ローターを入れたまま戦うFate/stay night 作:エロスはせがわ
「おはようセイバー。よく眠れたか?」
翌朝。目が覚めた士郎は顔を洗い、その足でセイバーを探して道場にやってきた。
ちなみに昨夜のバーサーカーとの闘いは、なんかうやむやのまま幕を閉じてしまったと思う。
でもイリヤとはしっかりメアドも交換したので、今後は連絡を取り合う事が出来る。お互いマスター同士だし、またすぐ会う機会もあるだろう。
「お、おおおはようございますシロウ。良い朝ですね……」
道場の真ん中あたりに座り、静かに目を閉じて精神統一をしていたセイバーが、挨拶を返す。
スカートを穿いているし、士郎は気づいていなかったのだが、セイバーのしているのは正座ではなく、ペタンという女の子座り。
しかも精神統一ではなく、頬を赤く染めて何かに耐えていた、というだけだった。
「なんとか……なんとか10分ほどは、眠る事が出来ました。
しかし、少し
そう小声で告げた後、セイバーは士郎の顔を見ている事が出来ず、恥ずかしそうにプイッと目を逸らす。
いったい彼女は、どんな夢を見たのだろう?
赤いリンゴみたいになってしまった顔は、こちらからは伺えなかった。
「そうか、じゃあ今日は無理せずいこう。
別に眠くなったら、寝てても良いんだからな?」
「いえ、ご心配なく……。本来サーヴァントに、睡眠は必要ありませんから。
……それよりも、シロウ……」
セイバーが士郎の方に、「ん!」っと両手を差し出す。
愛らしい上目遣いの瞳、恥ずかしそうな顔で。
「あはは。分かったよセイバー、ほら掴まりな?」
「ありがとうございます。
申し訳ありません……
その手を取り、よいしょっと立ち上がらせてやる。優しく気遣ってあげながら。
セイバーは士郎の腕にギュッとしがみつき、内股でブルブルと震えている。もう今にも腰が抜けてしまいそうな様子だ。
「良いんだよ、じゃあ居間に行って朝飯にしようか。
ほらセイバー、いっちに。いっちに」
「いっちに、いっちに。…………んっ……♡」
まるで子犬のように震え、コアラのようにギュッとしがみつくセイバー。
その様子に微笑ましさを感じ、士郎は優しく寄り添いながら、ゆっくり歩くのだった。
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お箸を持つ手がガクガクーッと震え、お茶碗から味噌汁がビチャビチャーッと飛び散る、そんな朝食後。
玄関からピンポーンと音が鳴り、いつもより少し遅れた時間で、桜がやって来た。
「せっ……せんぱい! 誰ですかその女の人は!?」
そして目撃する、想い人の腕にぎゅ~っと抱き着く女。
フルフルと震える小動物みたいな、強烈に庇護欲をそそる金髪の少女。
妹キャラである自身の遥か上をいく、「この子は俺が守ってやらなきゃ」感に溢れた、女性サーヴァント。
(そんな……?! せんぱいはおっぱいが好きだとばかり思ってたのに!
呼び出すのが巨乳のサヴァなら、なんとか私でも対抗できるって、そう思ってたのに!
まさか、こんなにも儚げでちっちゃい子を、呼び出すなんて……!)
まさに「ガーン!」といった顔で、目をひん剥いて士郎たちを見る。
桜はあわわと慌てながらも、ビシッと指を突き付けて、断固抗議の構えだ。
「いけないんですよ! せんぱい!
いくら一人暮らしだからって、家に女の子を連れ込んじゃ、いけないですっ!
さぁ、いますぐ帰ってもらってくださいっ! 犯罪になっちゃうんだからっ!」
「いや桜……これにはちょっと事情があってさ?
この子は爺さんの知り合いで、わざわざ外国から来てくれた子なんだよ。
大切なお客さんだし、そんな事できないだろ? 分かってくれ桜」
「そっ! ……うっ!」
そんなの嘘だって知っている。士郎の手の甲には、今も令呪が赤く光ってるんだから。
でもそんな優しい顔で諭されると、言葉に詰まってしまう。
だいすきな人にニコッて笑いかけられたら、何も言えなくなってしまうのだ。
あぁせんぱい今日もカッコいい。やさしい。ステキングです♪
(っ! そうだわ!!)
――――その時、桜の脳裏に電流が走る。
「あーっ! なんかその人、
もしかしてせんぱい、何かしてるんじゃないんですかっ!?」
「!?」
「!?!?」
「いーけないんだー♪ いけないんだー♪ 国家権力に言ってやろー♪
せんぱいのえっち!」
――――いける! これならいけるッ!!
あの道具を付けている事を逆手に取り、ここから追い出す事が出来るッ!
桜はこの土壇場での天才的なひらめきに感謝する。よくやった私と。
「さぁ! やましい事がないならスカート脱いでください! みせる事ができるハズです!
そうじゃなきゃ、ここから出て行ってくださいっ!
このどろぼうネコ! 痴女っ!」
「や! やめなさい! スカートを引っ張ってはっ……!?」
「おい!? こら桜!」
えーいとばかりに引っ張り、無理やり脱がそうとする。
ついでに「痴女め!」という言葉で、恋敵の好感度も下げてみる。
うん。今日ホント冴えてます、私。
「あー……。ごめんな衛宮、来るのが遅れたよ。
ほら桜! 迷惑かけんな! 離れろって!」
「し、慎二っ!?」
慎二に引き剥がされ、「むきゃー!」と叫びをあげて桜が離れていく。セイバーは危機一髪のところで助かったのだ。
「こういう事になるかもって、いちおう来てみたら案の定だよ……。
悪かったね衛宮。別にこいつも悪いヤツじゃないんだけどさ? まぁ勘弁しやってよ」
「あぁ、分かってるよ慎二。来てくれて助かった」
親友同士のキラキラした光景を、桜は「ぐむむ……!」と睨みつけるばかり。
何その仲の良さ、分かりあってる感じ。
私せんぱいにそんな顔された事ないです。くちおしや~みたいな表情だ。
「ほら帰るぞ桜! 帰りにパン屋で好きなの買ってやるから! ほらっ!」
「やーです兄さん! やーです!
いくらあんぱんやハムサンドを積まれても、これはまかり通りませぇーん!」
最近の桜は、だんだんワガママというか、幼くなっているような気がする。
頼りがいのある兄を信頼してか、まるで子供みたいにワーワー騒ぐのだ。
可愛いから良いけども。
「勝負ですせんぱい! こうなったら聖杯戦争で決着をつけますっ!
――――ってことでライダー!!」
その声に応え、この場に90年代のボディコンスーツのような黒い服に身を包んだ女性が、スカートの前を押えて内股の状態で現れる。
文字にすれば「~~ッッ!!」みたいな表情をしたライダーは、戦う前からもう、崩れ落ちそうに見える。
「ちょ! なに考えてんだよ桜!
こんな朝っぱらから『アーン!』とか『おほーぅ!』とかやるつもりか!?」
「しゃらっぷです! 兄さんはちょっと黙っててください!
戦いに口は出さないーって、約束したじゃないですか!」
「そ……そうは言ってもさ? 拙いだろコレ?
衛宮が困っちまうだろ……」
朝っぱら、それもこんな住宅地で聖杯戦争をやれば、その声はご近所中に響き渡る事だろう。士郎がお隣さんからよからぬ目でみられる事は必至。
下手すれば通報されるかもしれない。
「さぁ行きましょうせんぱい! 聖杯戦争のお時間です!
私が勝ったら、その人には帰ってもらってください!
あと私を『えらいね』っていい子いい子してください! ハムサンドも買ってください!」
そう言い捨て、「ふんす!」とズンズン庭へ歩いて行く。
そんな桜の背中を、内股でチョコチョコと歩くライダーが追いかけて行った。
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「良いんだなセイバー? ……それじゃあ押すぞ。ポチッと」
「ひぃぃぃ~~ん!!!!」
いまこの場には、二体の女性サーヴァントが揃い踏みしている。
どちらもスカートの前をおさえ、モジモジと膝をこすり合わせているけれど、その魔力は圧倒的だ。
そしてセイバーは士郎に頼み、例の機械のスイッチを押させる。
戦う時は必ず押さなければならないルールなので、恥ずかしいけど
うるうると潤んだ目で「やさしくして下さい……」と付け加えて。
それによりセイバーの身体を、さっきとは比べ物にならない程の刺激が襲う。
身体はビーンとそり返り、瞳孔は開き、言葉にならない声を上げる。
思わず士郎の胸にギュッとしがみ付くが、このあと戦いに行かなくちゃいけないのだ。どうしても一人で歩かないといけない。
「よーし♪ それじゃあやるよライダー♪ ええーい!」
『――――アヘアァァァァァァァァァーーッ☆☆☆』
桜もボタンを押し込み、ライダーがとんでもない声を出す。
セイバーとは違い、舌を出して喜んでいるようにも見える。犬か何かのように。
「がんばれセイバー。負けるんじゃないぞ!」
「しょ! 承知しました
我が剣は、貴方と共にあるぅー↑」
「さぁいこうライダー♪ 特訓の成果をみせよう♪」
「おほぉおおおああっ!! こんなオモチャなんかにぃぃぃいいーーっっ!!
……こ、これしゅごッ! コレっすごぅいひ~んっ☆
こんなの初めてですぅぅぅぅうううううっっ!!!!」
内股ぎみで立つ女性二人が、衛宮家の庭で向かう合う。
マスター二人が手に汗を握って見守る中、セイバーvsライダーの戦いの幕が上がる。
「いざ征かん! ――――シロウ!」
「わかったよセイバー! うおおポチポチポチ!」
「んいぃぃ~~っ♡」
士郎が手元のボタンを連打する。その度にセイバーの身体に力が漲り、あとちょっと身体がクネったりもする。
「しゃ……しゃくらっ!! しゃくらぁぁぁあああ~~☆」
「なになにライダー? ……あ、押せって事かな? えーい♪」
『 ――――へヒひぃいいいいイイインッ?!?!? 』
ライダーにも魔力が注ぎ込まれ、その身体がビクンと波打つ。あと眼帯の奥では白目も剥いている。
「まま……! まだまだぁ! シローウ!」
「よしきたセイバー! そりゃあー!」
「にゃあああん!(はぁと)」
膝をガクガクーッとさせて、セイバーが艶声を上げる。
そしてすごく潤んだ目で士郎を見つめる。色っぽい表情で。
「……いい、いいぃぃ、ひぐぐぐっ……!!
アガッ……アググッ、アァ……あぅあぅ……!」
「どうしたのライダー?
あ、もう一回かな? そーれ♪」
『 ――――ンいぎィィィイイイイン!!!???
あおおおお……ッ! イ゛ッコ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ーーーッ!!!! 』
ブリッジの態勢で、ライダーが〈ピョーン!〉と飛び上がった。
「どうしたのれすライダー!
あにゃたの
「だっ、黙りなしゃいセイバー! まりゃまりゃイケまひゅ私は!
さあ早くかかってうぅ~~ん♡
んあーっ! これしゅっごいのぉーーう!!(≧Д≦)」
関係ないが、さっきからボタンを押してばかりで、ぜんぜん戦ってないような気がする。
此度の第五次聖杯戦争は、これまでとは少し趣が違うようだ。
「いけないっ! このままでは負けてしまう!
――――サクラ! 宝具の使用許可を!」
「いいよライダー! どんどんいっちゃってー♪」
何をもってそう思ったのかは不明だが、己の劣勢を悟ったライダーが「ぴゅいー♪」と指笛を吹き、空からペガサスを呼び寄せる。
首から血を出したりしなくても、意外と呼べるようだ。
「こうなったら、空から攻撃でふ!
ペガサスに乗って、一方的に倒しまふ!」
語尾は少し怪しいが、いまライダーがペガサスに手綱をかけ、勢いよくその背中に乗り込んだ!
『 ――――――ッッッッ!!!!???? 』
するとどうだ! 何故かライダーが身体を仰け反らせ、とつぜん天を仰いだではないか!
ペガサスにまたがったその途端、彼女は瞳孔を開き「あーーっ!!」と絶叫する!
「ちょ……! 待ちなさい我が子よ!
あっ! ダメ! 歩いてはなりませんっ! れちゃうかりゃあ!」
ライダーを乗せてパカパカとあるくペガサスさん。だがその背に乗ったライダーは、慌てて手をワチャワチャと動かしている。
そして何とかペガサスの背から腰を浮かせようと、必死にもがいているのが見て取れた。
「――――喰い込む! 喰い込むのですッ!
何とは言えませんが……ペガサスの背で、すごく喰い込むんですッ!!」
ペガサスが機嫌よくパカパカと歩く度、悶絶するライダー。
乗馬の振動が伝わる度に、なんか「あうっ?!」とか「いやんっ!?」とか叫んでいる。
『 そんなッ……?! 我が子に!? 我が子にしゃれりゅだなんてッッ!!!!
でもコレおほぉぉーーッ♪ ば、ばんじゃ~い☆ 聖杯戦争ばんじゃ~い☆
――――ふおおおお!! ベベベ……べるれふぉぉぉ~~ん♡♡♡(意味深) 』
クラッと傾き、ペガサスの背中からドテーンと落馬するライダー。
――――戦いは終わった。士郎とセイバーは、第二戦でも見事勝利を勝ち取ったのだ。
ライダーが勝手に乗り、勝手に倒れたような気もするが、勝ちは勝ちなのだ。
「よぉ桜、あれお前のサーヴァントなんだって?
「……」
ニカッとさわやかに笑う慎二が、ポンと桜の肩に触れる。
彼女の方はもう、無言で佇むばかり。
「やりましたねシロウ! 我らの勝利でしゅ!
私たちは試練を乗り越え、敵に打ち勝ったのにゃ!」
「お、おう」
もう呂律が回らなくなっているセイバーを抱き留め、優しく身体を支えてやる。
まぁその後すぐに「あん♡ ……ご、ごめんなさい! ドンタッチミー!」とか言って、セイバーは離れたけれど。
とにかく聖杯戦争の第二戦は幕を下ろし、士郎に付き添われたセイバーが、家へと歩いてイッた行った。
ふう。あやうくアウトになる所でした。