このポーション屋に祝福を!   作:霜降り 

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リアルとゲームのイベントが重なったのが悪い。


第六話

鏡の前でゴムで髪を一つに結ぶ。

目の前の鏡には黒い服と黒いズボンの上に白衣を着た、透き通るような紅い瞳の下に隈をつけた黒髪のポニーテールの眠そうな顔をした少女が映っていた。

 

前世とは似ても似つかないこの姿も流石にもう慣れてきたな。

 

この世界に来る前は身だしなみとか興味のない男だったのだが、流石にこれだけこちらで過ごせば女の身だしなみの整え方とか色々慣れてきてしまう。

 

というかまだ眠い、最近ポーションの研究に没頭しすぎてるかもしれない、たまには休息も必要か。

眠気を少しでも覚ますために顔を魔法で出した冷たい水で洗い、洗面台をでる。

 

あ、隈とるの忘れてた……まぁ、いいか面倒くさいし。

 

……案外身だしなみに対する興味というのは男のときと変わってないかもしれん。

 

 

 

 

ドンドンドン、とドアがノックされる。

やっと来たか。

ドアを開けると予想通りカズマが立っていた。

 

「なんか隈すごいことになってるけど大丈夫か……?」

「気にしなくていいよ、ちょっと夜ふかししただけだから。まだ眠いけど」

 

顔一回洗っただけじゃあんま眠気とれないな。

 

「そうなのか、めぐみんが妹が心配だから紅魔の里に行きたいってさ」

 

あー、こめっこ言い訳にしたのか、じゃあこめっこ使っていじるかぁ。

あいつこめっこにめちゃくちゃ弱いし。

 

「そうか、詳しくは後で聞くとして、早く行こう、馬車で行くのか?」

「いや、知り合いがアルカンレティアにテレポートを登録してるらしくてさ、そこから歩いていこうと思っているんだ」

 

知り合いねぇ、まともなやつだといいんだが。

 

 

 

 

カズマ達の家によりめぐみん、ダクネスとたしかアクアって名前のやつを連れてカズマの知り合いがいるらしい場所に来ていた。

で、その場所なのだが

 

「へいらっしゃい!媚薬をもらったけどヘタれて使えてない男と、最近、実家の威光以外ではあまり役に立てない娘!チンピラプリーストに、厄介者のネタ種族二人よ!丁度いいところに来たな!」

 

まさかのウィズ魔道具店だった。

なんていうか、私この店と縁があるな、すごくいらない縁だが。

先程のバニルの煽りがムカついたのか、アクアはバニルをピシピシとジャブをしているし、めぐみんに関しては切れかけの雰囲気を感じる。

だがそんな攻撃も雰囲気も、ものともせずバニルはどうぞどうぞと店の中に入れてくる。

 

「丁度いいところにってなんだよ、俺ここの商品を買いたくないぞ」

「まぁ、そう言わずに、このポーションとかどうだ?逃げ足の早い貴様にオススメだぞ」

 

そう言ってバニルが水色のポーションをカズマに見せる。

あ、それ私が昨日売ったポーションじゃないか。

正直使えないし売れるとは思わないんだが。

 

「なんだこれ?というか今なんか罵倒された気がするんだが」

「これは足が速くなるポーションである、デメリットとしてジャンプができなくなるがモンスターから逃げるときなどオススメの商品だ」

「ほー、なかなか使え……ん?いや、ちょっと待て、ジャンプできない状態で走れるのか?」

「…………オススメの商品である!」

「やっぱ、走れねぇんだろ!その間はなんだよ!」

 

カズマが大声で購入を拒否する。

惜しい、あとちょっとで売れていた、まぁあれを使えそうに見せただけマシか。

店の奥の棚にポーションをしまいに行くバニルがかわいそうなので慰めてあげよう、そう思った私はバニルの肩に手を載せこういった。

 

「惜しかったな」

「貴様にだけは言われたくないわ!」

 

 

 

 

その後カズマがバニルに白い靄がでる箱型の100万エリスの魔道具を買わさせられたりしていた……あの屋敷とか今の魔道具を買えるあたり結構金持ちなのかね。

ていうか知り合いの話どこいった、もしかしてバニルのことじゃないよな?

 

「カズマ、確認したいんだが……知り合いってこいつのことか?」

 

もしそうだったら私は絶対に行かない、こいつに借りをつくるとか死んでも嫌だ。

 

「いやバニルじゃなくて。と、そうだ、ウィズに用があるんだ呼んできてくれよ」

 

カズマの言葉を聞いてバニルが残念そうに白い靄が出ていた箱を閉じる。

それから間もなくすると店の奥からウィズが出てくる。じゃあもしかして知り合いってウィズのことか?

 

「あれ?ふらすこさんとカズマさん?どうされたんですか?」

「ようウィズ、体調は大丈夫か?昨日の今日ですまないな。今日は客じゃなくて、ちょっと頼みがあってここに来たんだよ」

「……私に頼みですか?」

 

どうやらウィズが知り合いらしい、テレポート使えたのか……そういえば確かに冒険者をやっていた的なことを言ってたな、テレポートを使えるならもしかしたら案外有名な冒険者だったのかも。

 

奥でめぐみん、ダクネスそしてアクアが私の売ったポーションを見てるなか、カズマは事情を説明していく。

事情はカズマに任せればいいし、私はめぐみん達のほうに行くか、それにポーションを買わせないようにしないとな、なんたってあれ全部ゴミだし。

それに、買われたらバニルに収益入るし。

とりあえずポーションを一本一本取って確認してるめぐみんに近づいて声をかける。

 

「何か欲しいのはあったか?」

「いえ、ふらすこが作ったぽい魔法の効果を上昇させるポーションらしいので、この前ふらすこが作った爆裂魔法のはないかなと思ったんですが」

「ああ、そういえばあれどうだったんだ?改良していきたいから教えてほしい」

「バッチリでしたよ!洞窟ごとモンスターを破壊するあの快感!はぁ……また味わいたいものです……」

「そうか、じゃあ今度量産しておこう」

 

とりあえずあのポーションは成功だったらしい、なら今度はさらに効力を強めるよう改良してみるか。

 

「どうせ需要はお前しかないから今度開店する私の店に置いといておくよ」

「店開くんですか?その……大丈夫なんですか?」

「ゆんゆんにも言われたよ、それ」

 

紅魔族のなかでは比較的常識のあるゆんゆんならともかく紅魔族らしい常識を持つめぐみんにすら言われるか。

そんな私やばいのか?

 

「いや、なんというか、前あったこめっこのことを考えると」

「あれはこめっこが全部悪いだろ、私は悪くない」

 

昔、と言ってもめぐみんが紅魔の里をでる少し前、私が紅魔の里の路上でポーションを売ってるとき、私が少し席をはずしたら、こめっこが私のポーションを飲んでしまうという事件が起きたことがある。

あのときは大変だった。こめっこが飲んだポーションの中に興奮状態にさせるポーションがあってただでさえ騒がしいこめっこがさらに騒がしくなって里の食料が……もう思い出したくないな。

話を切り替えよう。

 

「そういえばこめっこで思い出したんだが、こめっこが心配なんだって?」

「え!?ええ!!そうですよ!久々に顔を合わせたいですしね!」

 

わかりやすい反応してるなぁ。まぁ、多分こめっこが心配なのは本当なんだろうが。

ならこめっこを使っていじるか。

 

「そーか、そーか、じゃ、こめっこにお姉ちゃんはお前が心配で帰ってきたって言っておこう、こめっこ喜ぶぞぉ」

「やめてください!なんであなたはそういうことをするのですか!?」

 

そりゃあ面白いからねぇ。

 

「あれ?嫌なのかい?こめっこならきっと満面の笑顔で『お姉ちゃんありがとう!』とか言うぞ」

「そういう問題じゃないんです!!」

 

めぐみんが顔を赤くして言い返す。

そんな恥ずかしいかねぇ、かわいいもんだ。

 

「そ!そういえば!このポーション達はふらすこが作ったやつですよね!?」

 

露骨に話題そらしたな、まぁ今は見逃してやるか。

後でみっちりいじるつもりだし。

 

「うん、そのとおりだ。というかこの容器を使ってるのは私だけだから、この容器だったら私のものと思ってもらって平気だ」

 

普通ポーションというのはフラスコのような容器に入れるものだが、私は基本的にポーションは試験管に入れている。理由はそのまますぐ実験に使えたり、服に仕込みやすい、かさばらないなどの簡単な理由だ。

そしてこの試験管はオーダーメイド品だったりするので、試験管を使ってたら私製のポーションということになる。

 

「……なんでこんな使えなさそうなポーションしか売ってないのですか?」

「一応使えるのもあるぞ、そこの回復ポーションとか」

「いや、そうですけど……よく売れましたね」

「私も売れると思わなかったんだけどね」

 

どうやらめぐみんもウィズの商才について知っていたらしく、あー、と声を出す。

 

「なんていうか、ここまでくるとバニルがかわいそうですね……」

 

めぐみんがダクネスに使えないポーションの効果について説明してるバニルに憐れみの目を向ける。

にしても説明の仕方が必死だ、本当に憐れだな。

あ、売れたっぽい、どうやって騙したんだ?ていうか買わないようにさせるの忘れてた。

 

「……ダクネスが買ったやつは大丈夫でしょうね?変なことになりませんよね?」

 

めぐみんが心配そうに問いかけてくる。

過去のこめっこのこともあって私のポーションで変なことにならないか心配してるのだろう。

 

「うん、まぁ、多分平気だよ」

「多分が怖すぎるんですが!?」

 

一応あれの効果は一日で切れるし、大問題に発展することはないはずだ。

 

 

……多分

 

 

 

その後またバニルとアクアが戦いはじめた、どうやらアクアがポーションをだめにしたらしい。

それにムカついたのか、どうやらバニルはここから早いとこ追い出すことにしたらしく、カズマに謎の忠告をしたあとカズマ達をウィズにテレポートでアルカンレティアに早く送るように言った。

それを聞いてウィズがテレポートを私を除いてめぐみん達に使う。

これは別に私がゆんゆんみたいにハブられたわけではなくテレポートには同時に4人という制限があるので2回に分けたのだ。

そんなときバニルが話しかけてくる。

 

「おい、薬中女、貴様にも忠告をしてやろう」

「……その呼び方だと私が犯罪者みたいに聞こえるからやめてくれないか」

「すでに犯罪者のようなものだろう?」

「否定はしないが、貴様に言われるのはムカつく」

 

確かに私は法に掠ってるポーションを作ったことあるが……

 

「まぁ、それはどうでもいい、忠告……いや、アドバイスだ。貴様はこの旅であの男に貸しを作っておくことをオススメする。わかったなら、早くいけ」

 

アドバイスねぇ、イヤな予感しかしないんだが。

 

「ではふらすこさん。どうか無事な旅を送られますよう……!『テレポート』!!」

 




今回諸事情により世にも珍しい3dsからの投稿です()

時間がなく返信できてませんが感想などいつも励みになっています。

投稿遅いですけどこれからもよろしくお願いします。
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