このポーション屋に祝福を!   作:霜降り 

2 / 16
ゆんゆんがいじめられる話


第二話

昨日私の輝かしい冒険者生活は始まったのだが正直すぐに冒険に行く予定はない。

何故なら行く意味がないからだ。私が冒険者になった理由はポーションの素材集めのためなのだが、今は作るポーションどころかポーションを作る場所さえない。

こんな状態でポーションの素材を採りに行ったところで、バッグのこやしになるだけだ。

一応宿屋でポーション作りはできるのだが……まぁ汚れるし、危ないからな。

というわけで今日は家探しである。

できることなら隠れた地下室があるような場所がよい、私の作ってるポーションはグレーゾーンというか普通にアウトだらけだからな。

 

 

 

 

「お客さん、ここでよろしいですかね?」

「ああ、ここで頼む」

 

結果から言うとだいぶ早く家は見つかった。

というより地下室がある家が一個しかなかった。

案外地下室のある家とはめずらしいらしい。

里じゃ地下室がある家がたくさんあったから勘違いしてしまった。

にしても何故あの里にはあんな地下室があったのだろうか?

一回理由は聞いたことはあるがかっこいいからとか言われて誤魔化されたんだよな…

塹壕みたいに使ったりするのだろうか。

 

「ではお金のほうはまた後日お願いしますね」

「ああ、分かった」

 

にしても一個しかなかった家がなかなかいい家で良かった。

広いし、地下どころか2階までついてる、しかも家具も備え付き。

問題があるとしたらこの家がお店とくっついてるタイプということか。

 

ポーション店はするつもりなかったのだが……これならもう店だしてしまった方が手っ取り早いかもしれん。

と言ってもここ店としては凄まじく立地が悪いんだよな。隣に墓地あるし……お蔭でめちゃくちゃ安かったが……やはりポーションは他の店で売ったほうがいい。か?

 

あ、そうだ。

汎用性の高いポーションは他の店に売ってもらって使用率の低い、言い方を悪くすれば使いみちのないポーションとかはこちらで売るか。

案外使いみちのないポーションも欲しがる人がいるからな。

そうなると店の用意も必要か、今日は時間もあるし店用のものとかポーション作成に必要な物を探すか。

 

 

 

 

「あ、あの、なんで私は連行されてるの?」

 

店用のものとポーション作成に必要な物を買うことに決めた私はギルドで今度はトランプで一人スピードをしていた可哀想なゆんゆんを連れて商店街に来ていた。

 

「たくさん買うつもりだから荷物持ちが欲しくてね」

「荷物持ちって男の仕事じゃ……」

「まだこの街にきて2日しかたってないのに男の知り合いとかいないよ、それともゆんゆんが誰か紹介してくれるかい?」

 

まぁぼっちのゆんゆんに男の友達なんているわけ無いと思うが。

 

「そ、そのいるにはいるんだけど……」

「えっ!?」

「な、なんで、そんな驚くのよ!そのめぐみんのパーティメンバーでカズマさんっていう「いや、やめておこう、めぐみんと一緒のパーティメンバーとか嫌な予感がするし」

 

あんな爆裂魔と一緒のパーティになれるやつなんてロクなやつじゃない、私の本能がそう言っている。

 

「そ、そう……でも私が荷物持ちって」

「ごめんねゆんゆん、友達からのお願いだよ」

「わかった!友達だもんね!荷物持ちでもなんでも頼んで!」

 

チョロい、こいついつか悪い男に騙されたりしそうだな

いや、もしかしたらめぐみんのパーティメンバーのカズマってやつにもう騙されてるのかも……

 

「でも買い物って何を買うの?ふらすこのことだからポーションを作るための物持ってきてそうだけど」

「もちろん持ってけるものは持ってきてるけど、デリケートで持ち運べない物とかがあるんだよね、あと自作のちょっとやばいやつもあるしねー」

「へー、って最後なんて言った!?」

「まーまー、バレても怒られる程度のものだから安心しなって、あと他にも欲しいのがあるんだよねぇ」

「怒られる程度って……大丈夫なのよね?で、欲しいものってなんなの?」

「店、結局開くことにしたんだよね。だからそれ用の棚とか欲しくてさ」

「店?その……大丈夫?」

「なんというか凄まじく失礼だね」

 

まるで私が店を経営できないみたいに言いやがって。

 

「だって!ふらすこ紅魔の里に来た人に気持ちよくなれるポーションとか媚薬とか色々やばいもの売りつけてたじゃん!」

 

ああ、確かにそんなことあったな。

女を囲ませてるムカつくいけ好かない冒険者がいたからムカついて媚薬と避妊薬と前世だったら一発アウトの薬売りつけたんだった。

確かぶん投げられた記憶がある。

 

「ま、多分大丈夫だよ、気持ちよくなれるポーションは売るつもりないし、ていうか売ったら捕まっちゃうし」

「まって!捕まっちゃうってどういうこと!あれそんなやばいやつだったの!?」

「さーて、いい棚はないかなー」

「誤魔化さないで!」

 

 

 

 

「お、重い……」

「ゆんゆん……?流石にそれを持つのは無理があると思うんだけど……」

 

買い物を済ませた帰り道、ゆんゆんが棚を持ち上げようとする、だが持ち上がらない。

確かに小さめな棚だがアークウィザードが持ち運ぶには無理があるだろう。

何故ゆんゆんがこれを持とうとしてるのかというと。

 

私が冗談で誰かこの重い棚持ってくれる友達いないかなぁとゆんゆんの方をチラチラ見ながら言ったからである。

 

まさか友達のためにここまでするとは、ゆんゆんに友達ができない原因の一つがわかった気がする、重いんだよこいつ。

 

「はぁ、もういいや、私が持ってくからゆんゆんはこっち持って」

 

私が持っていた小物とかが入った袋をゆんゆんに渡す。

 

「え?あ、うん、でもふらすこ持てるの?」

「いーや、持てない、だからこれを使う」

 

白衣の裏側から一本ポーションを取り出して飲み干す。

そして棚を片手で持ち上げる。

 

「そんな便利なものがあるなら最初から出しなさいよ!」

「仕方ないだろう、これポーションに体が慣れてない人が飲むと危ないんだよ、強力なやつだから」

 

流石にここまで筋力を上げるポーションを副作用なしにすることはできなかったのだ。

なのでこれは日頃からポーションを飲んでるようなやつ以外が使うと下手すりゃ死ぬポーションである。

 

「それ実質ふらすこ用ってことじゃ……」

「そうだね、これで副作用がなかったらボロ儲けできるんだけどねー」

 

一応効力を抑えれば副作用をなくすことができるのだが正直そこまで落とすと、飲む必要ある?ってレベルになってしまうし。

 

「そんなことしなくても、ふらすこは回復ポーションだけでボロ儲けできるでしょ……」

「ま、そうだけどね。あ、あそこだよ」

 

会話の途中で新しい家が見えてきたので指を差してゆんゆんに伝える。

 

「これ家じゃなくて店じゃない?」

「店と家が合体してるタイプ」

「ああ、じゃあここでポーション屋するの?」

「そのつもりだよ、立地は最悪だがね」

「確かに墓地の隣だもんねぇ、それでもあの回復ポーション売ったら満員になるんじゃない?」

「んー、だから汎用性の高いポーションは他のお店にも売ってもらって、こっちで変なポーション売ろうかなって」

「変なポーションって言い方……確かに変なポーションたくさん作ってたけどさ、ていうかそれ売れるの?」

「売れるよ?何故かそういうの欲しがる人いるからね」

 

コレクター精神とかとてつもなく特定の状況で使えたりするからと買う人が実はいたりするのだ。

特定の状況がどんな状況か聞いてはいけない。

 

「何よそれ……」

 

知らない、思い出したくない。

 

「ホントに何だったの!?」

 

 

 

 

買ってきた荷物を部屋に置いた私達は、3時になって今更昼ご飯を食べてないことに気づきギルドに来ていた。

 

「ねぇ、なんかオススメのものある?」

「オススメ?カエルの唐揚げとか?」

 

カエルの唐揚げ……?美味しいのかそれは?気になるし頼んでみるか、日本にいた頃カエルは鶏肉みたいな感じと噂で聞いたが本当なのだろうか?

職員……いや店員か?にカエルの唐揚げと酒を注文する。

それに合わせてゆんゆんはサラダを頼む。

 

「相変わらず酒好きなのね……こんな時間から飲んで平気なの?」

「いいじゃないか、この味知ったらやめられないね、酔えないのが残念だけど」

 

私は前世から酒が好きだったこともあってこの世界の酒も思いっきりハマった、それはもうこの世界が酒に対してゆるいのもあってハマった。

悔やまれるのはポーションを飲みすぎてしまったせいで薬物耐性がついてしまって全く酔えないことか。

なので悲しいかな私にとって酒はジュースとほぼ同じである、雰囲気で酔うしかない。

 

「ゆんゆんも飲むかい?」

「流石にこんな時間から飲みたくないわよ……」

「ゆんゆんは真面目だねぇ」

 

ゆんゆんも飲んでもらわないと人の目が気になって飲みにくくなっちゃうんだが、まぁ飲むが。

 

「人の目を気にする質でもないでしょ」

「言っとくけど私くらいが普通だよ、むしろゆんゆんが気にしすぎ、紅魔族のくせに」

 

紅魔族に人の目を気にするやつなんて殆ど、というかゆんゆん以外いないからな。

みんなむしろ自分を見てくれって思ってるバカばっかだ。

 

「はぁ……どうしたらみんなみたいに人の目を気にしなくなれるんだろう……」

「まずは紅魔族をやめることをオススメするよ」

「どうやってやめるのよ!」

「はい、これ人間をやめるポーション」

「ふらすこと話してると冗談が冗談にならない……うぅ」

 

私がバッグから取り出したポーションを見てゆんゆんが死んだように頭を机に下ろす。

 

「いらないのかい?」

「そもそも何なのよ、そのポーション」

「これはね、猫の細胞を人間に適応させるポーション」

「細胞……?適応……?どういうこと?」

「わかりやすく言うと猫耳と尻尾が生えてくる」

「本当に何なのよそのポーション……」

 

こんなんでも里に来た人の3割くらいが買ってくれた人気商品だったりするのだがな。

 

「何に使ってるのよ……?」

「いたずら用と、あとは……ゆんゆんは知るべきじゃないかな」

「そっか」

 

どうやらゆんゆんはこれ以上聞いたら駄目だと勘付いたみたいだ、何も聞いてこなかった。

 

「ま、これは今度めぐみんにでも投げつけておくとして」

 

ツンデレなあいつならさぞかし似合うだろう……想像するだけで笑える。

 

「めぐみん絶対怒るわよ」

「だからこそ、ね?」

「どうなっても知らないわよ……」

 

ま、最悪爆裂魔法の強化ポーションあげないって言ったらあいつ黙るだろうし平気だろ。

さてめぐみんにどのタイミングで投げつけるか……できれば冒険者ギルドで投げつけたいな……ここの雰囲気的に面白いことになるのが目に見えている。

そんな計画を頭の中で考えてると酒とカエルの唐揚げとサラダが運ばれてくる。

ほー、これがカエルの唐揚げ、見た目は普通の唐揚げみたいだけど。

 

レモンをかけずに唐揚げを口に運ぶ、ふむ、うん、これは鳥だな、先にカエルと言われなかったら勘違いしてしまうかもしれない。

結構うまいし、酒のつまみにもいいな、オススメなだけはある。

 

「そういえば、少し気になったんだがめぐみんのパーティメンバーってどんな人なんだ?」

 

さっきは嫌な予感がしたから聞かなかったが、まぁ知っといたほうがいいだろう。

 

「えっと……まずパーティリーダーがさっき言ったカズマさん職業は冒険者、それとダクネスさん、職業はクルセイダー、最後はアクアさん、職業はアークプリースト」

 

ほー、結構いいパーティじゃないか、バランスもいいし、上級職もいる。最弱と言われてる冒険者が気になるが。

 

「で、問題点は?」

「なんで問題ある前提なのよ……」

 

だって、めぐみんと同じパーティだろ?まともな感性をしていれば一日で逃げ出すだろう。

 

「ふらすこはめぐみんをなんだと思ってるのよ!問題なんて……ない……わよ」

「ゆんゆん、アドバイスだ。友達と話すときは目を合わせたほうがいいぞ、なぁ?おい?」




どうでもいいですけど主人公の名前もとはボツ案だったんですよねぇ(安直すぎるから)

でもこれ以上しっくりくる名前もなかったんでこれになりました()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。