バフデバフ   作:ボリビア

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今回セリフ多め。


歓迎会

「というわけで、入学おめでとー!イエーイ!」

 

「いえーい!」

 

「しゃけしゃけ!」

 

「おめっとさん。」

 

 『入学おめでとう』の横断幕、クラッカーを鳴らす五条先生とパンダ先輩と狗巻先輩。

 真希先輩は柄ではないと思ったのか、軽い挨拶だけで済ましてくる。

 そして、床というかシートの上には沢山の料理。

 誰もが思う歓迎会が今、呪術高専にて行われようとしていた。

 

「何で、俺の部屋でやる必要あるんですか…」

 

 伏黒恵の部屋で。

 

「知るか、悟に聞け。」

 

「恵の部屋の方が階段から近かったからね!」

 

 割りとクソみたいな理由で会場決めしてたよ。

 ていうか、俺の部屋の可能性あったのかよ。

 てか、5人と一頭で部屋が狭い。

 

「はぁー…もういいです。

 轟、飲み物くれ。」

 

「はいよ、コーラで良い?」

 

 部屋の主である伏黒とは今日が初対面でそこそこ仲良くなれた。

 簡単な自己紹介したら『ああ、毎朝五条先生にインターホン鳴らされてたのお前か。』と言われて五条先生に振り回される仲という事で仲良くなった。

 共通の敵が結束を強めるのだ。

 ちなみに伏黒は春休みの間、二年生の任務に随行してたらしい。

 

「本当はもう一人入学する予定なんだけど訳あって6月頃来ることになってね。

 またやるから宜しくね!

 さ、食べて食べて!」

 

 では一口。

 

「美味っ!?」

 

 唐揚げを食べてみたが旨い、揚げたてじゃないのにジューシーでとても旨い。

 となりの伏黒もモクモクと食べている。

 

「これ何処の店の奴ですか?」

 

「違うよ、僕が作ったの。

 因みに何個かハバネロ揚げだから。」

 

「ブハッ!」

 

 料理上手という意外すぎるカミングアウトに驚いていると伏黒がむせた。

 急いで水を飲んでるからハバネロを食べたのだろう。

 ふむ…。

 

 (視覚及び嗅覚と大脳を対象に術式発動、対象の分類を開始、結果八個の刺激物を検知、術式終了。)

 

 紙皿にハバネロ揚げを全部乗せて五条先生に渡す。

 

「五条先生も食べましょうよ、取り分けたんでどうぞ。」

 

「気遣いは嬉しいけど、ガッツリ術式使って分析してたよね、そういうズル先生どうかと思うなー。」

 

「おまいう。」

 

「おまいう。」

 

「おまいう。」

 

(あんたがいうな…!)

 

「しゃけ。」

 

 伏黒はハバネロでダウンしてるが全員の思いは一つになった。

 共通の敵が結束を強めるのだ。

 ハバネロを処理し、歓迎会という名の食事会は進み俺と伏黒の話になっていく。

 

「今年の一年は式神使いと…轟は何だ?

 バッファー?」

 

「いや、こいつはゴリゴリの近接だろ。

 あの動きで後方支援とかありえねーよ。」

 

「でも、ここに強化されるのを楽しみにしてる子もいるんですよ!」

 

「しゃけ!」

 

「ならどっちもやらせれば良いだろ。」

 

「真希の言う通り、轟は超万能型になるよ。

 恵も火力も補助も行けるようにするし。」

 

 俺抜きで俺の戦い方を議論されてる件。

 後、俺の教育方針、今知ったんだけど。

 ツッコミ入れるか迷っていると伏黒に話しかけられた。

 

「お前って強化する術式だっけ?」

 

「ああ、伏黒は今日初対面だし互いに知らないか。

 俺の術式は加点法って言って、対象を強化する術式。

 伏黒は式神とかさっき先輩達言ってたけど。」

 

「影を媒介に、式神を出す十種影法術だ。

 なあ、お前の術なら俺の式神強化出来るか?」

 

「うーん、試さなきゃ分からんが筋肉とか骨までしっかり作られているなら可能だと思う。」

 

「なら今度頼む。」

 

「おう。」

 

 式神か、北海道の人狼の操った式神見たいに数に頼る感じか?

 でも字面的に十種類しか出せないって感じだからペルソナかな。

 やんややんやと盛り上がっていると突然五条先生が荷物を持って立ち上がる。

 

「ハーイ!

 盛り上がってる所注目!

 今から入学祝いのプレゼントでーす!」

 

 おっ、ちょっと嬉しいけど、五条先生が渡すのだから碌な物じゃないかもしれない。

 

「じゃ、ひとつ目はこれ、僕と御揃いのサングラス!」

 

 手渡されたのは、オフの時の五条先生が掛ける丸型サングラスだった。

 眼鏡は視線で呪霊に気付かれないようにするために装着している呪術師は多いらしいが、俺の場合ヤバイ呪霊以外瞬殺だし、何よりダサい。

 

「良いじゃん、お前ら付けてみろよ。」

 

 着けたくないが真希先輩の頼みなので仕方なく、伏黒もプレゼントだからかしぶしぶ付けて二人で並ぶ。

 

「ギャハハハ!

 似合わねー!

 はーっ、轟お前に至っては、怪しい中国人じゃねえか!」

 

「しゃけ、しゃけ。」

 

 おい、撮るな。

 

「二人ともスゲー胡散臭せー。」

 

 総評は爆笑という結果に終わった。

 二人でソッコーでサングラスを外して投げ捨てる。

 二度と付けるか。

 

「やっぱり、僕くらいのイケメンじゃなきゃ似合わないねー。」

 

「「くたばれ、クソ教師。」」

 

 真希さんは余程ツボにはまったのか、暫くゲラゲラ笑い続けた。

 

「じゃ、次は真面目な方ね。

 轟にはこれ、新しい武器!

 恵にはこれ!」

 

 俺に渡されたのは一本の木刀で恵は年季の入った一冊の本。

 

「轟のは、二級呪具の『和重』。呪力込めてみて。」

 

 言われた通りに呪力を込めてみると、一気に重くなった。

 

「質量増加ですか?」

 

「そ、近接やるなら必要でしょ。

 所有権は一応高専だけど自分の物として扱って良いから。」

 

 確かにこれは有りがたい。

 神級で強化された身体能力に合う武器は中々ない為に今まで素手だったが、こいつなら、重い一撃を叩き込める。

 

「恵は禪院家にあった、十種影法術の資料を纏めた物。」

 

「あの本家が寄越したのか?」

 

 禪院家の名に真希先輩が反応する。

 俺は詳しく聞いてないが、真希先輩は本家と折り合いが物凄く悪いらしい。

 

「うん、向こうに同じ術式持ってる人いないし、向こうは僕に幾つか借りがあるから死ぬまで借りてきた。」

 

 伏黒は早速、本に集中している。

 

「五条先生、ありがとうございます!」

 

 サングラスの事は根に持つが純粋にこれは嬉しい。

 お礼を伝えていると、パンダ先輩がふと気付いた様に呟く。

 

「そう言えば、恵は二級って聞いていたけど轟は何級なん?」

 

 級というのは呪術師のクラスの事である。

 四級から一級、特級までとあり位が高いほど対応出来る呪霊が増える。

 呪霊にも同じような位があり、同じ位の呪霊に勝てるというのが基準になる。

 例えば、二級呪術師なら二級の呪霊を祓えて当たり前と言った感じだ。

 確かに俺の位って五条先生から聞いていない。

 

「あ、忘れてた。

 轟は明日から一級の審査受けて貰うから宜しく!」 

 

 …は?

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル呪具 和重

見た目は文字が刻まれた木刀。
付与されている術式は質量増加。

主人公の位について最初は特級にしようかと思ったが、別に規格外でもないし良いかなと。

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