鬼滅の刃-誠の花-   作:仲村 リョウ

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其の肆:日常

あれから一週間が経ちました。蝶屋敷での生活はかなり新鮮なもので、時間が経つのも早く感じてしまいます。カナエさんも歩けるようになるまでは回復しましたし、一安心ですね。

 

 えっ?私ですか?私はと言いますと──庭で絶賛素振り中です。

 

 新選組にいないとはいえ、前みたいに鬼とまた戦うかもしれませんからね。腕を鈍らせないためにも、こうして続けているわけですが──

 

(何処からか視線が──)

 

バッとその方へと振り向くも誰もいません。気のせいではないんですが。

 

「どうしました?沖田さん」

「しのぶさん」

 

縁側から歩いてきたのはしのぶさんでした。

 

「あっ、いえ。最近そうなんですが──視線を感じまして……」

「それでしたら、カナヲですね」

「カナヲがですか?」

「ええ。あの子、毎朝素振りをしている沖田さんのことが気になるみたいで……」

「そうなんですね」

 

 ──私が蝶屋敷にお世話になった夕刻のこと。屋敷にいる方と自己紹介を行いました。

 

 神崎アオイ──黒髪のツインテールの女の子で主にこの蝶屋敷の看護師を務めているらしいです。

 

 

 寺内きよ、中原すみ、高田なほ──同じく看護を務めている女の子達です。よく似ていますけど、見分けるのは意外と簡単です。確かきよちゃんは前髪を垂らしたおかっぱで、すみちゃんはおさげで、なほちゃんは三つ編みと髪型に特徴があるのです。

 

 そして、栗花落カナヲ──サイドテールの髪型に紫色の目をした少女。この子はいつも無表情で感情が読み取りにくく、話すことも少し難しいです。

 

(過去が過去ですからね……)

 

カナヲについてカナエさんから聞かされたことがあります。確か人買いに縄で連れて歩かされているところに、二人に助けられたんでしたよね……ああ、思い出しただけで腹立たしいです。

 

──その話を聞かされた時に私は思わず刀を手にして、

 

「その外道野郎は何処にいるんです?沖田さんが今からぶった斬ってきます」

 

と言って、飛び出しそうになったところ二人に掴みかかれて止められたんでしたっけ……

 

 でも、軽い相槌くらいならしてくれるのですが……いつか、言葉で話ができるといいです。

 

 

▽▽▽

 

「確か天然理心流──でしたか?」

「はい」

 

 縁側に座ってしのぶさんが入れてくれるお茶で一息ついている時、ふと彼女の口からある言葉を聞かれます。

 

"天然理心流"──私が使用する剣術流派です。剣術だけではなく棒術や柔術なども存在し、完全な実戦向けの剣術で、稽古も竹刀より刀の重さに近い木刀で行われていました。最初は私でもきつかったなぁ〜……免許皆伝しておりますけど。

 

 そうやって簡略的に伝えると、しのぶさんは「女の子なのに大変ですね」と言われてしまいます。

 

「あら、しのぶと沖田ちゃん。丁度良かったわ」

 

 突然、カナエさんが通路から歩いてきては私達へと近寄って話しかけてきます。

 

「あら、姉さん。どうしたの?」

「今からお買い物行きましょう」

「い、今からですか!?」

「唐突ですね〜」

 

 蝶屋敷に住み始めてから分かったことが一つ。カナエさんは少し天然さんなのかもしれません。

 

「てか、姉さんはあ・ん・せ・いって言いましたよね?安静って!」

「ええ〜歩けるようになったんだから少しは……」

「い・け・ま・せ・ん!」

「シュン……」

「シュンとか口で言わないの!」

「あはは……ま、まあ、息抜きくらいはいいんじゃないでしょうか?何かあれば私が肩を貸しますよ」

「お、沖田ちゃん……」

 

カナエさんは目をキラキラさせてこちらを見てきます……反対にしのぶさんは──

 

「沖田さん?姉さんに少し甘いですよ?(ジトっとした目つき)

「あ、甘いですかね?」

「甘いです!てか、沖田さんは無理するとすぐ、こふってなるんですから肩を貸すとか簡単に言わないでください」

「うっ……す、すみません」

 

 そう言われたら何も言い返すことが出来ません。

 

「しのぶの意地悪〜」

 

と言いながら、カナエさんは私の左腕に抱きついて両頬をぷくっと膨らまします。私は苦笑いを浮かべるしかありません……

 

「いいもん!しのぶ抜きで行きます!」

「そういう話ではないと……」

 

▽▽▽

 

 というわけで来てしまいました──

 

「ああ、もう──姉さんは言いだしたらテコでも動かないんだから……」

 

そう言いながら頭を抱えてため息を吐くしのぶ……どっちがお姉さんだか分からないですね。

 

「いいじゃない。たまにこうして皆んなと町に出るのも。ねっ?カナヲ」

「………(コクッ)」

「みんなもそう思うわよね?」

「はい!カナエさんとまた町に行けて嬉しいです!」

「でも、無理はなさらないでくださいね!」

「ふふ、大丈夫よ。その時は沖田ちゃんに助けてもらうから──」

「姉さん?」

「そ、そんな目で見ないでしのぶ。ほら、笑顔笑顔♪」

「くっ……能天気すぎる姉に勝てない私が不甲斐なさすぎます」

「怯まないからある意味最強ですよね、カナエ様」

「さて、みんな。行きたいところはあると思うけど、最初に寄りたい場所があるんだけどいい?」

 

カナエさんはニコニコしながら手を合わせてそう言うと、皆さんは異論はないのか、カナエさんの行きたいところへと向かいます。

 

 ▽▽▽

 

「あ、あの……どうでしょうか?」

 

 私が服屋さんから出てくるなり、カナエさん以外の皆さんが驚きの声が出ます。通行している人も男女関係なく見ていますし……

 

「とてもお似合いです!沖田様!」

「はい!かわいいです!」

「綺麗です!」

「凄く綺麗……」

「………」

「確かに……同性でも見惚れてしまいますね……」

「ねっ?私の見立て通りだったでしょ?」

 

 カナエさんが来たかった所……それは服屋さんでした。しかも、自分のものではなく私が着る物としてです。

  

 桜色の着物に赤みがかった袴。それにブーツまで……

 

「いいんでしょうか?このようなお高いもの何着も……」

「いいの、いいの。沖田ちゃんが着るものなんだから」

「確かにあの浅葱色の羽織は目立ちますからね」

 

 しのぶさんの言う通り、あの羽織は今の時代には少々目立つようです。

 

「これはこれで目立ちませんか?皆さんこちらを見てきますし……」

「それは着物が目立ってるのではなくて、着物を着た沖田さんが目立ってるんですよ」

「似合ってるものね〜だから、沖田ちゃん。着てくれる方が私は嬉しいな」

「あ、ありがとうございます。では、ありがたくお受け取りますね」

 

 そこまで言われたらなんだか照れてしまいますね。新選組にいた頃は決まった服装以外してませんでしたから……

 

「丁度お昼時ですね──では、昼食を食べてから好きなところに周りましょうか」

「そうですね。丁度お腹が空いてきたところです」

「決まりね」

 と言う事で、次は皆さんでお昼を食べに行く事になりました。

 

▽▽▽

「これがオムライスというやつですか……」

 

な、なんですかこの真っ黄色な物と上に垂れた赤く血のような液体は……本当に食べれるんですか!?綺麗すぎる造形に疑ってしまいますけど──けど、匂いに食欲がそそられてしまいます!

 

「沖田様。凄く珍しそうに見てますね」

 

(幕末にいた方から見れば、驚きますよね)

 

「い、いただきます」

 

私はスプーンという食器を手に持つと、オムライスを一口分掬って口の中へと運びます。

 

「──!?」

 

 な、なんですかこれは……口の中に入れた瞬間とろける食感。た、卵ですかこれ?そして、ご飯は少し赤色で酸味がありますね。それがまた卵とマッチして美味さを引き立てています。そして、この赤いソース……一緒に食べることでまた──

 

「し、至福です……」

「いい顔して食べますね……そんなに美味しそうに食べる人初めて見ました」

 

隣にいるアオイが笑みを浮かべてそう言います。

 

「洋食が初めてなのよねー」

「これが洋食──」

 

 和食とは違い、このボリューム感と美味しさ。悪くないですね。

 

「こちらの黒い液体はなんでしょうか?」

「これですか?これはコーヒーという飲み物です」

 

アオイが「飲んでみますか?」とカップを私の前へと差し出します。匂いは独特でもいい匂いが漂ってきます。カップを手に持ち、啜ると──

 

「──!!??」

「沖田様!?」

 

 苦い!苦いです!!えっ?これ飲み物なんですか!?味というより苦さしか伝わってこないんですが!?

 

 私は思わずスプーンを手に取って、オムライスをひょいひょいと掬っては軽く平らげてしまいます。

 

「あらあら。お口に合わなかったみたい」

「な、なんなんですかこれ……本当に飲み物なんですか?」

「一応、飲み物です。こらも西洋から伝わってきたものですけど……」

「でしょうね──西洋の方はこんな苦いものよく飲めますね……」

 

 うげぇと舌を出してコーヒーとやらを見つめる。

 

(反応一つ一つ可愛いわぁ……妹がまた一人増えたみたい)

 

 ニコニコしながらカナエさんは此方を見ています……そ、そんなに私の反応がおかしかったですかね?

 

▽▽▽

 

「ふぅ……美味しかったです……」

「私達の分まで払ってくださり、ありがとうございますカナエ様」

「いいのよ。みんなにはいつも頑張って貰ってるからね」

 

 その言葉で喜びを見せる三人娘達。カナエさんが何故慕われているか分かった気がします。

 天然なところはありますけど、優しくて面倒見が良く、話してるだけでも落ち着けてしまうような雰囲気。いなくてはならない存在というのはこういうことなのかもしれません。

 




 感想やご指摘をくださりありがとうございます。鬼滅の刃はまだ途中までしか読んでおらず、おかしい点などはあるかと思いますが温かい目でお見守りください。

 早く本屋さんに入らないかなぁ〜
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