バフデバフ   作:ボリビア

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領域展開とか

 次の日、五条先生が出張から帰ってきたらしいので、殴りかかったら避けられた。

 

「何で術式があるのに避けるんですか。」

 

「普通の攻撃なら受け止めてたよ。」

 

 どうやら、五条先生も反転術式の可能性に気付いていたらしい。

 

「因みに対策とか立ててたりします?」

 

「まあ、強いて言うなら近付かせない事かな、後は当てられないようにする事。

 そもそも、攻撃に転用出来るクラスの正の呪力作れる人間なんて滅多に居ないし。

 僕は出来るけど、術式の方が手っ取り早いし楽。」

 

 なるほど、距離取ってぶっぱなせば良い話だ。

 この人無限だからな。

 

「最初は釘崎みたいな術式への対策で考えてたんですけど、気付いたらこうなってて。

 後、正の呪力版の黒閃打てるようになった位ですかね。

 名付けて白閃。」

 

「うん、それは轟だけの最強の武器になると思うよ。

 というか、さっき打とうとしたのは後で夜我学長にチクっとくから。

 後は領域対策だけだね。」

 

 領域展開、呪術師の心の中とも言える生得領域に術式を付与して外部へ展開する呪術の奥義。

 要するに、固有結界。

 領域展開の効果は主に二つ。

 領域内での術者の術式は必中。

 領域内そのものが術式であり、既に術式が当たっている状態と見なされるからである。

 もう一つは環境によるステータスアップ。

 生得領域内部であるため、術者自身は常に理想的な状態になる。

 

「対策としては、必中は当たるだけなので呪力でガードすれば良いだけですよね。」

 

「それこそ、野薔薇みたいな術式だと防ぎようがないよね。

 おやおや~?

 勉強不足だねぇ轟くーん。」

 

 …チッ。

 

「…なら、正の呪力で覆います。」

 

 正の呪力で全身を覆えば、当たっても術式を無効化出来るはずだ。

 

「それだと、消費する呪力馬鹿になんないからあんまり現実的じゃないね。

 まあ、轟ならその間にけりを付ける事は簡単だろうけど。

 一般的には、此方も領域を展開する事が対処方法としては一番かな。」

 

 つまり、領域を押し潰すという事か。

 というか領域展開習得するとかハードル高くない?

 

「領域同士がぶつかった場合、まず必中状態は中和されるからね。

 そして、より洗練された方が勝つ。」

 

 領域を展開しあえば、領域によるメリットはほぼなくなる訳だ。

 

「洗練されたって曖昧過ぎません?」

 

「まあ、感覚的な話だからね。

 でも洗練としか言いようが無いよ。

 後は、簡易領域だけど此方は轟にはオススメしないかな。

 色々制約あって足が地面についてなきゃいけないとかあるしね。」

 

 それは確かに使い辛い。

 仮に使うとしたら、術式反転によるデバフを放射する感じになるけど、領域中の術師は常に理想状態だからデバフが意味ないかもしれない。

 となると、領域展開の習得が一番か。

 あるいは、展開前に相手をぶち抜くか。

 …後者の方が手っ取り早いが万が一を考えると、領域展開を習得するのが望ましいが。

 

「…要ります?

 領域展開。」

 

「僕に勝ちたいなら必要だね。

 洗練された強い領域が。」

 

 …そう言われると、やはり習得しなければならない。

 五条悟に勝つことを諦めて、そこら辺の奴をボコボコにするだけなら今のままで完成だ。

 それだと、絶対人生に飽きて死ぬ。

 なら、唯一のやりがいになるこの男に勝つことを諦める訳には行かない。

 

「あ、そうそう。

 はいこれ。」

 

 手渡されたのは、複数の冊子の様な物。

 

(人が改めて人生のやりがいを再認識している所に何を…。)

 

 任務か何かだろうと、一番上のを開くと笑顔の女性が写った写真が占領している。

 冊子も見開き一枚で、写真以外の内容がない。

 というかこれって。

 

「お見合い写真ですよね。

 結婚するんですか。」

 

 手渡されたのはお見合い写真の冊子が複数。

 五条先生がお見合いとか相手が可哀想というか破談になる未来しかないなというか、いやでも子供の世話好きならいけるのか?

 

「それ、全部轟宛。」

 

「は?」

 

 俺はまだ高校生だし厳密には15才だぞ?

 いくらイタズラでもこれはどうかと思う。

 

「僕ね一応、呪術業界限定での轟の後見人何だけど、最近良く届くんだよね。」

 

「何で?」

 

 いや、何でだ本当に。

 特に変な事した覚えないし、あったとしてもお見合い騒ぎになるような事になるはずが無いと思うが。

 

「え、本気で分からない?

 入学早々に東堂を倒して、準一級になった超期待のルーキーなのに?」

 

「いや、それと何の関係が?」

 

 どっちかというと、入学早々に停学になったヤバイ奴という認識だと思うが。

 

「呪術師って一族代々みたいなのが多くてね。

 僕の五条家も一応そうだし。

 強い血が何処も欲しいのさ。」

 

「そういうの、先生嫌いじゃ無いんですか?」

 

 この人、そういう政治的な話嫌いな筈だよな。

 

「うん、けど面白そうだからマトモそうな家の奴だけ持ってきた。

 上は30から下はなんと12才まで揃えました!」

 

「12とか犯罪じゃねぇか!」

 

 12の子供をお見合いに出すとか何時の時代だよマジで何考えてんだマジで。

 

「向こうも上手く行けばいいや位だし、気になった子いたら教えてね!

 後、世話人は僕に任せてね!

 じゃ!」

 

「待てや!」

 

 本気の白閃で蹴り飛ばそうとしたら、既にいない。

 何時か必ず倒してやる。

 お見合い写真に関しては捨てようかと思ったが、流石にそれは忍びないというか多分捨てても、あのクソ馬鹿が新しい奴を増量して持ってくる未来しか見えない。

 

(…はあぁぁ。)

 

 ため息しか出ねぇ。

 

 

 

 

 

 

 




五条先生もちゃんと正の呪力について把握している話と領域展開とお見合いな話。

五条先生に関しては、当然把握しているだろうという信頼。

主人公の領域展開については、既に決まっています。

お見合いに関しては、まあ一般人であの強さなら狙うよね。

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