バフデバフ   作:ボリビア

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今回、ちょっと頭回ってないです。

たまに誤字修正である台詞の終わりの句読点が「ー」に修正されますが、なにあれ?



悪癖の使い方

 嵐が過ぎ去った後、釘崎主導で話し合いが俺の部屋で行われる事になった。

 というのも伏黒は家入先生送りだし、真希先輩は心がショートして使い物にならない。

 

「真依にキスされたってマジ?」

 

「明太子。」

 

「頬ですけどね。」

 

 パンダ先輩と棘先輩に何が起きたか説明しつつ、チラリと真希先輩を見る。

 

「ハァ…」

 

 部屋の端で重い溜め息を吐く加湿器になっている。

 隣に座る釘崎が何とか励まそうとするが、理由が理由の為に中々言葉が出ない。

 仲違いしている実の妹が後輩の頬にキスして去っていたのだ。

 頭の中滅茶苦茶になるに決まっている。

 

「で、心当たりあんの?」

 

「それが無いんですよねー。」

 

 パンダ先輩の質問で改めて考えるが、真依先輩にアプローチかけられる理由が無い。

 唯一接点のある京都での歓迎会も東堂によってぶち壊されたし、その次の日には京都校ぶっ壊して即停学&出禁だし。

 好かれる様な行動を一切取ってないし関わりも殆ど無い。

 

「嫌われているか、東堂と同じ扱いされてると思ってたんですけどね。」

 

「それ意味一緒じゃん。」

 

 確かに。

 

「学校の敷地の1/5破壊した人間を好きになる女の子、どんな子?

 はい、棘先輩。」

 

「ちりめんじゃこ、キムチ、なめたけ。」

 

「座布団一枚!」

 

 男三人で色々考えるが答えが出ない。

 

「案外、マジで惚れてたりしてな。」

 

 それはそれで面倒臭い。 

 

「それは無いわね。」

 

 パンダ先輩の考えを真希先輩を慰めようと四苦八苦してた釘崎が否定する。

 

「根拠は?」

 

「女の勘。」

 

 田舎の雌猿の勘か…いやでも野生動物って勘が鋭いし当たっているかもしれない。

 となると、やはり実家からの命令だろうか。

 もしくは、姉妹仲が悪いので真希先輩への嫌がらせ目的かもしれない。

 あるいは、両方ともという事もあり得る。

 

「……多分、糞実家のせいだろ。

 入学早々に東堂を倒した轟の術式が欲しいって所か。」

 

 感情の整理がついたのか、真希先輩が重い口を開く。

 真希先輩曰く糞実家とは禪院家の事だ。

 先輩の説明は前に五条先生が持ち出してきたお見合い写真と一緒だ。

 禪院家の場合、五条先生にお見合い写真を送っても俺のもとまで届く筈がない。

 というか、そんなことせずに姉妹校とはいえ同世代に禪院家の人間がいるからアプローチさせれば良いという訳だ。

 

「御三家とも在ろう家がそういうことします?

 確か、相伝の術式とかあるんですよね?」

 

 そういう古い家系とかは代々伝わる術式とかを大事にする筈だ。

 いくら俺の術式が強かろうと、そこまで積極的に動くとは思えないし、寧ろ『歴史もない新参者の術式など認めん!』とか思ってそうだけど。

 

「相伝って言っても要するに、先祖が持ってた強い術式って事だからな。

 お前の術式継いだ禪院の人間が生まれれば、新しい相伝の術式になる。

 相伝と言ってもその程度だよ。」

 

 なるほど。

 そう言えば加茂先輩も『強いから名を残して来れた。』て言ってたな。

 身内だけで、子供作ってたらヤバイし定期的に強い術師の血を取り込んでるという意味でもあるのか。

 

「事情の推測がつきましたけど、どうすれば良いんですかね。」

 

 只の個人的な恋愛なら、当人同士の話し合いで終わるが背景がある分考える必要がある。

 特に真依先輩は失敗したら何があるか分からないし、真希先輩としてもそれは避けたい筈。

 俺的には、純粋な恋愛の方が面倒だったりする。

 まあ、真希先輩をエロくしたら真依先輩だから、そういう意味では不満はない。

 

「でも、この話って轟から見れば悪くないよな。

 この業界、御三家の後ろ楯って大きいし。」

 

 確かにパンダ先輩の言うとおり、呪術師としてやっていくには御三家の力が有れば安泰だろうが、正直そんなものどうでも良いからメリットはそんなに無い。

 寧ろ、嫌がらせをしてくれれば襲撃する理由になるし。

 

「おかか、いくら、筋子。」

 

 あーなるほど、術式を持たない子供や相伝の術式か俺の術式を継いでない子供が生まれると面倒な事になるのか。

 つまり、仮に受け入れたら暫くは安泰だけど、子供ガチャの結果で面倒くさい事になると。

 

「真希先輩、現役の禪院家って五条先生並みに強い人いるんですか?」

 

「いたら、あのバカが幅を効かせられる筈がねえ。」

 

 なら、最悪暴力で解決出来る訳だ。

 仮に戦うとなれば禪院家の秘術とか味わえそうだし、もしかしたら隠れ五条先生並みの実力者がいるかも知れない。

 そう考えると真依先輩と付き合って、何か嫌味とか真依先輩への悪口を禪院家の人間が言ってくれば攻め込む理由になるな。

 いやでも陰気な奴らが多そうだし断った方が後に嫌がらせされたら難癖つけて乗り込めるか?

 

(となると、どっちでも良いな。)

 

「結局、サンドバッグが増えるかどうか何だよな…」

 

「いや、その理屈はおかしい。」

 

「おかか。」

 

「私は反対よ。

 血が欲しいって要するに、子供寄越せって事じゃない。

 人を道具扱いも許せないし、あんたが私より先に恋人出来るのがムカつく。」

 

「どっちも本心なのは分かるけど、後半隠せよ。」

 

 強い意思を持って釘崎が反対だと声を挙げるが、後半の醜い本音のせいで色々と台無しである。

 

(…取り敢えず俺としては、どうでも良いと結論付けたし、真依先輩側を考えてみるか。)

 

 バッサリ切り捨てても良いが、先輩の妹でもある。

 真希先輩と真依先輩の確執はあの後流れで軽く聞いたが、元々二人は術式無しで立場が低く女性であり未来は暗かった。

 しかし、真希先輩は天与呪縛による強さがあったのと性格上の関係から禪院家に喧嘩売って呪術師になった。

 

「真依先輩って何で呪術師目指してるんですか?」

 

「……実家の当て付けだよ、私が当主になるって啖呵切ったから巻き込まれた。」

 

(へー、かわいそ。)

 

「なら、取り敢えず連絡くらいは取り合いますよ。

 そうすれば、実家からの干渉も減るでしょ。」

 

 真希先輩の妹だし、あの銃捌きは気に入った。

 強さは期待できないが面白い技術が見られるかもしれない。

 

「…悪い感謝する。」

 

「彼氏彼女の関係になったら、教えますねー。」

 

 取り敢えず、貰ったアドレスを登録した旨をメールする。

 東堂は着信拒否の番号と迷惑メールアドレスとして登録しておこう。

 そして、京都校襲来の一件から二週間後、五条先生からの連絡で虎杖の面倒を見る事になった。

 五条先生曰く、『悠仁はね結構面白い戦い方するよ。』とのこと。

 

(確かに面白いが…。)

 

 取り敢えず虎杖をボコボコにした感想としては面白いけど期待外れ。

 伏黒から聞いていた通りの異常な身体能力はすごいと思う。

 頑丈で瞬発力もあり、素の状態で既に並みの術師を越える戦闘力を有しており虎杖の少ない呪力で術師としての打撃が成立している。

 流す呪力が少ない為、攻撃が読みにくく、本人の格闘センスもあって非常に戦い辛い。

 

(ここまでは、良い。

 問題はこの『逕庭拳』。)

 

 虎杖の異常な身体能力に呪力が付いてこれず、打撃の後に時間差で呪力が衝突する技…らしい。

 確かに、時間差で来る呪力は厄介だが慣れればどうと言う事ない。

 

「起きろ、虎杖。」

 

 取り敢えず、ノビている虎杖を蹴り起こす。

 

「ファっ!?

 悪い、また寝てた。

 でもモーチョット優しく起こしてくれない?」

 

「虎杖、お前の技になってる逕庭拳、確かに面白い技だ。

 けどこれしか打てないのは大問題だ。

 何故か分かるか。」

 

「……慣れるから?

 轟も驚いてたのは最初だけだし。」

 

「そうだ。

 こいつは、厄介だが仕組みが分かれば威力が分散する欠陥技だと誰もが気付く。」

 

 通常、呪力と打撃はほぼ同時に対象にぶつかる。

 同時に二つの力が来るのと、遅れて二発目が飛んでくるのではダメージの伝わり方が違う。

 

「防御力の低い、一級以下のカス呪霊ならまあ通じるだろうけど特級には絶対届かない。

 いいか虎杖、逕庭拳は奇策として使うのがベストだ。

 通常の打撃の最中に逕庭拳を放つ事で、相手を混乱させてテンポを乱す程度の役割が精々だ。

 それをお前はメインウェポンとして使ってる訳だ。

 つまり、今のお前は変態的に弱い。」

 

 虎杖の今の状況は初見プレイのバイオハザードでナイフ縛りしているようなものだ。

 端から見れば変態である。

 

「じゃあ、どうやって呪力と打撃を合わせんの?

 打撃を呪力に合わせて遅らせるとか?」

 

「呪力の使い方変えるだけで済むだろ。」

 

 何言ってるんだコイツ?

 

「お前は、初心者だから腹から呪力を流しているよな。

 腹から流す呪力が拳に間に合わないから逕庭拳になるわけだ。

 腹からだと遅れるなら、腕から呪力を流せば良い。

 そもそも、腹から呪力出す決まりなんてないからな。」

 

 腸が煮えくり返るとか、感情と胃が密接に関係してるから説明しやすくするために腹から呪力を流せと教わるが、教科書レベルの説明で実践で使わないし。

 

「……腹からじゃなくて、腕からか。

 …よし、何となくわかった。」

 

「じゃあ、訓練に戻るか。

 詳しい事は五条先生に質問しろ。

 時間まで殴る蹴るのスパーリングだ。

 取り敢えず、普通の打撃と逕庭拳を組み合わせるのがお前の課題だ。」

 

 虎杖の身体能力の1.5倍に合わせてのスパーリング。

 頭を使わなきゃ確実に負ける強さで追い詰めて、頭を使わせ続ける。

 頭を使えなきゃ、家入先生送りである。

 

「言っとくけど、俺から見るとまだまだ欠点だらけだからな。」

 

「おう、ありがとな。」

 

 この日、虎杖は5回気絶して三回家入先生の元へ担ぎ込まれ、通常の攻撃と逕庭拳を使い分ける事が出来る様になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前半が真依先輩問題解決編。
メル友になりました。
後半の虎杖ボコボコ編で、虎杖は普通の打撃と逕庭拳を組み合わせる様になりました。

格闘戦苦手なんじゃあ。

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