おれが豹で豹が鳩で   作:人間(概念)

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こんな話が読みたくて…

ネタなので一話限りの短編です。


おはよう青天井

そこそこ平凡で、そこそこ不運でちょいちょい運がいい

そんな程々な人生をなぁなぁに生きてた

 

―――…それがさ?

 

 

「ある日目を覚ましたら青天井ってどういう事だ」

 

【…同感だ】

 

「何がどうしてこうなったんだ。俺は何かやっちゃいけないタブーでも侵したのかカミサマ」

 

【神とやらに縋ったところで何も変わらねぇぞ】

 

 

人間、誰でも許容範囲を超えると神頼みになるって聞いた…ような気がする

つまり今、俺の許容範囲を超える様な事が起きてるって事だ

 

例えばさっきから喋ってるのは自分なのに聞こえる声が妙に高くて子供みたいだとか。

顔を覆おうとした手が明らかに小さいとか。

となりの鳩と喋れてるとか。

 

なるほど、納得した。現実逃避しよう。

 

 

「…よし、もっかい寝るか」

 

【バカヤロウ】

 

「いてっ」

 

 

となりにいた真っ白い鳩に顳顬を啄かれた。地味に痛いから辞めて欲しい。

 

…さっきから何故か話せてしまってるこの鳩の事はツッこまない方向で行きたい。受け入れた訳じゃないからな?スルーだ。大人な対応が出来るんだよ俺。

 

 

【で、お前は誰だ】

 

「スルーしてくれないのか…」

 

【無視は出来んな。…何故おれの体に入っている?】

 

「俺にも分からな…ちょっと待て、今なんて言った?」

 

 

おれの体って言った?おれの体って言ったよな今?

 

もうやだ、何がどうなってんだ

 

 

「この体、お前のなのか」

 

【あぁそうだ。…正確に言うと子供のおれだが】

 

「子供の?」

 

【おれの知る“おれ”は30だ】

 

「…三十路のおっさん、鳩になる。ラノベかよ」

 

【…ラノベとやらは知らねぇが、バカにされてるのは分かるからな】

 

「素直な感想だバカヤロウ!」

 

 

当てるつもりはないけど手を払ってみた

…簡単に避けやがった、鳩の癖に

 

 

「…なぁ鳩」

 

【鳩じゃねぇ、ハットリだ…今はな】

 

「じゃハットリ。この体の名前は?」

 

【……】

 

「いや黙るなよ」

 

 

生憎と俺にはここが何処で今の俺が誰なのか全く分からないんだよ!

せめて名前だけでも知っておきたい

 

それともアレか?もしかして名前を言ってはいけないあの人みたいなアレなのか?

 

 

【…仕方ねぇ。その身体はルッチだ】

 

「へー。ルッチか…ルッチ?」

 

【あぁそうだ】

 

「お前はハットリで、俺がルッチ?」

 

【そうだと言ってるだろう】

 

「…ロブ・ルッチ?」

 

【…何故知っている】

 

 

いや。うん、いや。いやいやいやいや

待って。ちょっと待て、切実に待って欲しい

 

ルッチ?ロブ・ルッチ?マジ?

 

…えっ、ワンピ?ここワンピースの世界?マジで?

 

 

【答えろ。何故知っている】

 

 

となりの鳩…ハットリが鳩とは思えないオーラと殺気を向けて来てる気がする

 

そうかー。だからお前白い鳩でハットリなのかー

 

つかそのヤバいオーラやめて、こわい

 

 

【言え】

 

 

言えって言われても…正直に言うと言いたくない。

だってこの世界の住人に『お前の世界作り物です』とか言われたって信じられないだろうし、俺の人生なんだったの?ってなりそう。

 

でも俺が今ルッチならハットリとの信頼関係は欲しい。

それに、本当にハットリが元ルッチならこの世界での生き方とかも知ってるだろうし。

 

取り敢えず当たり障りのない範囲で話すなら…ノーランドみたいにルフィの人生を物語にした本があった事にするのが無難か?ロブ・ルッチにとってルフィは敵だけど他の奴にしたら掘り下げられた時に困る。

それならロブ・ルッチの事も登場人物で通せる。

 

 

「えーと、怒らないで聞いて欲しいんだけど俺のいた場所ではルフィ…麦わらのルフィの人生を書いた本があったんだ」

 

【本…モンブラン・ノーランドの様に実在した人物を元にしたものか】

 

「そうそう!実在したらしいって話は聞いた事あるけど本当だったとは…」

 

【となると、お前はおれよりも先の時代や麦わらが英雄視されている世界から来た可能性があるな】

 

 

あ、なんか腕?翼?組んで考え出した。嘘も混じってますごめんなさい。

 

 

「ロブ・ルッチは麦わらのルフィの敵なんだろ?そういうのってショックだったりするのか?」

 

【…いや。お前のいた場所では紙の上の話だとしても、おれにとってはおれの人生だ。驚きはしたが…それだけだ】

 

「流石ロブ・ルッチ。俺だったら泣いてる」

 

【…お前は弱過ぎだ、バカヤロウ】

 

「生バカヤロウなのに喜べないな」

 

【お前も言ってたからな】

 

「マジか。体に引っ張られたのかもな」

 

 

平和の象徴と話をしてる

傍から見たらただのほのぼの風景なのに心中何一つ穏やかになれないのが凄くツラい

 

 

「なぁハットリ…いやルッチ?」

 

【…原理は知らねぇが、今ルッチはお前だ。おれはハットリでいい】

 

「…ハットリ。お前どうやったら戻れるか分かるか?」

 

【さあな。こんな現象聞いた事もねェ】

 

「だよなー」

 

【お前…ルッチはどうなんだ】

 

「残念ながら俺も何が何やらってとこだ…いや覚えはあるか」

 

【!あるのか】

 

 

あ。今ハットリの目、ちょっと光ったか?

 

でも期待される程の情報じゃないんだよな…

 

 

「宛にはするなよ?ただ俺のいた場所ではこんな風に別の世界や時代に飛ばされた話がいくつか語られてたんだ」

 

 

ラノベとかWeb小説でな!一時期転生ものと異世界ものだらけで目当ての本がなかなか見付からなくてスマホぶん投げたのは俺だけじゃないと思ってる。

 

 

【成程。そういった話だとどうやって戻っていた?】

 

「あー…ガッカリしないか?」

 

【言え】

 

「基本的には戻らない。俺が聞いた話だとそうなったやつはそのまま生きてく話ばっかりだった」

 

 

俺がそう言うとハットリは黙り込んだ

 

怒って…る訳じゃないな。でもショックって感じもしない

考えてるのか。これからどうするか

 

 

【…仕方ない。おいルッチ】

 

「おっ、決まったか?」

 

【あぁ…お前、そのままおれとして生きろ】

 

「…本気か?ただの一般人だぞ?」

 

【見たところその“おれ”はせいぜい6、7歳だ。恐らくまだグランハオでCP9になる為に修行してる頃だろうな】

 

「…一般人の俺に六式使いになれって?」

 

【体は“おれ”なんだ。出来ないとは言わせねぇ】

 

 

それもそうか

 

ただの一般人ならともかくこの体は正真正銘ロブ・ルッチなんだから、本家のルッチと同じ事が出来るのは確定だろう

 

…逃げ道がないな?

 

 

「あー、その…一つだけいいか?」

 

【なんだ】

 

「いくら体がルッチでも俺はお前じゃない。…多分ルッチと同じ“ロブ・ルッチ”にはなれないと思うぞ?」

 

【構わん】

 

「…“ロブ・ルッチ”の掲げる正義と違う正義を掲げて、“ロブ・ルッチ”にとって悪になる行動をしても、そう言えるか?」

 

 

これだけは聞いておきたい

 

だって俺、一般人だからさ。あのルッチが掲げる“闇の正義”とかぶっちゃけ理解出来ない。

必要悪がいるのは分かるけど、自分から望んでそれになろうだなんて思えないんだ。

 

何より俺は、あの世界政府の為にルッチと同じ行動を取れる自信がない。目の前で苦しんでる人がいるなら助けたくなるし、俺の命すらゴミ同然に見てる連中に大人しく従うなんて出来ない気がする。

 

 

【…構わねぇ】

 

「…いいのかよ」

 

【今のおれはルッチじゃない、ハットリだ。お前がルッチなんだからお前の好きに生きればいい…だが】

 

「…やっぱ無理か?」

 

【いや。ただおれの体がみすみす死んだり殺されたりするのは納得出来ないんでな。無謀や無茶だと判断した時は止めるからな】

 

「ストッパーって事か…むしろ有難いくらいだ」

 

 

方向性は決まった。

 

しばらくはこのグランハオでCP9となる為の修行をして、この世界で生きていく下地を作る事に専念しないとだな。

 

 

「じゃ、よろしくな?ハットリ」

 

【…あぁ。よろしくルッチ】

 

 

 

―――…あ、そういえば今のおれって能力者なのか?

 




なんだこれは
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