第6話
入学初日から個性把握テストを行い、相澤先生の除籍勧告という嘘に振り回されながら終わった雄英高校の一日目。
今日から本格的に授業が始まる。俺は準備を済ませて朝食を取りながらニュースを見ていた。
「(朝から親父たちの連絡が無いってのはゆっくりできるもんだな……)」
昨日の夜は親父からすぐに連絡があり、学校での事を根掘り葉掘り聞かれてオールマイトとの関係性も再度自慢してきた。
その時、親父に迷惑をかけるなと注意したら少し不貞腐れてたけど。そうして、親父との電話が終わったと同時に今度は楓から電話がかかってきて結局寝れたのは遅くなってからだった。
コーヒーを飲みながらゆったりとテレビ画面を見る。
[昨日、東京都にあるグランド製薬の第一研究所で火災があり建物が半焼しました。これにより死傷者――]
「朝から嫌なニュースだな…っと、もう行かなきゃ間に合わないな」
テレビの電源を落として食器を水につける。準備を終わらせて俺は部屋を出て行った。
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高校に着き、授業が始まる。午前中の授業はすべて普通科の授業になる。ヒーローを目指しているとはいえ、俺達はあくまでも学生。学生の本分である授業を疎かにしては将来はない。
授業の合間の休み時間も特に普通の高校と変わらないだろう。
「なぁなぁ鏑木。お前ひとり暮らしだったよな?」
「まぁ、留学してきて親戚もいないからね」
上鳴くん、峰田くんと喋っていると急に峰田くんが神妙に話を切り出した。
何事かと思ったら、どうやら俺の今の住んでいるところの話らしい。
「ってことは、部屋に"あれ"おいてあるんだろ?」
「あれって、なに?」
「とぼけんなよぉ。男なら置いててもおかしくギャア!?」
「アンタらなに堂々と聞いてんのさ」
峰田くんと上鳴くんの耳にブスリと刺さる耳郎さんの個性イヤホンジャック。どうやら心音を爆音で流すことが出来るらしい。
呆れた様子で二人からイヤホンを外す耳郎さんと芦戸さんがやってきた。
「二人の言ってた、あれって……」
「あぁ、鏑木は気にしなくていいよ。絶対しょうもない事だから」
「それより。良いなぁ、一人暮らし」
「けど、家事も全部やらなきゃいけないでしょ? 大変じゃない?」
「確かに大変だけど。それ以上に気楽だよ?」
「っそうだ! 今日放課後にお前ん家行ってもOK?」
先ほどまで気絶していた上鳴くんが急に起きて提案。
それを聴いて峰田くんや芦戸さんも反応する。
「鏑木の部屋を探索してやるよ!」
「あたしも行ってみたーい!」
「あんたら勝手に盛り上がっ―――「別に良いけど?」 って、軽いな!」
「耳郎さんも来る?」
「え? あ、あぁ…うん。お邪魔じゃなければ」
「大歓迎だよ」
「んじゃ、他の皆にも声かけて来るねぇ!!」
……ん?
「待って芦戸さん、まだ呼ぶの!?って、聞いてるーーーッ!!?」
手を伸ばして止めようとしたけど、すでに芦戸さんは他のクラスメイトにも声をかけまくっていた。
行動力凄すぎ……。
そうして、芦戸さんの声掛けによって集まったメンバーは――
上鳴、峰田、芦戸、耳郎、葉隠、切嶋、麗日、緑谷、尾白、瀬呂
「頑張った!」
「あ、あははは…部屋に入りきるかな?」
「鏑木、お疲れ」
「ありがとう耳郎さん。できれば止めて欲しかったけどね」
「ごめん。無理だった」
満面の笑みで仕事を仕切ったとこちらにVサインを見せる芦戸さん。顔を引きつらせて笑う俺に耳郎さんは俺の肩に手を静かにおいていた。
芦戸からの誘いを断ったクラスメンバーたちの理由
飯田「それだけの人数では鏑木君に迷惑をかけることだろう。また別の機会にさせて貰おう」
八百万「まぁ、素敵ですわね! ですが、男性の一人住まいのお部屋にお邪魔するのは親に相談しなければいけませんので……残念ですが」
爆豪「興味ねぇ」
轟「いや。いい…」
常闇「闇に近いほど制御が難しい。またの機会とさせて貰おう」
蛙吹「ごめんなさい。鏑木ちゃんには謝っておいて」
口田「ブンブンッ! ペコペコ!」
砂糖「あぁ、今日は無理なんだ」
障子「いや。今日はやめておこう」
皆の喋り方って難しい。特に常闇くん。
がんばろ…