読む前に気になったら探してみてください
「……寒い」
私はあの血を飲んでどうなってしまったのだろう?
毛皮は剥がれどっかにいってるし太かった腕や足は細くなり人に近い姿になっている。
髪は白銀、目は炎のような赤。
十人中十人が美女と答えるだろう。
「しかも、身体中痛いし」
ある程度、回復したので起き上がろうとすると──
「……は?」
床が沈んだ。
「……強くなりすぎた?」
正しくその通りである。
進化を果たしたのは良いがステータスが高過ぎて加減が出来ていないのだ。
「そーと、そーと」
気をつけて起き上がり扉をゆっくり(ほぼ一瞬で開けたが)開けた。
「……うん、とりあえず毛布とか無いかな?」
ゆっくり壊さないように歩く。
しばらく歩くとベットがあった。
「……寝ようかな」
正直、回復したといっても動ける程度なので下手すれば気絶しそうなのだ。
「……何か臭いけど良いか」
……このベットはハジメとユエがハッスル──察してくれるとありがたい。
「お休みなさい」
ぐっすりと夢に落ちていった。
◆◇◆◇
「置いていかれたわ……悲しいわね」
黒いもやが作り出した外套──熊の毛皮の外套から声が出た。
小熊──最早、小熊ではないが──は近くに自身の毛皮があるのに気がつかなかったのだ。
「まあ、良いでしょう。疲れているだろうし」
外套の陰が動き、独りでに動く。
そして、ベットに眠っている小熊を見ると
「あらあら、可愛い寝顔ね」
愉快そうに言うと陰から複数の黒い手が伸び小熊を浮かせシーツを交換する。
「……処理はしていきなさいよ……」
文句を良いながらシーツを洗って干した。
◇◆◇◆
「ファァ」
小熊は大きなあくびをすると周りを見渡す。
すると、熊の毛皮の外套を見つけ──触った瞬間に理解した。
「……これ、身体の一部?」
そう、暴れる
「……怖いけど、恐くない?」
溢れ出る狂気の波動に恐怖を覚えるが──私のことを思っている狂気を感じるのだ。
「……とりあえず、探索しよう」
外套を羽織りゆっくり歩いた(加減出来ないので)
◆◇◆◇
「……フゥ……初めて入ったけど気持ちいい」
風呂に入っていた。
え? 服とか探せ?
だって、風呂だよ?
お母さんが読んでいた本にあった幼児のお風呂って言う本にあったやつだよ?
……規模が違うけど。
「ハァァァァ」
脱力しながら自身の魔力を循環させ肉体制御を練習する。
脱力しないと、ここら一帯砂になるからね。
試しに、近くにあった装飾用? の石を掴むと
バキッ!!
「……さっきよりはマシ……かな?」
先程やったらは欠片すら残らない程の威力だったのでさっきよりは良いだろう。
そのあと、身体がふやけるまで風呂に入っていた。
◇◆◇◆
「……服だけど、違う気がする」
一応、探し求めていた服を見つけたが……ナース服やらメイド服等があったのだ。
……もちろん、ユエさん自作の服である。
「あっ……まあ、戦闘しないし良いかな?」
奥にあった服を引っ張る。
それは大人サイズ白のワンピース。
……ユエが本を見て作ったが体型に会わなくて軽く絶望した一品である。
そのワンピースを着て探索を再開した。
◆◇◆◇
「……やっと、分かった」
私には【言語理解】の技能が無いので一から覚えなければならない。
日本語なら多少は喋れるが。
さて、調べたことをまとめよう。
一つ目 私の種族
元々、ブラッド・ベアーと言うアンデットに近いモンスターだったらしい。
アンデット・ベアーの中に極たまに産まれることのある個体であり血肉を食えば食うほど強くなり続ける特性があるそうだ。
ほっとくと災害を撒き散らすモンスターになるので発見次第、軍隊が動かされる程。
恐らく、死んだ小熊に魂──私が入り込みこの迷宮にとってもイレギュラーだったのだろう。
しかし、次の階層に行けなかった理由は分からない。
(神代魔法:生変魔法の管理下に居たからであり自身も生変魔法を獲得したためその管理下から抜け出した)
そして、今は違う種族になっている。
この話は次の話と組み合わせよう。
二つ目 謎の血の正体
進化のきっかけになったあの
狂気の吸血鬼の血
と言われる呪物である。
見るだけで狂気に染まり飲めたとしても大半は狂気に染まり死ぬ。
しかし、適合出来ると生物の枠を越えた力が手に入るらしい。
……今のところ、狂気に染まったりはしてないと思うけど。
逸話では、昔あらゆる種族を魅了する吸血鬼が居たらしい。
その吸血鬼はその皆からの愛と言うものが理解出来ずにいました。
時に、俺の物になれと言ってきた人間の王からの求婚を断ると武力行使を行ってきたりしました。
(返り討ちにしましたが)
ある時、運命の出会いをします。
自分に興味を持たない人間の木こりと出会ったのです。
その時代には珍しい獣人と共生すべきと言う考え方をする人間でした。
自分に魅了されない木こりに苛立ち、アプローチを続けるといつしか木こりのことが好きになっていました。
そして、吸血鬼から告白し結婚しました。
しかし、人間の王は怒り木こりと産まれたばかりの子供を連れ去っていきます。
吸血鬼は人間の王から言われた通り捕まり、子供と木こりを解放しろと言いましたがそこに転がり込んできたのは──愛する木こりと子供の生首であった。
吸血鬼は怒り狂い、魔法を行使しようとしますが使えません。
その部屋には魔法無効化の術がかけられていました。
そのあと、吸血鬼は戯れに拷問され犯され百年程経ちました。
その頃の吸血鬼は狂気に染まり禁術を使います。
それは自身を呪いに昇華する術。
傷つけた回数分のこの国で産まれたもの、王族には直接
子供が即死する呪いを産み出した。
その呪いは止まるところを知らず未だに拷問によって流れた血に呪いが詰まっていると言われている代物。
実際、呪いによって大勢の者が死んだ。
と言う物だ。
つまり、私は呪いに認められた? 適合出来たのか? 吸血鬼に近い種族に進化した。
まあ、わたし以外は居ないだろうからユニーク個体と言えると思うが。
でも、適合? 認められた? よりも愛されていると感じる。
話を戻そう。
私の種族はブラッド・ベアーから
ルナティック・ベアー
に進化した。
ルナティック……月や狂気を表す単語だ。
正しく、ふさわしい進化だろう。
吸血鬼の能力なのか? 【血力変換】と言う力を使える。
血を色々な力に変換出来るのだ。
試しにヒュドラの壁にこびりついた血を舐めると急激に回復した。
そして、最もヤバいのは【月食】と言う技能だ。
月食と言えば月が欠けたように見える現象だが正しく、
莫大な強化が行えるが侵食割合によって強い狂気を受ける【狂気侵食】と言う技能だ。
試しに三日月──数パーセント使うとかなりの狂気を食らった。
もう少し高かったら気絶して暴れてきたかも知れない。
しかし、効果は絶大軽く殴っただけで迷宮の壁を破壊した。
さて、私は困っていることがある。
「……どうやって出よう」
脱出するための指輪はハジメに持っていかれ手段が無い。
「……やるか」
迷宮の壁に立ち【狂気侵食】を使う。
そして──破壊して突き進む。
~数時間後~
「ぷはー」
数時間振りの新鮮な空気を大きく吸い込む。
……埋め立てながら進んだから迷宮の新たな入り口になってないよね?
まあ、良いや。
「……太陽だ」
私の初めて見る太陽。
あまりに眩しくて見つめることは出来なかったが覚えておこう。
「よし、どうしようかなぁ」
私は近くにあるはずの町へ歩き始めた。
迷宮編、書ききったーー!!
主人公(ハジメ妹)の名前を募集しています。
次回は出そうかな?