ローターを入れたまま戦うFate/stay night   作:エロスはせがわ

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 今回はかなりの設定改変と、キャラ崩壊があります。
 今更のような気もしますけれど、改めてご注意下さい。

 当作品はコメディ時空なので、第四次のみんなは結構生存している、という設定です。






入れたまま、墓地へ。

 

 

「よろこべ少年――――お前の願いはようやく叶う」(リモコンを指しつつ)

 

 何の願いだよ。そんな性癖ないよ。

 士郎がそう思ったのかどうかは、定かではないが……とりあえず彼は言峰神父の話を全て聞き終わり、教会の外へ出た。

 

 なんだか来てはみたものの、正直自分にはチンプンカンプンな話だった。

 この機械がどういった物なのかも、言峰神父に説明を受けても、よく理解出来なかった。知らない言葉も沢山あったし。

 

「確かオルガズ……だったか?  あとボルチなんとかって。

 なんかカッコよさげな言葉だな。帰ったら遠坂に訊いてみよ」

 

 きっとこれは、自分がまだ魔術師として未熟者なせいなんだろう。純粋な良い子である士郎は、素直にそう思うのだった。

 

 とりあえずはこの聖杯戦争が、下手すると冬木の住民に被害が出る可能性がある代物だという事。(それがどんな被害かは知らないが)

 そしてこの聖杯という物は、相棒であるセイバーにとって是が非でも必要で、必ず勝たなければならないう事だけは、理解したけれど。

 

 士郎にとってセイバーは、命を救ってくれた恩人である。そしてそれ以上に、掛け値なしに力を貸してやりたいと思える、大切な女の子。

 だから士郎は出来る限り、彼女に協力してあげたいと思うのだ。

 

「そういや、この機械の使い方も教えてもらったな……。

 たしか使い手の想いが、強ければ強いほど、ボタンを押した時の効果が高くなるんだったか。

 魔力を込めるのと同じような感じなのかな?」

 

 そうして歩くうち、表で待っていてくれたセイバーの所へたどり着く。

 彼女は地べたにペタンと女の子座りしており、別れた前とまったく同じ姿。ただじっと何かに耐えるようにして、士郎を待ってくれていた。

 まぁひとりで立てないだけかもしれないが。

 

 

………………………………

………………………………………………………………

 

 

「こんにちは――――おにいちゃん」

 

 その少女と出会ったのは、士郎たちが歩き出してから、すぐの事。

 ここは教会から少し離れた場所にある、冬木市の墓地の辺りだ。

 

「切嗣、もう亡くなったんだってね……。

 ほんと遅れちゃったけど、お悔やみ申し上げます」

 

「え? あ……どうもご丁寧に」

 

 白い髪の少女はペコリと頭を下げて、士郎に礼を示した。

 いわゆる“沈痛な面持ち”という顔で、若くして親を亡くしてしまった士郎を、心から不憫に想ってくれている事が分かる。

 

「そりゃ切嗣が、私たちを残して日本に住むーって言った時は、腹が立ったけどね?

 でも私にはお母さまがいてくれて、ずっと愛情を注いでくれてたし。

 切嗣だって、たまにはこっちに帰って来てくれてたわ。

 ……あの第四次の被害で親を亡くし、切嗣まで失った貴方の方が、よっぽどつらい。

 それにある意味、これは私たち魔術師の責任だもの。

 御三家の一人として。聖杯に関わる者として」

 

「?」

 

「そもそも、悪いのはアインツベルンなのよ。

 切嗣が貴方を引き取るのを了承してたら、二人ともこっちで一緒に住めたんだし。

 しかもあの腐れアハト! それで無理やり離婚みたいにさせたのよ?! 信じられない!

 ごめんねおにいちゃん……許してね」

 

 なにやら士郎には分からない話をする、見知らぬ愛らしい少女。だが彼女が真剣な面持ちで、誠意をもって語り掛けてくれているのが分かる。

 

「あ、セイバーも久しぶりー♪

 前回は残念だったよねっ! 今回はがんばるのよ!」

 

「あ、はい。……お久しぶりですイリヤスフィール……」

 

「あと一息だったのに、勝たせてあげられなかったって、切嗣いってたわ。

 相反する考えだし、決して仲良しじゃなかったけど、それでも貴方に申し訳ないって、ほんとは悔やんでたの。……許してあげてね?」

 

「いえ……気にしていません。私が不甲斐なかったのだから。

 お気遣いありがとうございます、イリヤスフィール。

 再び会う事が出来て、私は嬉しい」

 

 士郎にしがみつき、足を〈ガクガクーッ!〉とさせながらも、セイバーは優しい声色で少女と語り合う。

 士郎は知る由もないが、どうやら二人は知り合いであるようだ。

 いまイリヤに「お母さまは元気してるよ! 写真みる?」と、ケータイの画面を見せて貰っている。

 

「今回はいけそう? なんたってセイバーは二回目なんだし! もう慣れた?」

 

「いえ……それが以前の物とは、比べ物にならない程の強さなのです。

 もう立っている事すらままならない。気を抜くと腰が砕けそうだッ……!

 なんでも前回の“86倍”なのだとか……」

 

「うわ~! ご愁傷さまっ! がんばってねセイバー♪」

 

「そ、そんな!? 貴方からも御三家に言って下さいっ!

 これではとても……戦いどころでは……!」

 

「うーんとね? 『前回の戦いでは被害が大きすぎたから、今回はめちゃめちゃ強くしてみた』って間桐は言ってたよ?

 きっと不要な大暴れして建物を壊さないように、そのくらいの強さにしたんじゃないかしら?

 周囲への被害を鑑みての事だと思うわ!」

 

「なんとッ!?」

 

 セイバーは「ガーン!」という顔。イリヤは楽しそうだが。

 

「まぁ今回は私のバーサーカーもいるし、勝つのは大変かもだけど……。

 でも私おうえんしてあげるっ! 優勝できるといいね!」

 

「は、はぁ……」

 

「ぶっちゃけ私、もう聖杯なんていーじゃん……、とか思うんだけどね?

 どーせ昔のアインツベルンも、飼ってたハムスター死んじゃったーとかで、第三魔法を目指してたんでしょ? いい加減あきらめれば良いと思うの!

 何年ひきずってんのよバカ! 新しいの飼いなさいよ! 命はひとつなのよ!」

 

「……」

 

 凄まじいまでのキャラ崩壊に言葉に詰まるセイバーを余所に、イリヤがニッコリした顔で士郎に向き直った。

 二人で話し込んじゃってゴメンねと、可愛く「てへぺろ」する。

 

「それじゃあおにいちゃん、記念すべき聖杯戦争の初戦として、私と戦ってみる?

 もうセイバーとも、なかよしみたいだし。きっと良い勝負ができると思うわ!

 ――――ってことで! バーサーカー!!」

 

 イリヤの呼びかけと共に、この場に鉛色をした見上げるような大男が姿を現す。

 全身から噴き出す熱。獣のような低い唸り声。圧倒的な威圧感。

 士郎はその全てに圧倒され、思わずひっくり返りそうになる。腕にしがみついてるセイバーと一緒に。

 

「これがアインツベルンの最終兵器! 大英雄ヘラクレスよ!

 どうおにいちゃん、カッコいいでしょ? すごく強そうでしょ?」

 

 イリヤはキラキラした目で問いかけてくるが、士郎は今それどころでは無い。セイバーと一緒に「あわわ!」とバランスをとるのに必死だ。

 しかしながら士郎は、いま目の前にいる巨人ともいうべき大男の姿に、ある違和感を見つける。

 

「えっと、イリヤ? その人が胸に付けてるのって何だ?

 ……なんかブラジャーみたいに見えるんだけど」

 

 そう。この大男は、胸元に何かを装着しているのだ。

 ヘラクレスは確か神話の時代に出てくるような人物だから、古代の戦士であれば、上半身は裸というイメージがある。

 そもそも男の人は、ブラジャーなんかしたりしない。

 

「ああこれ? これは大胸筋矯正サポーター(・・・・・・・・・・)だよ! ブラじゃないよーぅ!」

 

 いま目の前にいる、ブラをして仁王立ちしている大男。

 見方によっては、とても男らしく見えない事も無い。堂々としているという意味で。

 

「と言いたい所なんだけどね? これは例の道具よ!

 セイバーもつけてるヤツを、バーサーカーは身体中にいっぱい装備してるの!

 あれはその、大胸筋バージョンねっ」

 

 よくよく観察すると、バーサーカーの大胸筋から〈ブゥゥゥン〉と音が鳴っている事が分かる。

 いったい何の音なんだろうか?

 

「えっとぉ~? 両胸でしょ~? 脇でしょ~? お尻でしょ~?

 あと思いつく限りの場所に、バーサーカーは例の道具をつけてるの!

 その数なんと――――12個!!

 これはバーサーカーの伝承にある12の試練(ゴッド・ハンド)にあやかっているわ!」

 

 今まで気が付かなかったが、耳を澄ませばもう煩いくらいに、バーサーカーからブゥゥゥンと聞こえている。よく見ればバーサーカーの身体全体も小刻みに振動しているし。

 

 

「さぁいくわよおにいちゃん! 聖杯戦争開始よ!

 ――――狂いなさい(・・・・・)! バーサーカーッ!!」

 

 

 その声と共に、イリヤが手元のスイッチを「えーい!」と押し込む。

 それもひとつじゃなく、12個いっぺんに押し込む!

 

 その途端――――獣があげるような「■■■■ーーーッッ!!」という凄まじい雄たけびが、この場に響き渡った!

 

「え、うそっ!? うそでしょバーサーカー?! バーサーカーッ!!」

 

 そして……当然の事ではあるが、その途端バーサーカーは〈ピーン!〉とエビ反りになり、白目を剥いて後ろにひっくり返る。

 そして、そのまま気絶したようだった。

 

「うそよ! バーサーカーは世界でいちばん強いのよ!

 たってよバーサーカー! たってよぉ!!

 ……あ、この“たって”っていうのは、普通に起立して下さいって意味だからね?

 変なこと想像しちゃダメだよ? おにいちゃんのえっち」

 

 イリヤの悲痛な叫びが響く中、士郎とセイバーはただ茫然とその姿を見守る。

 ――――戦いは終わった。士郎とセイバーは、見事に初戦を勝利で飾ったのだ。

 

 

「うわーん! たってよバーサーカー!

 えーい! えーい!(ポチポチポチ)」

 

 

 涙ながらにボタンを押す度に、イリヤの大事なサーヴァントは、ビクンビクンと痙攣する。

 イリヤが身体をペシペシするたび「■■■ッ!」みたいな声でドンタッチミー! ドンタッチミー! と叫ぶ。

 

 やがてバーサーカーは完全に沈黙し、口からブクブク泡を吹き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

第三話まで書きましたが、正直な話……これアウトですか?(直球)

  • アウトォォー!!
  • セェェーーフ!!
  • アウトだけどセイッ!
  • セーフだけどアウッ!
  • 運営削除は勲章。
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