Fish that are called by different names as they grow larger   作:瓶ラムネ

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その鳥は害な鳥か、神な鳥か

「じゃぁ早速神鳥退治と行きますか。」

 

店を出て伸びをする。

来たのは何時だったのか忘れたが、もう太陽が頂点を通り過ぎ、夕方が近いことを示している。

ここから近いとはいえ、それでも3,40kmはある。

さっさと済ませるのに越したことはないだろう。

 

「えぇ。今日のところは任せるわ。私は戦闘向きのギフトを保持していないし」

 

「オーケー。今日のところは僕がやろう。とはいえ飛鳥の戦闘向きのギフトを手に入れに今度ギフトゲームに参加しにいくのもありかもな」

 

「えぇ。私のギフトは命令系だから効く的にはめっぽう強いのだけど、効かない相手には全く意味がないもの。例えばアドルくん、あなたとかね」

 

「人で実験しないでもらいたいがね。とはいえ君のギフトが命令系というのは疑問が残る。もう少し色々試してみるのをお勧めするよ。」

 

「......このギフトはあまり好きではないけど、長年付き添ってきたギフトだもの。あっちでは試せなかったことも試してみたいわね」

 

“威光”と書かれたギフトカードを見る飛鳥。

威光という単語から色々と力の使い方が思い浮かぶ。

 

「そうそう。その威光のギフトを使いこなせればもっと強くなれると思うよ。」

 

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風に乗るかのように、上空数百メートルを飛んでこれからの本拠地に向かう。

時速1000kmを優に越すスピードで飛んでいながら体にはなんの衝撃もこないという現象に飛鳥が疑問を呈する。

 

「不思議なものよね、この力ってなんなのかしら?」

 

「何、大した力でもない。生まれた時から身についていた力さ。」

 

アドルの濁すような口ぶりに飛鳥はご不満のようだ。

 

「あら、秘密主義の男性は女性から嫌われるらしいわよ?」

 

「そうかな?ミステリアスな男性というのも良いと思うけど」

 

答えを言わないと思ったのか肩を竦める飛鳥。

 

「まぁ、父親から授かった力とだけ言っておくよ。最初からわかったら面白くないだろう?」

 

「まぁ、それもそうね。私の威光もよくわかっていないのだし。アドルくんはその力のルーツを知っているのね」

 

「そうだね。飛鳥の力も多分自分の家系や周囲の人間とかにその力の秘密があるんじゃない?」

 

「家系.....」

 

「まぁ今考えても仕方がない。こういうのは追々わかっていくからこそ楽しいものだろう?」

 

「それもそうね。まだ時間はあるもの」

 

会話しているうちに目的地の森と湖が見えてくる。

遠目から見てもやはり広大な土地だ。

森を切り開いて農業をしてよし、湖で漁やら養殖やらしてよし。もちろん林業にしてもよしだ。

 

可能性の宝庫だ。

 

ーーと、突如。我々の接近に気づいたのか、雷が落ちるような威嚇の咆哮が上がる。

湖の中心にある浮島からサンダーバードがこちらを睥睨し、その雄大な翼をはためかせる。

 

翼を広げると優に15mはあるだろう。

周囲に雷をバチバチと帯電させながら翼をはためかせる度に暴風が吹き荒れ、中洲周辺の水が盛大に巻き上げられる。

 

「おや、見つかったね」

 

「......そのようね。アドル君、本当に勝てるのかしら?」

 

サンダーバードの威容を見て、飛鳥は少しビビったようだ。

こちらの視線とぶつかり、言い訳を始める。

 

「うんうん、わかってるわかってる。飛鳥は俺が守るからそう怯えないで大丈夫さ」

 

グッと親指を立ててウィンクする。

飛鳥は苦りきった顔をした。

 

「ち、ちが......あなたを心配しているのよ」

 

あなたを心配している、と切り替えてくるあたり、頭の回転はやはり良い。

思ったよりは冷静さを保てているようだ。

 

「飛鳥お嬢様に心配されてしまうとは汗顔の至り。心配いらないと証明して見せましょう」

 

慇懃もとい丁寧に礼をする。

 

「ぐ.......負けたら承知しないわよ」

 

ぐぅの音が出るのは根性で抑える飛鳥。

麗しのレディにハッパをかけられてやる気を出さない男はいない。

 

飛鳥を湖の畔の屋敷に飛ばし、自分はサンダーバードの元へ。

空を飛ぶ人間を初めて見たのだろう。

直ぐに襲撃をかけてくると思ったが案外慎重だった。

 

ーーだが。

 

「慎重に様子見などせず襲撃をかけてくるべきだったな。それならまだ一撃くらいは食らわせることができたかもしれないというのに」

 

サンダーバードを見下すように空中に立つ。

 

こちらに落雷を落とそうとサンダーバードが力を振るうが、こちらの力の方が上だ。

落ちてくる落雷が全て避けるように落ちていく。

まるで雷自体がアドルを害することを忌避しているかのような様相だ。

サンダーバードが起こす落雷も、暴風も全てがアドルまで届かない。

 

自分の力が通じないことなど今までなかったのだろう。

サンダーバードが驚愕に目を見開くが、もう遅い。

 

「俺は天空神ゼウスが子、アドリアーノ。頭が高いぞ、害鳥如きが!!」

 

アドルの喝破と同時、天を割るほどの落雷がサンダーバードに落ちる。

その一撃でサンダーバードは沈黙した。

 

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