やっと14巻買えた。
宿難の指と呼ばれる特級呪物がある。
大体千年位前、呪術師全盛期とよばれる平安時代に実在した顔が二つで腕が四本ある呪術師で当時の呪術師達が総力を決して討伐しようとしたが、勝てなかったらしい。
余りにも強大な力故に、死んだ後も二十本の指は呪物として残り続けており、誰も祓えず現代に至る。
一部は高専が所有しており、強力な呪物としての特性を利用して毒をもって毒を制す理論で人の集まる場所で呪い避けとして活用されている。
俺はこの話を聞いた時に高専はバカなんじゃないかと思った。
「そんな危険な爆弾を普通、田舎の学校に設置します?」
宿難以外にもそういったやベー爆弾みたいな呪物は各地で呪い避けとして活用しているらしい。
「封印されてるから大丈夫だよ。
呪詛師が下手に手を出しても、自爆するだけだし結界も貼ってある。
という訳で、恵と轟は手分けして呪い避けの点検に行って貰おうと思います。
はいこれリスト。」
六月に差し掛かる頃、朝早くから五条先生に呼び出された俺と伏黒は上記の話をされてからリストを渡された。
確認すると関東から上の学校がリストに並んでいる。
「これからの時期に、冬から春までの人間の陰気がどかっと沸いて忙しくなるからね。
結構大事なんだよ?
関東の方は二年生が任務ついでに担当してくれてるから二人は東北から北海道までを頼むね。」
呪術師は人手不足で忙しいが、特に初夏からがヤバいらしい。
冬は寒くて鬱になるし、冬から春にかけては気温の変化で自立神経が荒れるし、春は新環境でストレス感じて五月病といった感じで負の感情が凄い。
それが夏の解放感と共に一気に呪霊に化けて結果的に呪術師は忙しくなる。
その為の備えとして、呪霊避けの呪物の点検を怠れば一般人への被害もだが、単純にブラック労働が更にブラックになる。
そしてこういう地味な作業は下っ端がやるのは世の習いである。
「じゃ、何かあったら連絡してねー!
チャオ!」
風の様に立ち去っていった。
二人で溜め息を吐いて、リストを確認する。
「じゃあ、手分けするか。
東北と北海道か。
北海道は内部は交通の便が悪いから俺が走って回るとして、日本海側と太平洋側に割るか。」
「お前が北海道も回ってくれるなら、数が多い太平洋側は俺がやる。」
「オッケー、じゃあそれでいこう。」
さっさと回って北海道グルメと洒落混みますか。
と思っていたら五条先生が戻ってきた。
「ごめーん、忘れてた。
轟は追加で幾つかの任務ね。」
くそったれが。
そんなこんなで数日たって弾丸出張の轟悟です。
各地の呪物の点検は人が集まるところに置いてあるので地理的に移動が楽で問題なかったが、付属して与えられた任務の場所は所謂廃墟等の心霊スポットで移動がめんどくさい。
俺一人なら術式で地図上を真っ直ぐ進めば良いが、事務処理要員の補助員がいるためそれが出来ない。
一番効率の良い手段を取れないのはストレスが貯まる。
「ねぇー新田さん。
俺がもう音も無くばばっと全部終わらせるから、後からついてきてよ。」
「いや、それ私一人で各地の廃墟回る事になるから勘弁ッス。」
「お化けなんて全部祓ってるから大丈夫だって。」
「はいはい、そろそろ着きますよー。」
最初は補助員である新田さんを担いで高速移動しようと試してみたが、秒で新田さんが吐いたので止めた。
幸い、北海道は呪物の点検だけで済むので走って終らせる事が出来る。
苛立ちをぶつけながら、廃墟の呪霊を倒していく。
「よし、青森終了…!」
呪物の点検は北海道のみ…!
まだ、太平洋側に任務があるからゆっくり出来ないけど、寿司位は食ってやる!
prrrrr…
電話が鳴り確認すると『五条先生』の文字。
明らかに面倒事の臭いがする。
出たくない、けど出なくてはいけない…
「はい轟です。」
『ヤッホー、恵の方でトラブル発生したから仙台から上を代わりにやってほしいんだよね。』
「トラブルとは…?」
『呪物が持ち出されていたみたい。
ま、僕がカバーに向かうから心配いらないけどね。』
…断れないなコレは。
「わかりました。
伏黒の事頼みますね。」
『生徒なんだから当然だよ。』
恵の分も回るとなると、スケジュール的に北海道を即終らせる必要がある。
寿司はお預けか…。
東京で五条先生に奢って貰おうか、うん。
そうと決まればさっさと回ろ。
結界に関しては独自設定というか、多分あるよねって話。
じゃなきゃ百葉箱にポンと置いてある訳無いと思う。
というかどう考えても特級呪物を学校に置いておくのはちょっとどうかと思う。