セキレイ世界に転生   作:橘闘牙

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第七話

 前日に起こしたM.B.I、氷峨陣営に対する訪問(襲撃)は、予想以上の波紋を広げた。

 そのために両陣営では、俺の正体を掴むべく躍起になっている。特にM.B.Iは心配だったのである置土産をいくつかしておいた。

 

 

M.B.I side

 

襲撃から一夜が明けた。見てわかる程にこっぴどくやられたと感じた。

 

 

「高美君、状況はどうだね?」

 

 

 そんなことを考えていると御中が話しかけてきた。

 

 

「見ての通りさ。死人こそ出ていないが、実働部隊は本社から出ていた部隊を除いて壊滅と言っていい状態だ。

 研究陣も、相当怖い目に合わされたのか襲撃が終わって相手方がいなくなったのに関わらず怯えている。中には幼児退行を起こしているものも見られる。

 信じられないことだが、懲罰部隊の方にも被害が出ている。

鴉羽を除いた二人がやられたそうだ。鴉羽の方も大分やられているようだ。」

 

 

 そんな報告をしていると御中は、こちらを見て意見を求めてきた。

 

 

「高美君、君はこの状況を生み出せるものに心当たりはあるかね?」

 

 

 珍しいことに御中が、意見を求めてきた。…が自分にも思い当たるフシが見当たらなかった。

 

 

「出雲荘にいる、美哉なら可能性はあるだろうが殺さずにとなると難しいだろう。

 我々が知り得ることでこれだけのことを成し遂げられるものに心当たりはない。」

 

 

 思考に没頭したが、答えは出なかった。この状況を伝えるために焔に連絡しようとしてポケットに手を伸ばすと、そこに見に覚えのない一通の手紙が入っていた。不審に思いつつも宛名を見て衝撃を受けた。

 

 

「御中、今回の首謀者かもしれない者からの手紙を発見した。」

 

 

 御中も交えながらその手紙を読んでいった。

 

 

『M.B.Iの皆様

 いや、御中広人殿この手紙を読んでいるということは、状況が掴めず慌てふためいていることでしょう。ざまあーみろと言わせてもらいます。

 

疑問に思うことは多くあるでしょうが、一つ一つ答えさせていただきます。

 始めに言わせてもらいますが、我々にあなた方を潰す意志は一切ありません。

 今回のことを起こした目的としては御中広人あなたにお灸を据えることと鶺鴒計画に対する牽制のために行ったことです。

 御中広人殿あなたは、神座島でセキレイを含めた遺跡を発見し、その技術を吸収、改良して今のM.B.Iを築いたその頭脳に対して敬意をいだきますが、他の方々を含めセキレイに手を出したことはいささか早慶と言わざる終えません。

 あまつさえ、ゲームマスターを気取る貴方には怒りを覚えます。遺跡を解析した頭脳は飾り物ですか?技術を理解したのならば、それがどれ程のものかは理解していたはずだ。なのに、解析して、それを我が物にしたら次はそこにあったセキレイでゲームですか。

 自惚れもいいところです。あなた方は盗人に過ぎませんそのことを理解していただきたく今回のことを起こしました。』

 

 

 その手紙に書かれている内容を読んで衝撃が走った。神座島のことやそこの遺跡のことまでの情報を得ていることに対して驚きを覚えた。

 

 

「御中、貴様はとうとう本当に目をつけられてはならないものに目をつけられてしまったぞ。」

 

 

 思わず、御中の胸ぐらを掴みあげていた。

 

 

「高美君、待ち給えこの手紙には我々を潰す意志はないとあった。厳重警戒は必要になるだろうが、まだ慌てるほどではない。」

 

 

「黙れ今回のことは本当に厄介なのだ、今までのようにごまかせると思うなよ!」(そうだ、そうだ!)

 

 

 御中を締め上げていると後ろから声がした。後ろを振り向くとそこには、社員や今回の襲撃で実害を受けた者たちが立っていた。

 

 

「佐橋主任、今回のことはさすがに感化できるものではありません。御中広人社長に対

する制裁を許可願います!」

 

 

 代表者がそう言ってきたが、

 

 

「制裁は許可するが、御中にはまだやってもらわなければならないこともあるのでなお前たちの怪我が治った後で存分に貸し出してやる。……まあー、そのときも程々にしてやれよ。」

 

 

 その言葉を聞いて安心したのか、私に対して敬礼をしてきたのでそれに返礼して部屋を退出してもらった。

 

 

「さあー。御中、私達の話し合い(物理)も始めようか?」

 

 

 御中はそれを聞いて、震えていた。

 

 氷峨 side

 

 

「くそ、あいつ等は一体何だったんだ。」

 

 

「いえ、…今だに情報は掴めておりません。」

 

 

「もう襲撃が、終わって混乱も終息しているのにまだなんの情報もつかめないのか!?」

 

 

 氷峨様がヒステリック気味な声でこちらを詰問してきた。

 

 

「柿崎、お前のところの胡蝶(No.22)も何も掴んでいないのか?」

 

 

「はい、襲撃の際に我が方の情報収集機能は完全に停止しています。胡蝶も電子機器を含め、しばらくは再起不能です。そのため、今の我々は目も耳も失われた状態です。」

 

 

 改めて口に出してみて今回の襲撃の徹底ぶりは目をみはるものがあった。そんなことを考えていると氷峨が更に質問をしてきた。

 

 

「他のセキレイはどうだ?」

 

 

「はい、……他のものに関しても葛城(No.86)、豊玉(No.16)、織刃(No.101)、壱哉(No.18)、鵐(No.40)、紗緯(No.31)、廻衣(No.62)、忍穂、九条が戦闘不能です。

 一応確認させましたが、鶺鴒紋は全員残っていました。」

 

 

「襲撃は、他の鶺鴒によるものではないのか?嵩天の遣いというから、噂の懲罰部隊による粛清かと思っていたが、違うようだな?鶺鴒紋が残っているというのは引っかることだな。」

 

 

「はい、鶺鴒紋消失ではないにも関わらず鶺鴒たちはしばらく行動不能に陥らせることは脅威です。」

 

 

 そうして、状況確認を進めていると部下から『嵩天の遣いより』という手紙を発見したという報告が飛び込んできた。

すぐさま、そのものを呼び付けた。

 差し出された手紙を受け取り、その内容を読んでいった。

 

 

 

『「東」陣営のみなさんへ

 これを読んでいるということは、無事にこの手紙が発見されたことということでしょう。

 始めに否定させていただきたくが、我々はM.B.Iとは一切関係を持たない。それを踏まえて話を聞いていただく。

 氷峨殿あなたは、鶺鴒計画に関して否定的な意見を使いそれに同調する多くの葦牙とセキレイを集めていることは知っています。その考えには、賛同させていただきますがあなたのやり方にはひどい嫌悪を覚えました。あなたからしたら偽善でしょうが、我々にはそんなことを行わずともそれを実行するに足る力があります。

 今回のことは、警告です。これ以上あなた方が言葉匠に葦牙やセキレイをそそのかし自らの戦力とするならば我々はあなた方を、全力で潰します。

 今回のことに一定の理解を示されたのなら、今脅しにかかっている鈿女(No.10)と日高 千穂から手を引き、安全と命を保証しろ。日高 千穂の移転先はM.B.Iの病院で手配しろ。M.B.Iに連絡し、嵩天の遣いと出せば応じるはずだ。

 回答期限は襲撃のあった日から五日後とする良い返事を期待している。』

 

 

 

手紙の内容は、我々に対しての命令に他ならなかった。傲慢な物言いに怒りを覚えつつも手紙の端々から我々への警告と一切我々を油断していないということが伝わってきた。

 

 

「氷峨様、今回は従うしかありません!どんなに努力しても今回の襲撃の被害を回復と鶺鴒の復帰には、一週間以上かかります。その上で、さらなる襲撃を加えられますと…いえ、次こそは必ず潰されるでしょう。」

 

 

 氷峨様もそのことに対して一定の意見の一致を見て、要求に従った。

 

 

「要求に従うことは、いいが相手の動向や他勢力の警戒のためにも情報収集体制の復旧を最優先にしろ。」

 

 

 一切の情報を悟らせずこのことを実行した相手に恐怖した。

 

 

 

 そんな恐怖や畏怖を持たれていることを知らずに今まで通りにすごしていた。

 

 

「ふむ、そろそろ手紙を読んでくれたかな?」

 

 

 襲撃に際してこのことを理解できないものはいないとは思いつつも手紙を残してきた。M.B.Iに対しては警告と御中広人に対する文を、氷峨泉に対しても警告をし、日高千穂からてを引くように伝えた。

 

 

「氷峨陣営に関しては、今すぐ潰したい思いがないこともないが、窮鼠猫を噛むというしいきなり追い詰めすぎるのも問題だろ。

 M.B.Iは、御中広人への不満や思いつきによって大分苦労させられていることが

わかっているから、少し煽ってやれば不満が爆発するだろうしね。(潰すことも考えたが、多くの社員などに責任が持てないのでやめた。)」

 

 

 そんな感じにこれからの展望を考えていると、隣から美哉が訪ねてきた。

 

 

「美哉、どうしたんだ。いきなりなんて?」

 

 

「はい、昨日渡された手紙を読みまして!」

 

 

 手紙という言葉に一瞬心臓がはねたが、それを振り払った。

 

 

「ああー。アリアからの手紙ね!何が書かれて…って契約のことが書かれていたのか…」

 

 

 迂闊だったと思った。アリアなら俺が言うのをためらうと踏んでこんなことをすることは予想できることだった。

 

 

「それで…私と契約していただけるのでしょうか?」

 

 

「いやいや、契約も何も浅間建人さんはいいんですか?」

 

 

「建人さんですか?なぜそこでその名前がでてくるのでしょうか?」

 

 

「えっ、結婚しているのではないのですか?」

 

 

「いいえ、建人さんは確かに命の恩人であり、私を変えてくれた人物ではありますがそのような関係ではありませんよ!」

 

 

 そこでいままで、俺は重大な間違いをしていることに気がついた。(浅間と名乗らなかったのはそもそも結婚していないからだったか。アリアもこのこと伝えてくれていれば、ここまで悩む必要もなかったのにな)

 

 

「それで…契約は、私の葦牙になっていただけるのでしょうか?」

 

 

「いや…それは……はい。契約させていただきます。」

 

 

 半ば押し切られような形になったが、この世界の最強と言える人物が加わった。

 

 

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