Fish that are called by different names as they grow larger 作:瓶ラムネ
「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております!」
サウザンド・アイズで買い物を済ませ、深く頭を下げる店員から見送りされながら外に出る。
最初の態度とは真反対だ。
黒ウサギは額に青筋をたて、問題児たちは爆笑していた。
夜の帳が落ち、空に瞬く星空を見上げる。
世界は違えど、夜の星空はやはり美しい。
十六夜と耀からの、あれの方がいいんじゃないか?これの方がいいと思う、と言うチャチャ入れを躱しながらの買い物だったからか、思った以上に時間がかかった。
これから住むことになるホームは、数年以上も放置されていたにしては思った以上に綺麗だったがやはり、ベッドや食器、風呂用具などはガタが来ていたため必要な買い物だった。
ギフトカードを見ると、ポケットマネーとして持ってきた金は大きく目減りしている。
こんなことならもっと持ってくれば良かったと思う反面、最初から金が大量にあっても面白くはないとも思った。
資本金としては丁度良い具合の金額だろう。
これから街中に出店する店とバイトと品物の仕入れをしたらそれですっからかんになりそうだが、ここは箱庭。
足りないところはギフトゲームで強奪もとい、仕入れることにしよう。
ただでさえホームを格安で手に入れることができたのだ。
あまり強欲なことを言っているとろくなことにならない。
月光が照らす中、ノーネームの面々と別れる。
「じゃ、またな」
「またね、十六夜くん、春日部さん」
黒ウサギはちょっと涙目だ。
今生の別れでもあるまいに大袈裟な子だ。
十六夜と耀はちっとも寂しそうにしていない。黒ウサギは多少は彼らを見習うべきだ。
彼らに染まりすぎるとよろしくないので塩梅が難しいのだが。
「おう、じゃぁな。お前らんところにもそのうち行くからな」
「覚悟しとくといい」
「ふふっ。覚悟しておくわ。」
「あぁ、覚悟しておこう。......ま、どうちらも今は最底辺。どっちがより早く上位に上がれるか競争と行こうじゃないか」
「言ったな?負けたらどうする?」
「勝者は負けた方を1日好きにできるってのは?」
「乗った!!」
十六夜は手をワキワキとさせた。
「卑猥なことはなしね」
飛鳥は身の危険を感じたので先手を打つことにした。
勝つから良いとかそう言う次元での話では無い。体が拒否したのだ。
「えー......そりゃないぜお嬢」
十六夜はゴネたが、逆効果でしか無かった。
エッチなことをすると言っているような物だ。
「ま、公序良俗に反しない程度にってことでいいじゃないか。どうせ俺らが勝つし」
「確かにそれもそうね」
「言ったな?」
「......後悔しても遅い」
アドルと飛鳥のあまりにも安い挑発は十六夜と耀には効いたようだ。
「いやいやみなさん何言ってるんですか!?」
「黒ウサギは黙ってな!これは俺たちのプライドを掛けた勝負だからな」
「そう、これは私たちの勝負。黒ウサギには関係ない」
「いやいやいや......」
どうせ負けるやろと思ったが、一日くらいなら良いかと思い直す。
というよりもこれは説得は無理そうだと悟り、黒ウサギは諦めたのだった。
「勝利条件は先に最下層を脱出することってのでどうだい?期限は無期限で」
「乗った!」
「負けない」
名無しの権兵衛相手に吹っかけるのにはだいぶ厳しい勝利条件だが、彼らは天元突破した問題児。
彼らの辞書に逃げると言う文字は無かった。
両者が合意した瞬間、ギフトゲームの誓約書が天から降ってくる。
箱庭がギフトゲームの成立を認めたのだ。