三十路のルッチ→ハットリ(鳩)
少しだけ仲良くなれた気がするハットリを膝に乗せて胸を撫でてみる。生羽毛がフワフワ過ぎる…。
ちなみに、実はハットリの普通の鳴き声もちゃんと聞こえてたりする。会話してる人間の言葉は喋ってるっていうより『こいつ直接脳内に…』な感じだ。おかげで衰退した筈の厨二心が擽られてる。
厨二心、と言えば少し楽しみにしてたルッチの悪魔の実の能力だけど、残念ながら今はまだ能力者じゃないらしい。動物系の変身とかまんまメタモルフォーゼでワクワクしてたので地味に凹んだ。ハットリには呆れられた。
一先ずはここグランハオでCP9になるべく修行を積んでいくとして、その先については完全に未定だ。
…と、いうより本音を言えばCP9にもなりたくない。戦争どころか喧嘩もした事がない俺に諜報活動はともかく暗殺とか出来る気がしない。
だがしかし。非常に、誠に、どうしようもなく残念な事におれにはCP9になる以外の進路は認められてないらしい。なんでだよ。俺が学生の頃なんて進路希望調査なんて名目で第三希望まで聞いてくれたぞ?
しかも年に3回も希望を書かされた。回数が多すぎて毎回進路希望先がブレブレだったのはご愛嬌ってやつだ。
【グランハオに居る以上、CP9になる事は決定事項だ。そもそも存在自体が極秘事項のCP9の存在を知った上で修行をしているんだ、それ以外の道があるとするなら…まァ死だろうな】
「理不尽だ…何この孤児院、物騒」
【孤児が多いというだけで孤児じゃない奴もいるし、実際は暗殺者の養成施設のようなものだ。ここは修練場であり孤児院ではない】
「進路が一択しかご用意されてないのか…ちなみに確定で死ぬのはなんで?」
【…決まっているだろう?】
おかしい。ハットリは首を傾げただけでどっちかと言うとかわいい癒しポーズをしてる筈なのに、なんでかめちゃくちゃ悪い笑顔を浮かべてるような気が…。
【口封じだ】
「だろうな!その顔で察したよバカヤロウ!」
鳩ってこんなに表情豊かなんだな!ありがとう、嬉しくありません。どうか見た目のまま平和でほのぼのな鳩でいて欲しい…無理か、無理だな。
というかなんでそんなに嬉しそうに口封じって言うんだよ。おれは生死の瀬戸際過ぎて泣きそうだよ。
とにかくこれでおれがCP9になる以外の道は完全に無くなった訳か、本人の希望ガン無視した進路希望調査なんて無効になってしまえ。
「じゃあ、おれはCP9になるしかないのか」
【そうなるな】
「…“ロブ・ルッチ”の時は、CP9になるまでどのくらい時間が掛かった?」
【正確な時期は覚えてねェが…13の時にはCP9に所属していた】
そう言って肩…は狭くて乗れないのか腕の辺りで低空飛行してくれたハットリのために腕を持ち上げる。細い足の感覚にコイツ鳩なんだなーとかアホみたいな感想が浮かんだ。ボキャ貧ではない。
というか今13って言ったか?言ったよな?
13って中一だよ、まだまだ俺達が少年誌のグラビアページで赤面したり『興味ねーなー』って言いながらチラ見してるお年頃にロブ・ルッチはCP9として活動してたとかどんな思春期で青春時代だよ。
…あれ、もしかしておれもそうなるのか?
おれがルッチって事はおれはそんな何の彩りも無い…いや血の色はあったか。とにかくそんな思春期で青春時代がおれを待ってると。
「…よし、おれの思春期を満喫する事を当分の目標にしよう」
【何の意味があるんだバカヤロウ】
「いてっ」
地味に痛いから顳顬を啄かないで欲しい。というか腕にも乗ってくれたから心を開いてくれたのかと期待した分心も痛い。ひと粒で二度痛いなんてあんまりじゃないか。
というか今のは聞き捨てならない。
「どうせなら彩りある思春期を送りたいんだよ」
【“ロブ・ルッチ”にそんなものは不要だ】
「ハットリ、前は思春期だ青春だなんて無縁だったんだろ?なら今回はおれと一緒に体験したっていいじゃないか」
【…バカヤロウ】
あ、今のバカヤロウはちょっと優しいやつだ。心做しか顔も少しだけ優しくなったような気もする。
「CP9になるのは確定として、問題は技術か」
【六式に関してはここの教えに従っていれば問題ない、その年頃だと六式の基礎は身に付いていた筈だからな。それ以外の技術はおれが教えよう】
「既に六式修得一歩手前とか初耳なんだが。というかそれ以外っていうのは?」
CP9になるには六式使いになるのが必須条件…だったっけ?でも列車のところで二式だか四式だかの新入りがいた話があったような…何しろエニエス・ロビー編見たのは結構前だからうろ覚えなんだよ。
でも基本的には六式で闘ってた気がする。ロブ・ルッチは悪魔の実の力があったから教えるってそれについてか?
【CP9所属になるまでに見聞色の覇気と武装色の覇気は実践で使えるレベルになってもらう】
「難易度がハード通り越してヘルに!」
もしくは鬼だな!一般人だって説明したのにこれか!
「つーか一般人のおれに六式どころか覇気なんて…」
【“おれ”に出来たんだから可能だ】
「強制的に納得させられるの悔しいからそのセリフで全部片付けるの辞めにしないか?」
確かに見聞色と武装色の覇気が使えたら強いのは分かる。というか新世界編からの流れを見てると覇気を修得してるのは絶対条件な気すらしてくるから恐ろしい。
覇気って言葉がちゃんと出始めてからそんなに時間も経ってなかっただろ。ルフィ達からしてみれば2年経ってるなんて言われたら返す言葉もないけど。
【覇気は全ての人間が持っている力だ。まァ使えると信じなければ目覚める事もないがな】
「…“ロブ・ルッチ”は信じたのか?」
【……】
「え、なんで無言」
【…覇気の修行は六式修練の合間に行う】
「無かった事にされた!?」
【煩いぞ、ポッポー】
「鳩ムーブで誤魔化された!」
初めての鳩ムーブは聞こえて来る声が少し違って聞こえた、様な気がした。腹話術中の声で聞こえたのかもな。
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有難い事に連載希望のお声まで頂き
『もしや需要の方からやって来たのではないか』という淡い期待を抱いて続きが出来ました。
長編になるかは未定なので、当分は短編のまま次話投稿をしていくつもりです。