ローターを入れたまま戦うFate/stay night   作:エロスはせがわ

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入れたまま、教会へ。

 

 

「はい♪ それじゃあいくよライダー? えーい!」

 

『――――うにゃああああ~~っっ!!』

 

 深夜の間桐家の一室に、ライダーの艶声が響き渡った。

 

「うふふ♪ じゃあ次はこのボタンいくね? えーい!」

 

「あーーーっ!! サクラぁー! さ゛くらぁぁーーっ!!」

 

 エビ反りになり、「うわーん!」と泣き叫ぶライダー。対して桜は満面の笑みだ。もうニッコニコである。

 

「や、やめて下さいサクラ! もうゆるしてッ!」

 

「えっ? ダメだよライダー。今日はたくさん訓練するって言ったでしょう?

 そうじゃないと聖杯戦争に勝てないもん。あそーれ♪」

 

「あーーん! いやあああーーん!!」

 

 豊かな胸の谷間。大きく露出したふともも。そこはかとなくエロい眼帯。

 それに加えて、この喘ぎ声ときたもんだ! それはもう、色々えらい事になっているのだ!

 

 ちなみにこの行為は、【間桐式の訓練】である。桜が持っている機械は間桐家が開発した、れっきとした聖杯戦争用のマジックアイテムなのだ。

 決していかがわしい物では無いと思うので、どうか安心して欲しい。きっと大丈夫だ。

 

「ら、らめれすぅサクラぁ! これ以上はぁ!

 もう私、おかしくなってしまいますぅ! イ゛コ゛ァ゛!」

 

「そんな事ないよライダー? 人間ってとっても強いんだから♪

 ダメだと思ってても、意外と限界って遠くにあるものなんだよ?

 それにライダーはサーヴァントなんだから! きっとだいじょうぶ!

 それじゃあ、もういっかいねライダー♪ えーい☆」

 

『――――んォウッ!?!? りゃ……りゃめぇぇ!

 しゃくらぁ! しゃ……しゃくしゃく! うぐぐぐひぃ』

 

 舌を出して〈ビクビクー!〉と震えるライダー。床にペタンと女の子座りし、ギューっとスカートの前を押えている。

 その身体は、桜がポチポチとボタンを押し込む度に、跳ねるように痙攣する。

 ――――いったい彼女の身に、何が起こっているのだろうか?! 謎だ。

 

「……」

 

 そしてこの部屋の片隅には、嬉しそうに「きゃっきゃ☆」と笑う桜を見守る、間桐慎二の姿もあった。

 彼はどこか「どよーん」とした顔をしており、この世界に来てまで不憫な目にあっているライダーに、とても同情している様子が見て取れる。

 

 なんだアレは? コレが魔術師のする事なのか?

 そう言いたげな顔だが、口に出す事は出来ない。なぜなら自分はさっき、桜や間桐臓硯に「僕は関わらないよ」と伝えたばかり。

 この聖杯戦争に、自分は一切干渉しないと、そう宣言したのだから。

 

(やっぱ、思ってたのと違うんだよな……魔術師ってさ)

 

 慎二は過去に魔術師という物に憧れ、書斎で魔術に関する本を読み漁ったり、個人的に勉強していた時期がある。

 後々に、自分にはまったく魔術回路がない事が判明し、その勉強が無駄になってしまったのには落ち込みはしたが、今となっては過去の話。

 ぶっちゃけた話、無くて良かったなぁ僕、なんて事を想ったりもする。たとえ自分が本来は、間桐の当主となるべき人間だったとしてもだ。

 

(だってさ? あんな事したくないよ僕……。

 それいったい、何の意味があるの?)

 

 ――――思ってたのと違う。慎二の想いはその一言に尽きる。

 もっとこう……手から炎を出したり、空から雷を落としたり、そういうのが彼の持っていた魔術のイメージだ。

 とても強くて、カッコよくて、何でも出来るような。いわばそんな“特別な力”こそ、慎二の憧れた物だった。

 

『ぉひいッ?! ……と、トロけるッ☆ トロけちゃうう~ん♡』

 

「あはは♪ じゃあもっといくよぉライダー! よいしょー♪」

 

 ……けれど蓋を開けてみれば、間桐の魔術にそんな物、一切なかったのだ。

 あるとしたらこのワケの分からないピンク色の機械(一応マジックアイテムらしい)を使い、対象の身体能力を強化したり、魔力を底上げしたり、また無理やり言う事を聞かせたりするような物ばかり。

 

 それだって凄い魔術には変わりないんだろうが……でもやっている事といえば、いま見ている通りの物。

 ライダーは今も色っぽい声を出し、「ハオオッ!」とか「へひーん!」とか叫んでいるのだ。

 それは慎二にとって全然カッコよく無いのはもちろんの事、なんか見ていて可哀想になってくる。そんな事を進んでやりたいなんて、思わないのだ。

 

(えっちな服を着てはいるけど、あの人って有名な英霊なんでしょ?

 そんな事しちゃって良いの? 失礼じゃない?)

 

 そもそもあのピンクの機械に、本当にそんな力があるのだろうか?

 聞いた所によれば、「特殊な刺激を与える事により、対象の能力を引き出す」という効果があるらしいのだが……多少なりとも魔術の知識をかじった慎二にとって、それには疑問を感じざるを得ない。

 本当にあんな物に、そんな効果があるのか。ハッキリ言って眉唾だと思っている。

 

(あれだ、馬鹿と天才って紙一重って言うじゃない?

 僕のご先祖さまって、頭は良かったんだろうけど……かなりバカだったんじゃないかな?)

 

 今も眼前には、嬉しそうな顔の桜、そして「きゅうぅぅん!」とか言って必死にスカートの前を押えているライダーの姿がある。

 ほれ見ろ、何が身体強化だ。何が魔力の底上げだ。

 ライダーは身体をガクガク震わせるばっかりで、一歩も動けないじゃないか(・・・・・・・・・・・・)

 

(あんなのでどうやって戦うんだよ。何も出来やしないじゃないか……)

 

 いま目の前にある「らめぇぇ!」みたいな光景に、慎二は自分の考えが間違っていない事を確信する。

 やっぱり僕のご先祖様や御三家って、馬鹿ばっかりだったんじゃないだろうか。

 

(あ、でもアレかなぁ。

 ライダーだけじゃなく、これって7騎のサーヴァント全員が付けるんだよね?

 ……なら条件は同じって事? 酷いレベルでバランスが取れてる(・・・・・・・・・・・・・・・)って事なのか?)

 

 ふと慎二の脳裏に、伝説と謳われる偉大な英霊たちが、なんか腰をガクガクさせながら武器を構えて向かい合っている姿が、思い浮かぶ。

 

(でも条件が同じなら、最初から何も付けなくて良いじゃん。無くても一緒じゃん)

 

 慎二的にはそんな風に思うのだが、昔の人の考えなんて、自分には分からない。

 きっと現代人には思いもよらぬ、深い理由があるのかもしれないし。

 無いかもしれないケド。

 

「ほらライダー! 桜じゃなくて、ご主人様(マスター)って言ってごらん?

 ちゃんと言えたら、ご褒美をあげるよ♪」

 

『サーイエッサー!!

 ご主人様(マスター)! どうかいやしい私めに、お情けを下さいまし!

 ――――んほぉぉぉ!! ブレイカー・ゴルゴォォーーン☆☆☆(意味深)

 オーイエスッ! オーイエスッ! わお~ん♡』

 

 

 ビクビクビクーっと痙攣し、ライダーが恍惚の表情で、後ろにひっくり返る。

 その後は「あぁ……ああ……♪」と呟きながら、どこを見るでもなくポーっと呆けている。

 ちなみに桜は「ほっこり☆」とした顔。輝くような満面の笑み。

 

 

 ――――馬鹿じゃないの? 魔術師ってみんな、馬鹿なんじゃないの?

 

 

 とりあえず慎二は用意してあったポカリスエットを手に取り、タオルと一緒にライダーへ手渡してやる。

 なにで汚れたとは言わないけれど、後で床も拭かなきゃいけない。

 

 

「きゃいーーんっ☆☆☆

 い、今は触れないで下さいシンジ! ドンタッチミーです! えっち!」

 

「あっ、ごめん。……つか大丈夫かよライダー……」

 

 

 

………………………………

………………………………………………………………

 

 

 

 そして、ところ変わって深夜の衛宮家。

 いま士郎は出かける準備を済ませ、先ほど目を覚ましたセイバーと共に、玄関の戸をくぐった所だ。

 

 実は先ほど、突然この家に遠坂凛が押しかけて来て、軽く士郎に聖杯戦争のレクチャーをしてくれるという出来事があった。

 

 あの時の遠坂の傍には、そこはかとなくお尻を庇うようにして立つ、赤い服のお兄さんがいた。

 あの人が誰だったのかは分からないし、彼には口を開く余裕すら無かったのか、一言も会話を交わす事は出来なかったけれど……。

 でも機会があれば、また会う事もあるだろうと、士郎は気にする事なく、二人と別れたのだった。

 

 そして彼女によると、詳しい話が聞きたければ、マスター登録がてら直接教会へ赴いた方が良いとの事。

 その助言に従って、今は出かける最中であるのだ。

 

 ちなみに遠坂が教会までついて来てくれなかったのは、その赤い服のお兄さんの体調を気遣っての事だ。

『アーチャーのお尻が限界だから、今日は帰って休ませるわ』と、なんかそんな風な事を言っていたように思う。

 

 

 

「し……シロウ?

 申し訳ないのですが、どうか出来るだけ、ゆっくり歩いて頂けますか……?」

 

 額に冷や汗を浮かべるセイバーが、ちょこちょこと内股で歩いて来て、ギュッと士郎の腕にしがみつく。

 どうやらセイバーは、ひとりで歩けないようだ。こうして士郎にしがみつかなければ立っていられない程、足がガクガクと震えている。

 

 不安げな顔、震える声。まるで小動物のような仕草。

 彼女は心から士郎を頼りにするように、彼の腕をギュッと抱きしめる。その姿はとてもか弱く、この上なく愛らしく見える。

 

「それじゃあ行こうかセイバー。

 ほら、いっちに。いっちに」

 

「いっちに……いっちに……。

 はい、何とか歩けそうです。道中よろしくお願いします、ご主人様(マスター)……」

 

 二人でよちよち、よちよちと歩く。

 一歩一歩を確かめるように、しっかりと教会までの歩みを進めていく。

 そうしないと、この幸福感とドキドキで、腰が砕けてしまいそうだから――――

 

 

「うぅ……歩く度に刺激が。

 不甲斐ない従者で申し訳ありません……」

 

「大丈夫だセイバー、俺が付いてるよ。

 ちゃんとこの機械も忘れず持って来たし……ってごめん! 押しちまった!」

 

「あーーーーん☆ ……し、シロウっ!? ここは野外ですよ?!

 人に見られてしまシロウゥゥ~~ン♡♡♡」

 

 

 その後も「ふぎぃーん!」とか「エクスカリバー!」とか言いつつ、二人はなんとか教会にたどり着いた。

 

 

 

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