アクイラは甲板で過ごすことが日課である
雨が降れば布を張り
日が強ければ影を作り
暑くなれば風を受け
寒くなれば暖をとる
アクイラにとって甲板とは自然に近い場所であった
しかし最近はそうもいえず…
「アクイラさん、こちらに居たのですね」
「ジェシカ?どうしたんだい??私の記憶ではなにもないはずだが…」
「私が来たかったんですよ…何か落ち着かなくて」
そういいながらアクイラの右側へと座るジェシカ
陽射しに誘われうとうとしかけると
「アクイラさん!こんにちは!」
「スズランさんもきたんですか?」
「私もということは…ジェシカお姉さんもいるんですか?」
アクイラの右側を覗き眠っているジェシカを見つける
「じゃあ私はこちら側に座りますね」
「あーうん…(これみつかりたくねぇ…)」
暖かい陽射しに誘われる三人
そこへ独特な声を持つ例の奴が現れる
「こんにちは皆さん!本日は絶好の爆発日和です!」
瞬時に鉄甲弾を装填したハンドガンを構える
「これはこれは失礼しました…あくいらさま?あの…銃を下ろして…」
「静かに離れるか静かに消されるかどちらがいい?」
後ろ向きにゆっくり離れていく例の機械
二人は起きる気配はない(ジェシカは腕を邪魔しないようにもたれている)
アクイラは目を閉じて物思いにふける
この世界は生きるか死ぬか…道は限りなく細く支えとなるものもない
ほんの些細な出来事で全てが変わってしまう
そんななかで今こうして比較的安全に暮らしている自分がいる
戦う術を持ち、帰る場所や迎えてくれる仲間がいる
過去を失い、彷徨い歩くなか…それでも拾ってくれた場所がある
もしもあの時出会うのがレユニオンなら、未来は変わっていたかもしれない
そんな想像をしていると眠気がやってくる
「私も…少し寝ようかな…」
「アクイラ…さん…にがしませんよ…」
「お兄さんは…私のです…ゆづりません…」
「はは、夢の中でも私と一緒ですか…いづれ別たれるその時までここにいますよ…」
その日甲板には人だかりができていた
中央には標的を逃さぬ死神が
右側には優しい表情で眠る黒猫
左側には少し怒った表情の九尾
三人の寝顔は様々な人物に写真を撮られていた
アクイラの寝姿は見られることがないため見物人が増える
「ん…ん?」
「あっ起きた」
アクイラはかかとを甲板に叩きつけると手榴弾が下から無数に飛び上がる
それらは一斉に爆発し周囲は煙に包まれる
「さて…さすがに起きましたよね?」
「ええあんなに人がいたんですね…少し驚きました」
「ジェシカお姉さん…おはようございます…」
フワフワした声で眠そうに挨拶するスズラン
ジェシカはスズランをおぶり場所を移動する
~アクイラの共同部屋~
「ありがとうジェシカさん…寝ていますね」
「途中で寝息が聞こえてましたし…かわいい寝顔ですね」
二人が離れようとするとジェシカの裾を何かが掴んでいた
「あっ…フフ」
「どうしたんですか?ああ…もう少しここに居ましょうか」
「今日は訓練もないのでそうします…少しお腹がすきました…」
「キッチンで何か作ってきますよ」
アクイラは二人を残して隠しキッチンを展開する
冷蔵庫には野菜が入っているがそれらと一緒に薬品も入っている
「さーて…サンドイッチでも作るか」
アクイラは包丁を…もたずに機械の決められた場所へ材料を置くと、数分後に完成する
(直接厨房へ届けて作ってもらっている)
「おまたせーサンドイッチ位しか材料なかった」
「ありがとうございます」
「ん…ん~…あれ?お二人共どうしたんですか?」
「おはようスズラン、サンドイッチ食べるかい?」
「ありがとうございますアクイラさん」
三人はサンドイッチを食べ始める
しかしアクイラはあまり食べない
「アクイラさん一つだけで足りるんですか?」
「少食だからねーあとは二人で食べていいよー」
「じゃあこれにします!」
「私はこれを…カライ…」
ジェシカが食べたのはカラシ入りのサンドイッチだった
スズランはアワアワしていたがアクイラが牛乳を渡し軽減される
「ジェシカおねいさんは辛いの苦手なんですね」
「刺激が強いものが苦手なんですよ…もう少し慣れていければいいんですけど」
「うーん…そんなところもいいですけどね~」
「アクイラさん?わたしは??」
「スズランさんもかわいいですよ?急にどうしたんですか??」
無言で見つめる黒猫
笑顔の九尾
なにやらわからないアクイラ
「ではそろそろお開きにしましょうか」
「え?…もうこんな時間でしたか」
時計は4時を指していた
朝はお昼寝したためすでに日は沈みかけている
「ではお二人ともまた明日」
「今日はありがとうございました」
「アクイラさんおやすみなさい!」
黒猫と九尾は部屋を出て帰っていく
それを見送った後旧レユニオン部隊とドクターの力を借りて、自身が写っている全てのデータを消し去った