞬、そんな事を思うヤマギ、しかし、このままだと、宇宙空間に生身で放り出されたうえ、
大気圏で灰になるというろくでもない死に方をするので、急いでブリッジに戻ることにした。
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そして、友軍への補給物資降下後、
作戦が説明された。内容は、
ヒルドルブは南アフリカ地区に降下後、近くの第67物資集積所にて演習を行い、現地配備とする。
なぉ、付近の第137集積所が、連邦のゲリラに被害を受けている。実戦を考慮するべき、という話だ。
ヤマギは、地球に行くにあたって、シノにメールを送った。
すると、
『サンキューなヤマギ!!67は連邦とも近い前線基地だって聞いたぜ。あのお坊ちゃまも、そっちに行くんだ。
ゼンセンシサツってやつだそうだ。運が良ければ会いに行けるかも知れねぇぜ!!
byシノ 』
と、変身が帰って来た。
「相変わらずだな。」
自室でヤマギが呟く。タブレットを置くと、ヒルドルブと、念のためと、
シノがガルマに頼み込み、回してもらったザク一機を積んだコムサイで、降下した。
「そう言えば、特務大尉、」
「何よ。」
シノが、モニクに話しかける。
「ソンネン少佐とは、会ったことが?」
と問いかけると、
「これだけは覚えておくことね。鯛は腐っても鯛。でも、軍人は腐ったら、野良犬以下なのよ。」
「?」
とだけ言われた。
そして、降下準備に入る。コムサイは、赤い尾を引きながら、大気圏へと降りて行った。
するとモニクが、
「尊敬してたの。」
「え?」
呟き、大気圏の揺れで聞き取れなかったヤマギは聞き返した。
「尊敬してたの!!あれでも元は、戦車教導団の優秀な教官で、人気も高かったの。
でもね、MSの適性検査に跳ねられて、MSに乗れなかったの。
若手の戦車兵たちが次々とMSパイロットに転換していくのにショックを受けて、あとは自暴自棄。
いつまでも過去にすがって、引きずって、ただの負け犬。犬以下!!」
いつもに増して毒を吐くモニクに若干退きながら、そんな話を聞いていると、第67物資集積所が見えてきた。しかし、
CATUON!!
「ッ!!接近警報!!」
「何!?ミサイル!?」
接近警報が鳴り響き、右翼が破損する。
「状況報告!!」
「右翼に損傷が………。飛行能力低下。このままじゃ墜落する!!」
「救援は?」
「ヨーツンヘイムは地底の向こう………。67はさっきから更新不能。」
そう答えると、
『67はアテにするな!!』
「何ッ!?」
ソンネンから通信が入り、モニクは問い返した。
すると、煙を吹き出す67の姿が、
「これは………。」
『最近、我が軍にちょっかいをかけてる、コソ泥の仕業だな。』
「何という事を………。」
「基地の人たち………無事じゃすまないよね。」
『だから、俺とヒルドルブを下ろせ!!』
「無謀だ!!許可できない!!」
『このままじゃ墜落して三人纏めてお陀仏だ。今下ろさなきゃ、いつ下ろすんだよ!!』
「モニク特務大尉、少佐の意見が正しいと思う………思います。」
ヤマギがそう言うと、
「ええい。許可する。」
と、苦々しげに吐き捨てた。
「少佐、高度2000で投下するから、チェック急いで!!」
『もうすんでる。」
そう言うと、ソンネンはドロップを一つ、口に放り込んだ。
次回、【MS戦】
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