Death mark Vegito   作:名無しのななな

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ホラーぶち壊しベジットさん…かな?


9(八敷視点)

車を運転すること十分、何とか事故や面倒ごとが起こらずに無事H小学校に到着した。

 

月明りに浮かび上がる校舎は不気味な佇まいを見せていた。

 

廃校になって数年が経過しており、壁にはあちこちにひび割れており、窓ガラスもかなり割れている。

 

「いかにも、何か出そうな雰囲気だな」

 

「でしょ。今日は会えるかなぁ、花彦くん。」

 

「地球にもこうゆうものがあるんだな」

 

萌は相変わらず花彦くんを見たがっている。ベジットさんはなぜ地球という言い方をしたんだ?やっぱり宇宙人なのか?

ベジットさんが言ったことは萌の耳には聞こえなかったようだ。

 

H小学校に入ろうとしたその時…

 

「ちょっとちょっと!」

 

どこからか声が掛かった。

 

「あんたらどこ行くつもりなの!?」

 

威勢のいい声とともに現れたのは警備員の制服を着た男だった。

 

右手には懐中電灯、ベルトにはトランシーバーを携帯している。どうやら巡回中の警備員らしい。

 

「ここは立ち入り禁止の場所だよ。看板見なかった?」

 

「それとも何?肝試しみたいな感じで来たわけ?ダメダメ、もうすぐ夏だからってここはそういう遊び場じゃないんだから。」

 

「だいたいね、今日は着任当日なんだ。せっかくありつけた仕事だってのに、面倒ごと真っ平なんだよ。」

 

警備員は喋るだけ喋ると「分かったね?」と威嚇したあと、廃校の中に入っていった。

 

「…あいつ、廃校の中に入っていったが、いいのか?」

 

「うーん、ちょっと不安かな」

 

まだ新人のためガードが甘い。着任当日ということに救われたようだ。

 

「にしても、前忍び込んだときはいなかったんだけどなぁ…」

 

「お前みたいなやつが増えたから急遽雇ったんじゃないか?」

 

「最近の若い奴はこうゆうのが好きなのか?」

 

ここはベジットさんが常識人で助かった。

 

「ベジットさんは幽霊を見たことがあるからそう言えるんだよ…」

 

といった話をしながら、扉の向こう側に差し入れた手で解錠し、校舎内に足を踏み入れる。

 

「うわっ。中、暗っ。やっぱ夜の学校って、やばい感じだよね」

 

恐ろしいものに対し、飄々としている。やはりおびえているようだ。

 

「さっきの警備員は少し離れた位置にいる。懐中電灯くらいあるだろ?」

 

誰がどこにいるのか分かるのって俗にいうチートなのでは…

 

「ああ…」

 

とはいえ、ベジットさんもこの暗さじゃ何も見えないようだ。

 

「…それで萌、花彦くんが出るという鏡はどこなんだ?」

 

「向かって右だったかな。そこに階段があってそれを上ったところ。」

 

萌の言う通り、昇降口を右に曲がると、真っ暗なトンネルのような廊下が続いていた。

 

廊下の床は割れたガラスの破片が飛び散っており、通常なら光っている火災報知器のランプもただの割れたプラスチックと化している。

 

「…なんかいるな」

 

唐突にベジットさんがそう言う。

 

「なんかってなにがだ?」

 

「わからん。感じたことのない気だ。少なくともあの警備員ではないな」

 

すると、東階段に到着した。

 

ベジットさんの感じられる気とやらが正しなら怪異が近いということかもしれない。すると…

 

「うっ…」

 

これは一体…シルシが肉に食い込むような強烈な痛みを襲う。だが、このシルシを消すための鍵を探さなければならない。

 

萌の様子もベジットさんの様子も暗くて見れない。だが、萌の呼吸は荒くなっているのはわかる。

 

ここで戻ったところで殺される…進まなければならない。

 

「お前ら大丈夫か?」

 

ベジットさんは相変わらずだ。

 

俺たちは異様な圧迫感に耐えながら奥へと進み、花彦くんが現れるという鏡の前にたどり着いた。噂の鏡は縦に長く、俺の全身が映るくらいだ。

 

「汚れているが、見た限りは普通の鏡だな…ベジットさん何か感じないか?」

 

「さあな。今のところは何も感じない」

 

「んー。おかしいなあ。前に来た時はすぐに変な感じになったんだけど…」

 

「…もう少し調べてみるか。」

 

 

だが急に事態が変わった。萌だと思っていた黒い影が、いきなり左右に揺れだした。

 

 

「ひぁっ!?」

 

萌が声にならない悲鳴を上げる。

 

「なんか今、動いたよね!?」

 

「ああ…!」

 

その証拠に萌が退いた後もその黒い影は鏡の表面で左右に揺れている。

 

「…なるほどな」

 

ベジットさんが何かに納得している。何に納得しようとしたが…

 

 

右手首のシルシが痛み出す。

 

 

つられるように萌もしゃがみ込みシルシがある太ももを押さえ出した。

 

 

「な、なに、あの黒いの…」

 

「花彦くん…なのか?」

 

「これが怪異というものなのか?」

 

やがてその黒い影は口と思しき当たりをもやりと動かした。

 

 

『ねえ…。ぼく、きれい……?』

 

 

弱々しい男の子の声だ。

 

 

『ねえ…。どっち……?』

 

 

『きれい……?』

 

 

どちらか答えなければならない。質疑応答の結果次第で、もしかしたらシルシを消す方法がわかるかもしれない。

 

しかし、鼓膜に染み込んでくる恐ろしい声に顔面の筋肉が硬直し、話せないでいる。すると…

 

 

「悪いが、きれいとは言えんな」

 

 

この空気の中平然と話せるのはベジットさんだけだろう。すると、顔と思しき部分がぐにゃりと大きく揺れ動く。

 

 

『そう…。ぼく、きれい……じゃないんだね』

 

 

「ふん。自分の顔を鏡でよく見るんだな」

 

…それは言い過ぎじゃないか?

 

 

『……赤いの、ちょうだい』

 

 

「赤いの…だと?」

 

 

『ねえ……。そこにいるのは……。もしかして……

 

 

   ”大人”なの?』

 

 

それは単純に大人か子どもかという問いかけなのだろうか。だがその言い様には、大人に対しての嫌悪が混じっているように感じる。

 

直感的に、子供だと伝えなければ…

 

「俺もそこにいる奴もクラスで背が高いほうでな。」

 

 

『大きい人は……来ちゃだめなのに』

 

 

すると突然、鏡の表面にピシッ!とヒビが走った。

 

「…は、花彦くんいなくなったの…?」

 

「…ああ。割れた瞬間消えたようだが…」

 

ひとまず死は免れたようだ。

 

「…急用ができた。少しの間二人でいてくれ」

 

するとベジットさんが消えた。

 

そして間を置かずにどこからか「うああああぁぁぁぁーッ!」と、凄まじい叫び声が聞こえた。




余裕で二千超えちゃった…警備員どうしよう…
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