Death mark Vegito 作:名無しのななな
ベジットさんがツタを光の剣で切り裂いたとはいえ、動きは止まらない。
「気をつけろよ、こいつに捕まったらどうなるかわからんぞ」
真下が注意する。たしかに、あの警備員のようになるかもしれない。そう考えると背筋に寒気が走る。
すると、不意に「きゃあああああーッ!」と甲高い声が響いてきた。萌の悲鳴だ。
「よっと」
ツタに捕まりかけた萌をベジットさんが救出する。
「大丈夫か?」
「う、うん…大丈夫…です。」
少し放心気味に返す。
「そういえば、ここの鍵は見つかったのか?」
「いや、見つかっていない。」
鍵がないせいで鍵のかかった教室が調べられない。どうしたものか…
「…もういい。こうなれば力ずくだ。どうせこんなところに来るのは物好きだけなんだろう?」
そういうとベジットさんが教室の扉を腕だけで押し破った。
「これで調べられるだろう。」
「器物破損だな。」
「よく言うぜ。お前だって一人で勝手にここを調べにきてんのによぉ?」
この二人の刺々しい性格は似ている。その分ぶつかり合うことがある。
すべての教室で見つけたものはには血で染みたドス黒いビニールシート、骨だけの傘、そして…発煙筒。
「どれもガラクタだな。ここにあるもので花彦をどうにかできるとは思えんが。」
真下の言う通り、どれもガラクタだ。
「…なあ、そのビニールシートと傘を組み合わせれば花彦のとげはどうにかできるんじゃないか?」
ベジットさんが案を出す。言われたとおりにやってみるが…
「うーん、もろくない?」
萌の言う通り、もろい。あの大きなとげをとてもではないが防げるとは思えない。
「いや、それでいい。」
それは骨だけの傘にビニールシートを被せるというものだった。そのため、外れやすいという欠点もある。
「おい、二階の教室を見に行くぞ。」
真下がしびれを切らしたように提案する。二階はまだ行っていない。
皆が頷き、階段へ向かう。すると、そこには蛇が群がっていた。
「ちょ、なにこれ!?なんでこんなところで蛇が!?」
あきらかにおかしい。
「一階には一匹も居なかったはずなんだが…」
一階は薔薇で埋め尽くされて蛇の姿が全く見えなかっただけ…というわけではない。
「まるで通せんぼだな…」
さすがのベジットさんもこの光景には驚いたようだ。少し顔色が青くなっている。
「ベジットさん、何とかできない?」
「できるにはできる。だが階段がな…」
「あまりいい策ではなさそうだな。時間が惜しい。二階はあきらめるか…」
廊下を歩いていると、左肩を何者かに掴まれた。
その掴まれた左肩から霜が降りるように、冷たい気配が半身を覆った。
振り返れば誰が掴んだかわかる。しかし、直感的にすぐに振り向いてはいけないということは分かる。
どうする…!他の三人はどうなんだ…!
「べ、ベジットさん…」
ベジットさんのいた方を見る。
そこには花彦くんが居た。
そして、暗闇の中で恐ろしい表情が浮かび、こちらを待ち構えるように現れた。
しかし、向こうはこちらの気配には気づいていないようだ。だからと言ってここは一本道の廊下。逃げ道はない。
目を閉じ、息を殺して祈る。こちらに気づかないでくれ、と。
すると、「おい」と声がした。恐る恐る目を開けるとベジットさん、真下、萌がいた。
「どうかしたか?」とベジットさんに聞かれる。
「いや、なんでもない。」
「そうか。」
気が付くと教室の扉の前にいた。
あの輪郭、間違いなく花彦君だった。最悪の夢を見た気分、いや、実際に見たんだろう。もし気づかれていたら…
いや、そう考えるの良そう。
シルシが灼けるように紅く輝く…
≪明け方≫死の刻限まであと数十分
やべえよやべえよこのままだと一か月で一話ペースになりそう…