虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~刹那の奇跡を紡いで~   作:関崎比呂

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あらすじにも書いてありますが、二次創作化に伴い一部設定などを変更しています。
そういったものは苦手な方はご注意ください。




第二話 中川菜々の幼馴染

 優木せつ菜のライブを見た後、俺は次の目的地に向かって歩いていた。

 

 ライブを見てこんなにモヤモヤするのは初めてだ。

 

 たしかにライブ自体はとても良いものだったし、歌やダンスだっていつも通りハイレベルだったと言えるだろう。

 あくまでも表面上は……の話だが。

 

 もしかしたら今日初めて彼女のライブを見た人だっているだろう。前回のライブで初めて見て、今回は二回目……という人もいるはずだ。

 

 しかし、俺は違う。

 今まで何度も彼女のライブを見てきた。駆け出しで今よりもっと未熟だった頃から見てきた。

 

 その上で改めて言わせてもらうのなら――。

 

 今日のライブは……俺の知っている優木せつ菜のライブではなかった。

 

「なにか……あったんだろうなぁ」

 

 プライベートでなにかあったのかもしれないし、それ以外のことでなにか悩みがあるのかもしれない。

 

 それは俺には分からないから、なんとも言えないのだが……。

 

「まぁ考えても分からないものは仕方ない……か」

 

 また()()()()()を見れば、色々と分かるかもしれない。

 

「……あ、いつの間に着いてた」

 

 足を止める。

 色々と考えていたせいで、もう少しで目的地を通り過ぎるところだった……。

 

 俺の視界に入っているのは一軒の家。

 

 これが俺の目的地、今日のもう一つの用事である。

 

 『中川』と書かれた表札を見て、俺はインターホンを押す。

 

 特に緊張感などはない。

 この家に来るのは一度や二度ではないからだ。

 

 この時間だと……まだあいつは帰ってきてないかなぁ。

 

『はーい』

 

 インターホン越しに聞こえてきた女性の声。

 

「どうも、空です」

『ああ空君! どうぞ入ってきて』

「はい、お邪魔します」

 

 このやり取り自体ももう何度やっているかは分からない。

 手短に会話を済ませると俺は中川家の敷地内へと足を踏み入れた。

 

 × × ×

 

 見慣れた玄関。見慣れた内装。

 

 リビングへと通された俺は、ソファーに腰かけていた。

 キッチンでは、先ほどインターホン越しに会話を女性が作業をしている。

 

 その女性はこの中川家の奥様である。

 

「最近、菜々(なな)の勉強の方はどう? 成績とか伸びてる?」

 

 キッチンから俺に向かって言葉を投げかける。

 

 菜々……とは、この中川家の娘の名前だ。

 

 どうして娘の成績を俺に聞くのか――。

 この答えは単純だ。

 

 その娘……中川菜々は、虹ヶ咲学園に通う生徒だからである。

 

「伸びてるもなにも、あいつは元々優秀ですから。心配しなくて大丈夫ですよ」

「ふふ、そう。それなら良いんだけどね」

 

 ソファーでくつろぎながら答える。

 

「あ、そういえば空君。この間――」

 

 待ち人を待ちながら、俺は中川母と会話を重ねる。

 

 そんなこんなで三十分くらい時間が経ち――。

 

 玄関の方から、ガチャっと扉を開ける音が聞こえてきた。

 

 恐らく、あいつが帰って来たのだろう。

 

「ただいまー」

 

 少女の声。

 

 その少女はリビングに足を踏み入れるなり、キッチンの母親を見て……その次に俺を見た。

 そして……顔をしかめる。

 

 ……。

 

 おい、なんでちょっと嫌そうな顔をしてるんだよ。

 

 俺傷ついちゃうでしょ。

 

「あぁ菜々、おかえりなさい。空君来てるわよ」

「よっ、菜々」

 

 菜々と呼ばれた少女に俺は手を振り上げる。

 

「……どうも」

 

 気まずそうに、菜々は目を逸らしながら頭を小さく下げた。

 

 ……一体どうしたんだろうか?

 まぁ相手は女子だ……色々あるのかもしれない。

 

 男の俺が気軽に踏み込んでいいものじゃないかもしれないし……。

 

「それじゃあ、今日もよろしくね空君」」

「任せてくださいよ。菜々、着替えとか諸々準備できたら声かけてくれ」

「はい」

 

 菜々は小さく頷ぎ自室へと向かっていく。

 その後ろ姿は……どこかいつもより小さく見える。

 

 うーむ……やっぱりなにかあったぽいな……。

 

 まぁそういうわけで――。

 

 長く伸ばした髪を胸の前で二つ結びにしたおさげスタイル。

 眼鏡をかけているが、その顔を眼鏡越しでも整っていることは分かる。

 

 とはいえ、パッと見彼女を見た者は……小柄で地味な女子というイメージを持つだろう。

 

 それぐらい、こう……雰囲気が『普通』なのだ。

 それがなにか問題があるわけではないが……。

 少なくとも宮下のようなギャルスタイルよりは俺は好感持てる。俺ギャル苦手だし。怖いし。

 

 というわけで。改めて彼女が中川菜々。

 

 虹ヶ咲学園、普通科二年所属。

 

 そして、俺が家庭教師として勉強を教えている相手でもあり――。

 

 お互い十年以上から前からよく知っている存在。

 

 分かりやすぐいえば……幼馴染のようなものである。

 

 × × ×

 

 

 親同士仲が良かった俺たちは、お互い小さいころから何度も関わりがある。

 とはいっても、高咲や上原みたいにずっと一緒に育ってきた……とか、ずっと一緒の仲良し幼馴染……とか、そういう感じではない。

 

 別に仲が悪いというわけでないが……むしろ良好な関係は築けていると思う。少なくとも俺は……だが。

 

 え、仲良いよね? 大丈夫だよね?

 

 まぁ、というのも……俺達と高咲たちとは大きな違いがある。

 

 それは……年の差だ。

 

 彼女たちは同い年なのに対して、俺と菜々は十歳近く離れている。

 ずっと一緒に遊んでいた……というよりかは、俺がなにかと菜々の面倒を見ていたという方が正しいかもしれない。

 

 今日は母親が家にいるが、菜々の両親は基本忙しい。どちらも家にいないという日は割と当たり前のようにあるのだ。

 

 今はもう菜々も高校生だから一人で家にいても問題ないが、小さいときは俺が彼女の両親に頼まれてこの家に来ていたのだ。

 菜々から見たら俺は『近所のお兄さん』という感じだろう。

 

 そういった縁で俺は今でも月に何度かはこうして菜々の家に行っているし、勉強を教えること自体は何年も前から行っている。

 

「……」

 

 現在菜々は、俺が用意した国語の問題集を黙々と解いている。

 俺は少し距離を開けて隣に座り、その様子を見ていた。

 

 ……うむうむ、さすがは菜々。良い感じに解けているじゃないか。

 

 ……ん? おっと?

 

「そこ、間違ってるぞ」

「えっ……あっ――」

 

 ……普段見ないような凡ミス。

 俺にミスを指摘された菜々は、慌てて消しゴムで自分が書いた答えを消した。

 

「珍しいな。お前がそんな問題を間違えるなんて」

「……」

 

 俺の言葉に菜々は俯く。

 

 ……。

 

 あーもう! なんで最近の若者ってめんどくさいの! となみん大変!

 俺は菜々のすぐ隣まで移動すると、開いていた問題集とノートを強引に回収する。

 

「ちょ、ちょっと先生……! いきなりなんですか!」

「はい今日は終わり! 終了! お疲れ様!」

「そんないきなり……!」

 

 ノートを取り返そうとしてくる菜々を適当にあしらう。

 

 どこか納得いってなさそうな菜々の頭の上に、俺は手に持ったノートをポンっと置いた。

 

「だってお前、集中できてないだろ」

「それは……」

 

 俺の言葉を否定できない菜々。

 それもそのはずで、やはり今日の菜々は明らかに様子がおかしいのだ。

 

 勉強に集中できていないのに、無理やり勉強させるつもりは全くない。

 俺自身、菜々の両親とは違って『勉強は大事! 勉強しろ!』的なことを強く言うつもりも毛頭ない。

 

 むしろ、集中できていないのに無理やり勉強をさせることで嫌悪感を抱かせてしまい成績が落ちるパターンもある。

 

 勉強なんてものは、自分がやれるときにやれる分だけやっていれば良いのだ。無理やりやるものではない。

 

 俯く菜々に俺は言葉を続ける。

 

「なにかあったのか? あっ、もしかして……恋の悩みか!? お前もついに俺に対する感情が恋に――」

「ち、違います! なんで悩んでいるだけで恋になるんですか! そしてサラッと対象を自分にしないでください!」

「え、違うの? お前俺に恋してないの?」

「そっ、そんなわけないですから! 気持ち悪いです! ありえません!」

「気持ち悪いは言いすぎだろ!」 

 

 菜々は顔を真っ赤にして全力で否定する。

 

 別に……そこまで否定しなくても良くない……? 

 気持ち悪いだのありえないだの言わなくて良くない?

 

 俺だって男だ。女子相手にそんなことを言われたら心にダメージを受けるわけで……。

 

 俺はもっとこう……『べ、別に私は先生のことなんとも思ってないんだからね! 本当なんだからっ!』みたいな王道ツンデレ的な可愛らしい反応を――。

 

「先生、その……言い辛いんですけど……気持ち悪いです」

「サラッと心読むのやめてくれる? それに言い辛いならわざわざ最後まで言わなくても良くない?」

 

 どうやらこの幼馴染はエスパーだったようだ。

 

 俺は持っていたノートを机の上に置きながら深く溜息をつく。

 

「はぁ……昔はあんなに素直でかわいい子だったのに……。今となっては先生としか呼ばないし、敬語だし……空君は悲しいぞ菜々ちゃん」

「むっ、昔のことは禁止です!」

「ほーん? そんなこと言っていいのか? 実は今日……とあるライトノベルの最新刊を持ってきているんだけどなぁ……?」

「なっ……それは――!」

 

 俺は鞄の中から一冊の本を取りだすと、チラチラっと菜々に見せる。

 

 それにより、先程まで焦っていた様子だった菜々の表情が一変。

 俺が持っている本を見て、まるで子供のようにキラキラと目を輝かせ始めた。

 

「本当だったらお前に貸してあげるつもりだったんだが……。気持ち悪いとか言われたからなぁ……どうしようかなぁ……」

「えっ……ご、ごめんなさい……」

 

 またもや表情が一変。シュンと落ち込む菜々。

 なんだこの生き物は。可愛いなおい。

 

「なんて、冗談だよ。ほれ」

 

 これ以上いじめたら本当に拗ねそうだな……。

 

 俺は手に持ったライトノベルを机の上に置いた。

 ライトノベルとは……まぁ一般的にな、アニオタ向けの小説だろう。表紙には可愛い女の子が描かれており、タイトルも中二病チックな感じだ。

 

 昔からアニメや漫画、ゲームが好きだった俺は今もこうしてライトノベルを買っている。

 

 そしてそれは、菜々も例外ではなく――。

 

「あ、ありがとうございます! ずっと続きが気になって仕方なかったんです! 気になりすぎて自分で買いに行っちゃおうかなぁって思っていましたし……!」

 

 ライトノベルを手に取り、菜々は満面の笑顔を浮かべる。

 それほどまでに新刊を読めることが嬉しいのだろう。

 

 コロコロと表情が変わる菜々を見ていると、なんだか俺まで楽しい気分になってくる。

 

 ――今の菜々の様子を見れば一目瞭然。

 

 菜々も立派なアニメオタクの一人なのだ。

 彼女がまだ小さい頃から俺はこうして漫画やライトノベル……通称ラノベを貸している。

 アニメや映画だって、何回一緒に見たか分からない。

 

 本当は部屋にグッズなどを飾りたいのだろうが……。

 

 菜々の両親が、そういったコンテンツを嫌っているのだ。

 嫌っている……というか、あまり認めていない……と言うのが正しいかもしれない。

 

 だから堂々とオタクであることを言えないし、家の中では優等生の中川菜々を演じている。

 ラノベや漫画などを貸すときだって、こうして部屋でこっそり貸しているのだ。

 

 もちろんバレたらやばい。俺も、菜々も。

 

「お前は普段からよく頑張ってるからな。こういう息抜きも必要だ。……まぁいつも通り、親にバレないようにな?」

 

 俺は喜ぶ菜々を見て微笑む。

 

「はいっ! それは当たり前です! ありがとう()()()! ――あっ」

 

 あっ……。

 

 自分のうっかり発言に気が付いた菜々は、その顔を真っ赤に染め上げた。

 

 まったくこいつは忙しいやつだな……。

 学校でもそういう感じだったらもっと友達が増えると思うのに……。

 

 俺はニヤリと笑うと、いたずらっぽく菜々に言う

 

「うんうん、どういたしまして。……菜々ちゃん?」

「も、もう! からかわないでくださいっ!」

 

 菜々はフイっと俺から顔を逸らした。

 

 普段は大人ぶっているところがあるけど……やっぱりこいつは変わっていない。

 頑張って背伸びして大人を演じているけど、実際は子供っぽくてポンコツな中川菜々のままだ。安心した。

 

「……なにか今失礼なこと考えていませんか?」

「さぁ? どうだろうな?」

「なっ……! い、言ってください! 気になります!」

 

 でも……まぁ。

 

 少しは元気が出たみたいで良かった。

 こいつの思い悩んでいる顔は見たくないからな。

 

 少しはふざけたかいがあるというものだ。

 

 × × ×

 

 時間はあっという間に過ぎるというもので――。

 青く明るかった空は、鮮やかな夕焼け色へと変わっていた。

 

「さて、と。俺はそろそろ帰るとするわ」

「あ……もう、こんな時間だったんですね……」

 

 あの後俺たちは勉強など一切せず、最近のアニメや漫画の話で盛り上がっていた。

 菜々の両親には絶対に見せられない景色だな……。

 

 俺は帰り支度を済ませると椅子から立ち上がる。

 

「あの……! 今日は晩ご飯を食べていかないんですか?」

「ああ。今日は早く仕事を切り上げた分、家でやらないといけないことが多くてな」

「仕事を早く切り上げる……今日……。……あっ――」

 

 俺の言った意味を理解できた菜々は、それ以上もうなにも言うことはなかった。

 

 どうして今日、俺が仕事を早く切り上げたのか――。

 その理由は、菜々が最も良く分かっているだろう。

 

 いつもだったら仕事を一通り済ませてから菜々の家に来るから、時間もそれなりに遅い。

 その時に菜々の母親がいれば、一緒に晩御飯をご馳走になっているのだが……。

 

 さすがに今日は、家でやらないといけないことが多いからな。あまり長居はできない。

 

「ラノベは読み終わった後適当に返してくれ。それじゃあまたな」

 

 手を振りながら俺は部屋から出ようとする。

 

「せ、先生……! 先生は……その……」

 

 背中越しに聞こえてきた声に立ち止まる。

 呼び止めた理由は……なんとなく理解できる。

 

 俺は振り向かずに菜々の言葉を待つ。

 

「なにも聞かないんですか……? ……()()()()()()

 

 やっぱり……な。

 

 菜々が言う『今日のこと』は、もちろん俺には理解できる。

 

「……聞いてほしいのか?」

「それは……」

「じゃあ聞かない。お前が言いたいときに聞くよ」

「……っ。先生! 私は……実は――」

 

 それ以上、なにも続くことがないその言葉。

 

 菜々が一体俺になにを言いたいのか、なにを思っているのかは分からない。

 

「……。……いえ、なんでもありません。今日もありがとうございました」

「……そうか。またな、菜々」

 

 俺は短く返事を返すと部屋から出ていく。

 

 別に俺は無理やり菜々の言葉を引っ張り出すつもりはない。菜々が言いたくないなら聞かないし、菜々からしてもしつこく聞かれるのは嫌だろう。

 ましてや女子というのは、そのあたりは特に繊細だから。

 

 しかし――。

 

 この時ばかりは、俺は俺自身に『馬鹿野郎』と言いたい。

 なぜ少し無理やりにでも菜々の気持ちを聞いてあげなかったのか――。

 なぜ菜々が抱えていることを少しでも察することができなかったのか――。

 

 今日の選択を俺は明日、後悔することになる。

 

 × × ×

 

 翌日、放課後。

 

 はぁ……今日も疲れた。何事もなく無事に済んで良かったわ……。

 

 心の中で、今日の授業もしっかり終わらせられたことを安堵する。

 最後に自分のクラスで帰りのホームルームを済ませた俺は、いつも通り職員室へと戻る準備を済ませる。

 

 今日はちょっと仕事溜まってるからなぁ……。怒られる前に早く片付けないと……。

 

「先生先生!」

 

 俺が立っている教卓のすぐ前から聞こえてきた声。

 

「うぉびっくりした……どうした高咲」

「案内して欲しい場所があるんですけど……!」

 

 案内……?

 

 そういえば今日の高咲、昨日と比べてどこか元気な気がする……。

 目が輝いているというか……なんというか……。

 

 まさか――。

 

 昨日言っていた『ときめき』に出会っちゃったのか?

 

 いやいやまさか……ねぇ?

 

「侑ちゃん? どうかしたの?」

 

 俺と高咲が話していると、上原も近付いてきた。

 

「あっ、歩夢! ちょっと今日校内で寄りたい場所があるんだ!」

 

 ほう?

 

 それは珍しい。

 この二人は大体学校が終わったら一緒にショッピングとかに行っているようだが……。

 

 それが今日は学校で他の用事があると……?

 

「それで俺に案内してほしいと……そういうことか?」

「さすが先生! 話が早い!」

 

 大きく頷いたことでツインテールが揺れる。

 

 こいつは俺を便利屋かなにかだと思っているのだろうか?

 

 とはいえ、かなりの大きさを誇る虹ヶ咲学園だ。

 普段全然行ったことがない場所だとしたら、そこに行くのも一苦労だろう。

 

 案内するだけならすぐに済む……か。

 まぁ……大丈夫だな。

 

 仕方ない……可愛い生徒の頼みだ。外波先生頑張っちゃう。

 

「それで? 高咲はどこに行きたいんだ?」

 

 別の学科の友達にでも会いに行くのだろうか?

 それともまた別のなにかが気になるのだろうか?

 

 軽い気持ちで引き受けた俺に、高咲が満面の笑みで放った言葉は――。

 

()()()()()()()()()()()です!」

 

 ほうほうなるほど、スクールアイドル同好会――。

 

 スクールアイドル同好会……。

 

 スクール……アイドル……・

 

「……は?」

「だから! スクールアイドル同好会の部室です!」

 

 

 ……。………。

 

「……マジ?」

 

 

 

 思えば、この出来事がきっかけで始まったのかもしれない。

 この高咲侑という少女の言葉がきっかけで始まったのかもしれない。

 

 彼女たちの奇跡が――。

 彼女たちの輝きが――。

 

 彼女たちが作り出す――。

 

 

 虹色の物語が。

 

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