Fish that are called by different names as they grow larger   作:瓶ラムネ

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マイホームと夢はでっかい方が良いと昔の人は言った

それから少しして。

手分けして不動産を扱っている店を見つけて話を聞く。

コミュニティの立ち上げならホームの用意は最低限必須だからだ。

 

「お客さん、今日が箱庭初日かい?珍しいね」

 

不動産屋で我々の応対に出てきたのは犬耳を生やした獣人だった。

商店街では何度も見てきた存在だから既に見慣れたものだ。

ちなみにこの不動産屋は2件目だ。1件目は目に叶わなかったため出てきた。

 

「そうなのかしら?確かに私たちは今日来たばかりだけれど、外界から箱庭に来る人は珍しいのかしら?」

 

「数としてはそこそこ多いらしいけど、そういう人たちは大概が箱庭上層の人たちが呼んだり外界から界渡りのギフトとかで渡ってくる人たちだから、こんな最下層に初日から現れる外界の人ってのは少ないんだ」

 

「そう。まぁ私たちも箱庭上層の人に召喚されたわけだしそういうものなのかもしれないわね。」

 

「へぇ!ちなみに誰に召喚さされたか……いや、おっかないから聞くのはやめておくぜ」

 

顔を見合わせて頷く。

1件目とは違い、期待が持てそうだ。

 

「利口ね。アドルくん、ここは当たりの店のようね」

 

「あぁ、そのようだね」

 

「お褒めに預かりありがたいことです。それで?本日はどういった条件で?」

 

店主も満更ではなさそうだ。こう言う素直な性格が繁盛の理由だろうか。

 

「この度コミュニティを立ち上げようと思ってね。この店で扱っている物件で、コミュニティ本拠として使えそうな広大な土地を持った物件はあるかな?」

 

「コミュニティ立ち上げですか!そりゃめでたい話だ!!……とはいえお二方がお気に召す物件があるかどうか……」

 

初日からコミュニティの立ち上げと聞いて店主は仰天している。

やはり初日からコミュニティ立ち上げというのは珍しいのだろう。

コミュニケーションの一環としても出せる予算の上限の金貨を出す。

その金貨の多さに店主はこちらが舐めてかかってはいけない上客だと即座に理解したのか、より真剣さが目に宿る。

 

「扱ってる物件のリストを見せてくれ」

 

「は、はい。ただいま」

 

大慌てで裏に引っ込んだ店主がガサゴソ物件のリストを探し出してくる。

思った以上には安いが、しかし。

 

「......ふむ。どれも一軒家としては悪くないがコミュニティのホームとしては微妙だな」

 

「値段も絶妙に微妙ね。値段だけ見れば安いのだけれど......利便性、コミュニティとしての拡充性を見るともう一声欲しいところね」

 

「あぁ、出張所のような使い方は出来るだろうが、ホームとしてはちょっとな......」

 

やはりホームとなるのだから広大な土地が欲しいところだ。

 

「……ってあら?これ、すごく良いじゃない」

 

飛鳥が一つの物件を指差す。

森に湖、そして一つの邸宅がついた物件だ。

 

「おお、良いなそれ。」

 

その広さなんと直径20km。敷地の大半が森で、森の中心には直径5kmほどの湖が存在している。

立地もここから距離もそうなく、総合的に見ても悪くない条件だ。

しかもコミュニティのホームとして超広い邸宅、それも湖の畔に作られている風光明媚さまであるという贅沢仕様。

それがなんとお値段金貨200枚程度で良いときた。これは召喚当時のレートで11万ユーロ程度だ。日本円にして1400万くらい。

破格どころの話ではない。何か理由があるのだろう。

 

「うん、これはいいな。値段もありえないくらい安い。……店主、何か問題でもあるのか?この物件は」

 

「は、はい。こちらの物件は幻獣種、それもタチの悪いことに強力なサンダーバードが住み着いてまして……」

 

「サンダーバードというと新大陸に伝わる神鳥のことか?」

 

「そうですそうです。サンダーバードは単体で5層レベルの幻獣です。ですが奴はあの土地に味を占めたのか住み着きやがりましてね」

 

自分のところの物件に住み着かれているのだ、イライラも募るというもの。

店主としても泣く泣くの値段設定なのだろう。

北米大陸の神鳥が住み着いてるとなれば最下層の住人では手も足も出ないだろうから誰も買わないらしい。

 

「なるほど。サンダーバードが邪魔でまともな買い手がつかなくこの値段だということか?」

 

「はい。我々としてもこの物件は立地も広さも申し分のない良物件でして売りに出したいところなのですが.......。お客様がこの値段で買ってくれるというのであれば諸手をあげてお売りする所存なのですがね……」

 

「へぇ。アドリアーノくん、いいんじゃないかしら?」

 

「......は?」

 

飛鳥の言葉に素っ頓狂な声を上げる店主。

 

「あぁ。店主。こちらの物件を買おう。土地の利権書と家の鍵を。代金はこれでいいか?」

 

持ってきていた金貨をドシャっと卓上に出す。

買うにしても一括で払うとは思っていなかったのだろう。店主の目は飛び出る寸前だ。

 

「も、問題ないです、お客様。ですが、相手はあのサンダーバードですよ……?」

 

「問題ない。たかだかサンダーバード程度に手こずるわけもない。」

 

「あら、それは本当かしら?」

 

ニヤニヤとこちらを見る飛鳥。どっちの味方なんだか。

 

「まぁ見てな。まぁさっさと家を整理したいし早速このまま向かおう。」

 

「は、はぁ。.......ではこちらが鍵と利権書です。」

 

渡された利権書を読み、問題ないことを確認する。

 

「確かに。ではまた。」

 

「良い買い物だったわ。」

 

「はい、ありがとうございました。サンダーバードが退治できたら教えてください!お祝いしに行きますので!」

 

いい取引だった。

街中に店を構える時にはまたこの不動産屋で物件を購入することにしよう。

 

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