加古鷹おんらいん!   作:プレリュード

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 投稿が大変遅れたことをお詫びするとともに、すべては艦これのイベントのせいですと言い訳を並べておきます。ナ級のあんちくしょうがボコスカ雷撃撃ってくるし、やけに高い対空値にこっちの基地空がまともに機能してくれないなど、さまざまな艱難辛苦があり、小説にリソースを割けなかったのがすべての理由です。

 つまり私は悪くない。イベントが悪いのです。


閑話休題2

「あー、びっくりしたー……古鷹さんって酔うとああなるんだ」

 

 まさかヒトミちゃんから引き離した瞬間に、私の拘束から蛇みたいにするりと抜け出して逆に押し倒されるとは。私も私で空母だってことにかまけて、基本的な回避運動とか以外は体術関連の練習なんてやらないから鈍いっちゃ鈍い。でもそれにしたって多少の抵抗くらいはできるものだけれど、よもやあんな早業だとは思わなかった。

 

「どう、蒼龍?」

 

「え? ああ、柔らかかったよ」

 

「……大丈夫かって聞いたつもりだったんだけど、その様子なら大丈夫そうだね」

 

 これはあれだ。ギャルゲーで言うところの選択肢ミスってやつだ。飛龍が呆れ返っちゃったよ。でもよくよく考えればいつも呆れられてばかりのような気もするし、問題ないか。

 

「そうだ。ヒトミちゃんの方が激しかったけど、大丈夫?」

 

「問題ない。……まさかあそこまでされるとは思わなかったが」

 

 いつものハードボイルドワンダーランドに戻った、というか戻れたヒトミちゃん。けど若干頬の筋肉が引き攣っているのは気の所為じゃないと思う。まあ、抱きつかれた上であれだけ撫で回されたらこんな表情になるのも頷ける。酔いどれ古鷹さん、恐るべし。いつもと違った面が見られて面白かったけど。

 

「しっかしコンビ組んでるだけあって、加古さんの対応は手慣れてたねー。私なんかどうしたもんかと手をこまねいていたよ」

 

「最終的に私らがいいように使われただけのような気もするけどね……」

 

「飛龍、それは言わないお約束よ」

 

 使われたことくらいはわかってるけど、それくらいはまあ、ね? 労力をとんでもなく要求されることでもないし。

 

 それより、古鷹さんと加古さんが抜けてしまった今、別の問題が持ち上がってくる。今日は出撃するつもりで私はログインしたのだけれど、深海棲艦を一体も倒していない。なんだか全体的に不完全燃焼な感じがつきまとっていた。

 

「ねえ、みんな。この後はヒマ? よければどっかテキトーな海域に殴り込みかけない?」

 

「そ、蒼龍がやる気、だとッ……! 明日は何が降るんだ」

 

「いくらなんでも失礼すぎない? ちなみになにか降るのなら、個人的にはぼた餅が降ってほしい」

 

「食べたいの?」

 

「うん」

 

 わー、なんて身のない会話。でも暇を持て余しすぎると反射で会話しちゃうよね。しない? 私はする。たぶん飛龍も。

 

「ま、いいや。どする?」

 

「構わん」

 

「私も参加するよ。でも欠員はどうするつもりだい? あと2人足りてないけれど」

 

 ヒトミちゃんとヴェル確保っと。当然っちゃ当然の疑問をヴェルが提示してくるけれど、それくらいは予想してるし、解決法もちゃんとある。

 

「んー、まあ適当に海域攻略したがってるコンビを見つけて、そこに便乗すればいいんじゃない? 私と飛龍がクラン以外で出撃する時はたいていそうしてるよ。欠員の補充を募集してるとこに乗り込めーって」

 

「このメンツで乗り込んだら募集してた相手はさぞ驚くだろうね」

 

「え、なんで?」

 

「蒼龍、いい? 私ら、『比翼の二航戦』。ヒトミちゃん、『ヒトミサーティーン』。アンダスタン?」

 

「あー、はいはい。そーゆーことね。ならどんなリアクションを見せてくれるか楽しみでいいじゃない」

 

 ほいさ乗り込めー、と声をかければめいめいが腰を上げる。参加するのなら、水雷屋さんか戦艦ペアか。航空戦力はよほどの海域にいかないかぎり、私と飛龍で充分だからそこらへんが狙い目のはず。

 

「そういや、加古さんは古鷹さんとふたりっきりだけど、大丈夫なのかねえ? あの酔った古鷹さん抑えられそうなのは加古さんくらいしかいないけどさ」

 

「なんだ、蒼龍は気づいていないのかい?」

 

「気づいていないって何が?」

 

「あんなに密接なコンビの2人が、究極のプライベートスペースであるマイルームに引っ込んだんだよ。やる事なんてひとつじゃないか。というかヤることしかないじゃないか」

 

 そう言ってヴェルが片手の親指と人差し指の指先をくっつけて輪を作ると、もう片手の人差し指を中に入れて往復運動をさせる。その意味がわからないほど私はピュアっ子じゃない。

 

 え、まじで? あの2人ってそういうアレなの? 仲がいいのは傍目から見ててもわかってたけど、そういうとこまでいっちゃうアレ的なアレなの? おしべとめしべならぬ、めしべとめしべをアレしてアレする的な? リリィがゆらゆらして大事件的な?

 

「ああ、間違えたね。輪っかと棒じゃなかった。女性アバター同士だからそこは〇〇〇〇(ピー)だった」

 

「ヴェル、ストップストップ。放送禁止用語入ってるから。ピー音入ってるから。あとクランメンバーでそういう淫らな妄想したくない」

 

「でも二航戦の2人もそういうことしているんじゃないのかい? コンビの息は合ってるし」

 

「「マジでそういうのないんでやめてもらっていいですか?」」

 

「……口調、ブレてるぞ」

 

 ヒトミちゃん、ツッコミ遠いよ。もうちょい強めで。演じている「蒼龍」じゃなくてリアルの私が出てきたのは事実だけども。

 

 念のため、ほんっとうに念のため言っておくけれど私と飛龍の間には何も無い。頼れる相棒ではあるけれど、そういうことに及んだことは断じてない。

 確かにカップリングでコンビを組んでいるところはいわゆる「そういう関係」のコンビもある。けれど、すべてがそうであると思われるのは心外だ。少なくとも私たちは違う。

 

「ヴェル公よ、今日ばかりは背中に気をつけたまえ。私の江草が火を吹くぜ」

 

「その江草、絶賛火だるま墜落中じゃないか」

 

 そういう意味じゃない、とゆるくツッコミを入れる。そんな他愛のない話をしながら私たちは酒場へと向かう。

 

 ……まさか、ね。まさか加古さんと古鷹さんが、ね?

 

 いや、でもあの2人って仲いいし、スキンシップとか多めだし。なんだかただのコンビっぽい関係じゃなさそうなんだよなぁ。

 

 ま、いいや。忘れよ。知らぬが花ってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そいやっと古鷹を布団に転がらせる。あたしのマイルームは殺風景だから急遽、任務で貰える煎餅布団を取り出して展開させなきゃならなかった。幸いにも酔っている古鷹はさして抵抗することはなかった。ころんと呆気なく布団に転がる。

 

「本当ならリアルで水分取れって言いたいとこだけど……。ん、古鷹。これでも飲んどけ」

 

「わー、加古ありがとー」

 

 まだふわふわしている古鷹に不思議な香りのするお茶を渡す。いちおう食品系も個人でmod作成できなくもない。けれど、現状の技術で再現できる味覚エンジンが完全ではないことと、味覚エンジンへと働きかけるように作成する過程の細さから、個人で作る人は少ない。だからあたしが古鷹に渡したのも企業が作成したものだ。それでもやっぱり現実のお茶と比べると違和感があるけれど、慣れるとこれも味がある。

 

 布団の上で酔った人間に飲み物なんて渡そうものならこぼされそうだが、どうせVR。こぼされたところで布団を干す手間はかからない。

 

「古鷹、ちょっとあたしはクラン見てくるからここで大人しくしててくれ。いいか?」

 

「うん、わかったー。いってらっしゃい」

 

 このままにしておくことに若干の不安がないわけじゃない。でも古鷹が酔って暴れることはないから、まあ大丈夫だろう。それにさっきから大人しいし、だいぶ覚めてきてるのかもしれない。

 

 移動先をクランルームに指定すれば、さくっとワープ。あたしの体はついさっきまでいたクランルームへととんぼ返りする。

 

「ありゃ? 誰もいないな。みんな落ちたか?」

 

 それにしては随分と早い。不思議に思ってフレンドリストを開けば、メンバーは全員がオンライン。どうやらどっかに行ったようだ。出撃してるのか、はたまた他の知り合いと会っているのか。そこのところはよくわからないけれど、別にうちのクランは普段の活動がかなりゆるゆるだ。ノルマ規定とかも特に設けていないから、そこら辺は自由にしてもらっていい。

 

「ちょっとフォロー入れとこうかと思ったんだが……ま、いいや。いないならしかたない」

 

 我らがクラン『イーリス・アイリス』はクランメンバーが6人しかいない小規模クランだ。よってクランルームもほとんど拡張していないため、見渡せば誰もいないことはすぐにわかった。

 

 誰もいないとわかったのなら、もう用事はない。さっさと古鷹の元へ帰るに限る。再び移動先をマイルームに設定して、ワープした。

 

 ちなみにあたしのマイルームも広くない。基本的には古鷹のマイルームに移動することが多かったし、そもそもマイルームに拡張機能はない。

 

「古鷹ぁー。戻ったぞー」

 

「おかえりー」

 

 古鷹はあたしの言う通りに大人しくしてたらしい。相変わらずほわんほわんしたままだけれど、ベッドの上にちょこんと座って待っていた。別に大人しくって付け加えとく必要はなかったんだけれどね。暴れられたところでVRだから片付けとかないし。

 

「ただいまーっと。古鷹、気持ち悪いとかはないな?」

 

「ないよ?」

 

「ま、そんならいいや」

 

 気持ち悪さを古鷹が訴えるようならすぐにログアウトさせなきゃいけない。でもこの様子ならフルダイブ中に吐いてしまって窒息、なんてことはなさそうだ。

 

「ねえ、加古も一緒に寝よ? お布団に転がるの気持ちいいよ?」

 

「いっつも寝てるから知ってるよ」

 

「一緒に寝ない……?」

 

「あー……わかったわかった」

 

 こういう時の上目遣いは卑怯じゃないか? これをやられて断ることができる鋼の意思はあたしにない。

 

 つーか、古鷹さんや。布団で転がってるせいで制服が乱れてまくってますけど、それはあれですかい? イエスってことでいいのか?

 

「今日はやけに甘えるなぁ」

 

「だって加古と2人きりになったの久しぶりだったし……」

 

 そう言われりゃそうだった。クランを作って以来というものの、いろんな出来事の目白押し。こっちで最後に2人になったのはいつだったか。

 

「いいんだな?」

 

「うん。いいよ」

 

 ぽんぽん、と古鷹が叩いている布団の場所へ体を滑り込ませる。なんとなく、古鷹の酔いはもう覚めてるような気がした。でもそれを言うのは無粋だとも思った。

 

 ま、たまにはこういうのも悪くない。

 




 初めての放送禁止用語でございます。まあ、ゲームでもそういう語彙とかチャットで出そうとするとそこだけ伏字にされたりそもそもチャットができなかったりしますし、そういう自動検出的な何かが作動しているのでしょう。たぶん。
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