宇宙世紀0079 6月 1日
デメジエール・ソンネンは、ジオンが制圧しているメキシコのランチョエル・サラド基地を訪れていた。
その理由は簡単。ヒルドルブの改修が完了し、二号機のグングニール、三号機のトールとそのパイロットたち。
また、タンクのみでは不安という事で配備された護衛用のMS二機。そして、試作型の機体、四足歩行で動くMS、YMD‐04ラゴゥハウンドが、このサラド基地に届けられる日なのだ。
トール、グングニールはすでに届き、あとはガウで運ばれてくる、MS二機とラゴゥハウンドを待つのみである。
ソンネンは、トールとグングニールのパイロットに、顔合わせに向かっているのだ。
「オレが隊長かぁ。ククッ。」
ソンネンはそれを知った日からすっぱりとドラッグ(ドロップ)を止め、今はミントのタブレットを気付けに持っている。
禁断症状も収まり、髭も沿った彼は、以前とはまた一味違う歴戦の兵士然とした風貌になっていた。
含み笑いを浮かべながら、彼らがいると言うパイロット控室に向かっていた。
「ここか。」
控室Bそう書かれたプレートの付いた扉を開けた。そこにいたのは、銀髪の若い男と、白髪の少女だった。
「教官!!デメジエール教官ですよね!!」
すると、男は、まだ少々幼さの残る顔を輝かせ、ソンネンに近づいて行った。
「ッ!!お前は………。」
「覚えてませんか?アルジュ・サンダルフォンです!!五年前、戦車教導団にいた。」
「随分と久しぶりじゃねぇか。何でここに?」
「いえ、MSのパイロットやってたんですが、ヒルドルブの話を上官に教えていただきましてね。
MT《モビルタンク》でザク六機撃破!!そんな事をなしえるのは、教官くらいかと思いまして。
採用試験にを受けて、グングニールのパイロットになったんです。なぁに、戦車の扱いは、教官に手取り足取り教えていただいたのでね。
今じゃ准尉ですよ。」
そう自慢げに語るアルジュ。ソンネンは嬉しそうに頭をかき、
「そうか。お前は呑み込みの速い奴だったからな。グングニールのリボルビングキャノンは………、」
「はい、マニュアルを読みました。近接主体。速射性と、連射速度に優れた砲ですよね。あくまでタンクなので、前への出過ぎはちょっと、距離や位置取りの線引きが難しそうで………。」
しっかりしてるな。と、昔の教え子をほほえましい目で見る。モニクが見れば、思わず二度見してしまうだろう。
「何、危なくなったら指示してやるよ。お前の背中は俺とヒルドルブに預けて、ドンと前で張れ。」
そう言い、彼の背中を叩く。するとアルジュは自信に満ちた目で、
「はい!!任せてください!!」
と、笑った。
「で、お前は?」
ソンネンは少女に向きなおった。
「ZZZZzzzzz…………」
しかし、少女は寝てしまっていた。
「おいおい………。起きろ~。」
軽く肩を叩くが、起きる気配が無い。
「おい、起きろ。大丈夫か?睡眠不足なら仮眠室で………。」
「ふぇ?」
両肩を掴み、揺さぶると、ふさっとした髪を揺らしながら、少女は顔を挙げた。しかし、まだ目がとろんとしている。
「起きたか。」
「…………ZZZZzzzz…………」
「寝るな!!起きたばかりで寝るな!!ホントに大丈夫か!?」
そう言って、ぺしぺしと頬を優しくたたくと、再び少女が目を覚ました。
「おい、大丈夫か?」
「ふぇ………ああ、お気になさらず………ティナは、大丈夫です。」
そう言うと、ポケットから、カフェインのカプセル剤の入った瓶を取り出し、ひょいぱく。ひょいぱく。と、次々と放り込んでいく。
どう見ても、一度に摂取していい許容摂取量を越えてしまっている。
「お、おい………、」
「ご迷惑をおかけしました………。デメジエール・ソンネン隊長ですね?自分はトールのパイロット、ティナ・スプラウト少尉です。
士官学校を卒業して間もない未熟者ですが………どうかよろしく。」
ペコリ。と、頭を下げる少女。
「それにしても、大丈夫か?眠いのなら任務までは仮眠室に………。」
「いえ………私は夜型でして(ひょいぱく)こうして覚醒率を上げていないと昼は(ひょいぱく)眠ってしまうのです。」
「大丈夫か?戦闘じゃ敵さんは待っちゃくれねぇぞ?」
「お気になさらず。戦闘時は専用の薬が………。」
そう言って、ポケットから錠剤を取り出した。
「常時摂取できるように作られてはいませんが(ひょいぱく)、戦闘時の集中力を高められます(ひょいぱく)。24時間の戦闘にも対応できます(ひょいぱく)。」
そう言い、錠剤をしまう。
「そ、そうか。無理はすんなよ。とりあえず、仮眠室で休んで来い。」
「はい………お言葉に甘えさせていただきます。有難うございます。」
そう言い、ペコリ。と礼をして席を立ち、歩いて行った。
「しっかし、トールに乗ってるってことは、腕はいいんだろうな。」
そうソンネンが呟くと、アルジュが反応した。
「恐らく。元々は、マゼラトップを使っていたそうですが。」
「へぇ。マゼラトップねぇ。」
「遠距離のミデアを撃ち落としたことがあるそうです単機でビックトレーを落したなんて噂も。」
「しかし、年端もいかない嬢ちゃんだな。大丈夫なのか?」
「噂だと、推薦入学者のようです。」
「へぇ、何処のだ?」
ソンネンが聞くと、アルジュはきょろきょろと辺りを見回した。まるで、誰がに聞かれるのを恐れているかのように、
「フラナガン機関のだそうですよ。」
「フラナガン?ザビ家お抱えのか?」
「ええ。噂の出所は知りませんがね。」
「ふぅん。」
興味なさげに、ソンネンは話を切った。
「ま、戦闘になれば腕も分かるさ。その時に、お手並みは拝見させてもらうぜ。」
「………そうですね。それで、ハウンドとMSのパイロットは?」
「ああ、そろそろ到着の予定だが………。」
そう言い、スケジュールを確認しようとすると、けたたましい警報が鳴り響いた。
「ッ!?なんだ!?」
「教官、これって、」
『緊急警報、第1種戦闘配備。MSパイロットは至急、MSに搭乗せよ!!』
「敵襲の様だな。配備するぞ!!アルジュ、オマエは先ってろ!!俺はねぼすけを起こしてから行く!!」
「了解!!」
待機室の扉を開け、それぞれ別々方向に走って行った。
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廊下を急いで駆け抜け、階段を三段飛ばしで駆け降りる。MSデッキに到着したアルジュは、赤のラインの入ったMT、グングニールのコクピットに滑り込んだ。
『アルジュ准尉、貴官らの正体のメンバーとなる者達と、彼らのMSの乗ったガウが襲われている。貴官らは支援攻撃でガウを守られたし。』
「ガウが!?………了解!!ヒルドルブ・グングニール。出撃します!!」
エンジンをかけ、グングニールは外へと出て行った。
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「おいティナ!!」
仮眠室の扉を開け、入ってそうそう大声を出すソンネン。そこには、すぅすぅと寝息を立てているティナが居た。
「ティナ!!起きろ!!」
肩を揺さぶり、彼女を起こす。
「ふぇ?どうしましたか?」
「戦闘だ!!急いで準備しろ!!」
ソンネンに言われ、ハッ、と気が付いたように、ポケットから錠剤を一つ取出し、ゴクリ。と水なしで呑み込んだ。
「了解しました。直ちにトールに向かいます。」
今まで纏っていたふわふわとした空気が無くなり、戦士の空気を身に纏う彼女。
「よし、急ぐぞ!!」
「了解です。隊長。」
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そして、トールとヒルドルブがグングニールを駆るアルジュの元に急行すると、この基地の都市へ続く険しい山岳地帯の上を航行するガウ攻撃空母に、連邦の戦闘機が群がっていた。
「チッ、あれじゃ下手すりゃガウに当たっちまうぞ。」
「MTの火力じゃ………、ガウなんて一発ですよ。」
歴戦のソンネンでさえ尻込みする中、
「問題ありません。」
そう言ったのはティナだ。彼女は落ち着いて、高速移動携帯から、MT形態へと変形し、外側に折りたたまれて両側に連結されている対艦ライフルを片手に一丁ずつ手に取る。
キャタピラ上部に設置されたサブアームが、銃の下の部分を固定し、片手の役割を果たす。
「照準補正、スコープ感度ともに良好。対空用散弾は友軍の被弾を避けるため、APFSDSの使用を推奨します。隊長。」
「ああ。けどよ。あの速度で飛び回る戦闘機に当てられんのか?ざっと見積もって20㎞は離れてるが………。なっ!!」
その瞬間、ソンネンは驚いた。その瞬間、スコープがとらえていた五機の戦闘機が爆散したのだ。
ティナは、三本の砲身、そして、二丁のライフルで、別々の機動を取る戦闘機を綺麗に撃ち抜いて見せた。
「ご心配なく。ティナは狙撃の腕には自信があります。これくらいは何とかできます。」
「ま、マジか………。」
ひょっとしたらとんでもない逸材かもしれない。いや、もはや原石とか言うレベルではない。と、ソンネンは冷や汗を流した。
その後も、ティナは一発も外すことなく命中させていく。だが、戦闘機の一機が放ったミサイルが、左翼のエンジンを貫き、ガウの左翼が炎を上げ始めた。
「ッ!?」
「しまった!!」
ソンネン達が驚くと、
「隊長。更に61式戦車複数と5台のビッグトレーを確認。どれを狙いましょう。」
「何だと!?サラド基地の連中は何やってる!?」
更にティナからの報告にソンネンは後ろを仰ぐ。すると、
「それが、オデッサから、サン・アントニオ基地経由で敵が襲来していて、」
「周到に仕込まれてたみたいだな。ティナは狙撃に専念しろ。ガウが墜ちるまで、少しでも時間を稼げ!!」
「了解です。隊長。」
「分かりました。突撃します!!」
「ティナ!!トールのマシンガン、借りるぜ。」
そして、グングニールに一丁、ソンネンも、収納口に一丁仕舞い、ヒルドルブを走らせる。
「分かりました。狙撃には必要ないので大丈夫です。」
「援護します!!隊長!!」
チラッとだけスコープから目を離し、再び狙撃に戻るティナと、リボルビングキャノンに武装を装填させながらグングニールを走らせる。
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一方、ガウ攻撃空母の中では、機長が何とか機体を立て直そうとしていた。
「左翼の状況は⁉」
「だ、ダメです!!ダメージ深刻!!このままでは爆発を逃れても我々は敵軍のど真ん中に………!!」
そう管制官が悲鳴を上げる。
「焦るな。もうサラド基地まで15㎞地点に来ている。時期に増援が到着するはずだ。それに、このガウには試作機が乗っている。なんとしてもこれを基地に送り届けねば………。」
「しかし、このままでは10㎞地点まで持ちません!!せめて、機体を軽くしないと!!」
「ええい!!何か打開策は………。」
「ウチらを出せば?」
すると、管制室に誰かが入って来た。パンク風の黒の改造軍服を着た少女だ。オレンジ色の髪で、頬にスペードのタトゥーがある。
言うまでもないが、タトゥーも軍服の改造も軍紀違反である。
「しかし、今は上空だ。リツ大尉。貴官の機体は………」
「知ってるよ。ウチの新型は空中戦に向いてない。でも、降りるくらいは出来るさ。ラジードも降りるって言ってるし。
機体を軽くすれば10㎞地点までは持つでしょ?」
「………わかった。」
「あと、乗組員の避難は?」
出て行こうとするリツと呼ばれた少女は、振り向いて機長に質問する。
「完了している。君の機体の整備も、終っているさ。」
「そいつは助かるね。あと、あいつらから伝言だよ。MDを、高度1㎞地点で下して。その距離なら、着地してから素早く展開できるから。」
「試作機もか?しかし、何かあったら………。」
「あいつらならダイジョブだよ。それに、MDは、こういう戦場なら割と強いよ?じゃ。」
そう言うと、揺れ動く船内を走って行った。
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一方ソンネン達は、マシンガンを打ちまくりながらヒルドルブの存在に驚き、散りじりになる61式を次々と撃破していった。
「チッ!!マシンガンの弾が切れた。アルジュ!!弾は?」
「こっちはとっくに切れてます!!ベイオネットの弾丸もこれが最後です!!」
その一撃でまた一機、61式が沈んだ。
「よし、高速移動携帯だ。なんでもいい。とにかく弾が切れるまで打ちまくれ!!」
「え?至近距離の機体は?」
「知るか!!んなもんひき潰しちまえ。」
「りょ、了解!!」
そんな返答を返しながら、高速移動携帯へと変形する2機。すると、空母の前方のハッチが空いているのを確認した。
「ッ!?空母のハッチが?」
ソンネンが驚くと、そこから、機体が2機、下を覗いていた。
「MS?一機はザクみてぇだが………何だ?もう一機は。」
一機は盾に青い十字が入れられている緑のザク。そしてもう一機は、両肩ともスパイクで、左腕には盾が付いていた。
カラーリングは黒メインで、フレームや盾の淵には、黄緑のコーティングが施されている。
「何だ?あのMS」
そう呟きながら発砲するソンネン。それは次々と戦車を撃ち抜いていく。
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「うっひゃぁ。まるでサバンナだねこりゃ。」
リツと呼ばれた少女は、試作MS、グフに乗り、下を砂煙をあげ走る61式を見た。
「そんなこと言ってる場合じゃないっスよ。大尉。」
そう言うのはザクに乗るパイロット。ラジード・マクレインだ。
「まぁ良いじゃん。今から降下するから、遅れんじゃないわよ。」
「え?カウントダウンとかは………。」
「ある訳ないでしょ。ひゃっほ~い!!」
そう声を挙げながら飛び降りるリツ。
「結局そうなるんスね!!ボクもいくっスよ!!」
ラジードも、飛び降りる。
『MSが降りて来たぞ!!』
『フン!!ガウの中から撃って来ればいいものを!!』
戦闘機が狙ってくるが、
「そぉらよっ!!」
機体を回転させ、伸縮してきたヒートロッドに、戦闘機は砕かれた。
『な、何だ!?』
『ジオンの新兵器!?ぐわぁっ!!』
焦ったパイロットたちが、ラジードのマシンガンにやられた。
「ナイス、ラジード。それぇッ!!」
勢いよく着地して、61式を踏み潰すリツのグフ。そのまま、左手の指先に付いたフィンガーバルカンをばら撒く。
『お前ら………。』
すると、ソンネンがリツ機に通信を入れた。
「ん?ああ、アンタが隊長さんか。」
『隊長さん?っつうことは………、』
「リツ・ウラベ大尉。ちょっと早いけど、アンタのトコに所属するから。」
そう言いながら、ヒートソードで敵を切り裂いていく。
「同じくラジード・マクレイン准尉ッス。よろしくお願いします。」
『お、おう。』
いきなり飛び降りて来たパイロットが自分たちの預かりになると知って一瞬呆然とする。
「リツ大尉!!ラゴゥハウンドは………。」
やって来たアルジュが問いかけると、
「ああ、それなら降りてくるよ。」
「は?」
「へ?」
ふと見ると、徐々に高度を下げつつあるガウから、二つの影が降りた。
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「ったく。ロクに試運転もしてないのに無茶言いやがる。」
片方のハウンドから、そんな声が漏れる。
「まぁまぁオッテルお兄ちゃん。ファフニールお兄ちゃんが開発に協力してるし、きっとうまくいくの!!」
その声をたしなめるのは、少女の声だ。
「全く………気楽でいいなお前は。あと、公私混同は慎め。ファフニール中将と呼ばないと怒られるぞ。
僕の事も、大尉と呼べと言ってるだろ。レギン。」
「は~い………ごめんなさいなの………。」
「しぼむな。今は目の前の敵を片付けるぞ。」
「分かったなの!!レギン・グリンブルスティ、ラゴゥハウンド出るなの!!」
「突っ込むなよ。オッテル・グリンブルスティ。ラゴゥハウンド行く!!」
そう名乗ると、レギンとオッテルはガウから飛び降りた。
そのまま荒れた地面に容易く着地し、走り出す。対戦車バルカンをばら撒き、近場の敵から次々潰して行った。
「おい、もしかしてそいつがラゴゥハウンドか?」
ソンネンが通信を入れると、
「あ、話に聞いてた隊長さんなの。そうなの。レギン・グリンブルスティ准尉なの。よろしくお願いしますの!!」
「お、おう。元気があるな。そっちは?」
「オッテル・グリンブルスティ大尉です。少佐、そちらの指揮下に」
「よろしく頼むぜ。それにしても、………」
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「あいつらが………。」
ソンネンは彼らの奮闘を見て驚く。まさかここまで純エース級ぞろいだとは思わなかったのだ。
「隊長、感傷に浸ってるところ申し訳ありません。もうすぐガウが不時着します。後方からビックトレー接近中。数は6です。」
「6⁉最高戦力をこうも簡単にぶっこむとはな。相変わらず連邦は金払いがいいぜ。ガウの戦力は⁉」
「ザクが3。」
「守りきれねぇな………基地の戦力は?」
「間もなく到着します。それまでは持ちこたえられると。」
「了解。位置情報を送る。総員!!オーディン小隊は突撃を駆ける。目標はビッグトレー。この大群の頭を潰すぞ!!
ティナは現在の位置から援護射撃。ラジードはザコを潰せ!!俺達はビッグトレーをやる!!」
「「「「「「了解!!(ッス)(なの)(です)(しました)」」」」」」
各員が返事をし、突き進んだ。
『敵MSと戦車もどきと犬っコロが接近!!撃て撃て!!近づけさせるな!!』
中心のビッグトレーから指令が入り。ガウの攻撃を止め、オーディン小隊の面々に砲塔が向いた。しかし、
ヒュルルルルル………
と言う音と共に、一隻の上空で散弾がばら撒かれた。
それは上甲板やブリッジ、砲塔などを穴だらけにし、ビッグトレーは火を挙げながら沈黙した。
「一機撃墜。やはり広域殲滅はType-3に限ります。」
レーダーを見てティナはそう呟いた。
『な、何ッ!!』
『構うな!!撃てェッ!!』
残ったビッグトレーの砲台が火を噴くと、ソンネン達は散開し、それを躱す。
「ハッ!!おせぇよポンコツ!!」
しかし、放たれた砲撃をすれすれで躱したリツは、ヒートロッドを伸ばし、砲台に叩きつけた。
迎撃用のバルカンが火を噴くが、その時にはグフの運動性を最大限に使い、弾幕の上を飛び越えていた。
「そぉらよ!!」
そのままヒートソードを切りおろし、一回転してブリッジを薙ぐ。
飛び上がり、基部にヒートソードを突き刺し、その中にフィンガーバルカンを叩き込む。
そのままグフを飛び上がらせると、ビッグトレーは吹き飛んだ。
「どんなもんよ!!」
そしてそう、コクピットで不敵に笑ってドヤ顔した。
『クソッ!!』
『あのザクを落せェッ!!』
一機のビッグトレーがかたき討ちをあきらめ、ラジードを狙う。
「うわっ!!」
その砲撃に、うっかり足を止めてしまうラジード。そこを狙って、さらに砲弾が襲いかかる。しかし、
「なめるなぁッ!!」
マシンガンを捨て、低姿勢で砲弾の下をかいくぐる。そのままスラスターを吹かし、
「うおおぉぉぉ!!」
ブリッジをタックルで潰した。
「これでええぇぇぇっ!!」
そしてそこに、ラジードの切り札を使う。背部にくっつけられていたアイテムの固定具を外す。
爆弾がワイヤーによって一本に繋がれた武器、チェイン・マインだ。
それがビッグトレーの上甲板に張り付いた。
「ぽちっとな!!」
持ち手のみが切り離され、残りが爆散する。
「へへっ!!ひやひやしたけど何とかなりました!!」
そう言い、コクピットでガッツポーズをする彼。
「後輩に負けてはいられないな。」
それを見てそう呟いたのはアルジュだ。高速移動形態に変形し、正面にType-3弾を叩き込む。ブリッジと前の砲台を穴だらけにし、そのまま横に回り込む。
正面、両側面、背面、四方向にAPFSDSを叩き込み、そのままもう一周した所で止まった。
「これで!!」
そこには、APFSDSで空いた大穴が。彼はそこに。更に焼夷榴弾を叩き込んだ。
内側から火を噴き、爆散する。
「先輩の威厳は、これで保てたかな?」
そう言い、得意げな顔をするアルジュ。
「行くぞレギン!!」
「任せてなの!!お兄ちゃん!!」
そう声を上げたレギンは、四足歩行から、脚に装着されたキャタピラ装甲に切り替える。
そして、背部にオプションとして装備しているミサイルランチャーをばら撒いた。
「いっけなのー!!」
それがビッグトレーの正面に多大なダメージを与える。その背後から、
「でかしたレギン!!あとは………。」
そのまま、オッテルはレギンを飛び越える。ブリッジの上に着地すると、背中のキャノンを向けた。
「僕がやる!!」
その言葉と共に放たれたのは、緑の光。ビームだ。
キャノンをマシンガンの様に連射し、基部を貫く。
そのまま飛び上がり、着地した背後で、ビッグトレーだ火を噴いた。
「やったなの!!お兄ちゃん!!」
「当然だ。あと、今は大尉と呼べよ。」
コクピットの中ではしゃぐレギンを、たしなめるファフニール。それを見たソンネンは、
「まったく、よくやるぜアイツらも。だが………。」
そう言い、不敵に笑う。そして、砲塔を上に向け、曲射榴弾を放つ。
そのままビッグトレーの真横を取り、変形し横を向いてType-3を放つ。
どてっぱらに風穴を開けると同時に、そのまま片輪走行したソンネンは背後に立った。
「こいつでトドメだ!!」
そう言い、轟音と共に放たれたAPFSDSが、基部を貫く。同時に、落下して来て威力の増した曲射榴弾が落ちて来た。
それは、まっすぐにブリッジを貫いた。
「見たからお前ら、これが戦車兵の戦いだ。」
そう言い、見事にトリを飾ったソンネンは得意げに笑う。
『少佐!!大事はございませんか⁉』
すると、通信が入り、サラド基地のザク部隊が、残った61式を倒すなり、鹵獲するなりする追撃戦に移行していった。
「ったく。これにて一件落着だな。あとは、このままあのザビ家の坊ちゃんと一緒に、オデッサを落とすのか。」
シートに座り、そう得意げに笑う彼。
しかし、その笑みは、数秒後に消し飛んだ。
『少佐!!大変です!!』
そう通信を飛ばしてきたのは、諜報部の偵察員だ。ワッパに乗って、飛んできた。
「何だ?どうした?」
そう問いかけると、
『それが、偵察に向かっていたザク部隊12機、壊滅しました!!』
「何ッ!?」
その衝撃的な言葉に、驚くソンネン。
「何があった⁉ザク12機が壊滅!?」
『はい………報告では、いずれも、たった三機のMSに大破させられたと。』
「三機だと!?それに、MS?連邦軍にまだMSはいないはずだぞ!?」
『そのはず………なのですが………。』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、オデッサ近郊。そこでは、三機のMSが歩いていた。シュッとした人間的なフォルムはジオンのMSではない。
「すげぇなコイツは。ザクとは大違いだ。」
そう言い、コクピットの中で不敵に笑う男は、フェデリコだ。
「そうね。これならあの流星と戦車野郎に、借りを返せる。そう思ってるでしょ。」
そう言うレオナ。彼女も、謎のMSに乗っていた。
「………。」
残りの一人は、その付帯の会話を無言で聞いている。全身にタイトなスーツを身に着けており、そのボディラインは、彼が男性であることを証明していた。
まだ子供かと思うほど小柄で、顔はバイザー付きのヘルメットで隠れている。
『おいおい、私怨を優先しないでくれよ。そいつらは高いんだからな。』
そう通信が入った。ディスプレイには、黒髪の巻き毛の男が映っている。
「そう言うなよ。こんないい『品物』をくれたアンタらには感謝しかねぇんだ。」
「そうね。これは戦力になるわ。」
『そいつは良かった。そのうち、もっといい品物を優遇してやるよ、連邦の皆さん。』
そう言い、満足そうに笑う男。
「そいつは、楽しみにとっておくよ。」
そう言うフェデリコ。それを満足そうに眺めた男は、最後に、
『じゃぁな、職業軍人。今後もうちら、ヴァトハラをよろしくな。』
そう言い、通信を切った。
フェデリコ再来!!謎のMSの正体とは!?次回、オーディン小隊編。『自己紹介は大切なの!!』
おまけ 新連載
『オリヴァー・マイのMSデータベース』
仮想空間にそびえ立つ円筒状の建物。その中は、巨大な数階建ての図書館になっていた。
そのカウンターに座っているのは、タブレットを持った金髪の男性。
「どうも、オリヴァー・マイ技術中尉です。この度は、私のコーナーを読んで頂き、有難うございます。」
そう言い、読者たちに礼をする。
「おうオリヴァー、来てやったぜ!!」
そう言い、扉を開け、中に入って来たのはシノだ。
「少佐、有難うございます。こちらにお掛け下さい。」
「そうかよ。悪いな。」
シノはオリヴァーが示した、カウンター斜め前の席に座る。
「そういやよ、呼び出されて悪いんだが、ここって何するんだ?」
シノの質問に、
「ここはジオン公国軍特別データバンクです。ありとあらゆるMSのデータや、機密情報、どうでもいい雑学まで、さまざまなものがこの仮想空間に詰まっています。」
「成る程、それで図書館ね。面白いじゃねぇか。で、この読者様のためのコーナーは何なんだ?」
「ここでは、本作に出てくる、オリジナルMSや、従来のMSのデータを深堀していきます。」
「へぇ、じゃ、今回俺がゲストに選ばれたってことは………。」
「はい。今回紹介する記念すべき一機目のMSは、」
オリヴァーがタブレットを弄ると、モニターに、知った機体が映し出された。
「ガンダム・フラウロス・レオパルドゥス。もとい、五代目流星号です。」
「うひょぉ!!綺麗なグラフィックじゃねぇか。」
「説明を行いますね。従来のガンダム・フラウロスを、来る重力戦線に向けて改良したのがこのMS、五代目流星号です。」
「応よ!!で、オリヴァー、コイツはどんなところが先代と違うんだ?」
「はい、重力戦線に向けてあげられた大きな課題が、四足歩行形態です。」
「ああ、確か先代は四足で歩けなかったな。」
「ええ。形態変形に合わせて、四足歩行型の関節に移動する多重構造、また、腕部のカバーは地面を固定するきのうしかなかったので、固定形態と歩行形態に細かく変化します。」
「じゃねぇとギャラクシーキャノンの反動に耐えられないんだろ。」
「そのとおりですね。」
「あとは?」
「はい、ヤマギ少尉の作成したレーダーを元に、広域観測情報連結システムを装備しています。」
「ア?何だそれ?」
「部隊のザクとレーダーの情報を合わせることで、より広域の敵を感知できるようにしたシステムです。」
「ほー、全くワカンネぇ。」
「でしょうね………。」
そう言い、冷や汗を流すオリヴァー。
「しっかしまぁ、見た目は全然変わってねぇが、そう見てみるとめちゃんこ違いがあるのな。」
「ええ。主にシステム面での改良が多かったですからね。」
「しっかし、おかげで相棒の事をよく知れたぜ。ありがとな!!オリヴァー。」
「いえ。またいらしてください。読者の皆様も、今後も、このコーナーをごひいきにお願いします。」
ホワイト・オーガ―が登場しましたが、次ぎ登場するキャラは誰がいいでしょうか?
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ジョニー・ライデン(深紅の稲妻)
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シン・マツナガ(ソロモンの白狼)
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アナベル・ガトー(ソロモンの悪夢)
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シーマ・ガラハウ(頼れる姉御)
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昭弘・アルトランド(ガチムチ)
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ユーマ・ライトニング
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二ムバス・シュターゼン
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マルコシアス隊の皆さん
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マ・クベ(壺バカ)
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ノイエン・ビッター
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ジーンとデニム
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リビング・デッド師団の方々
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ヴィッシュ・ドナヒュー
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ランバ・ラル
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シャア・アズナブル
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黒い三連星