バフデバフ   作:ボリビア

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滑り込み…!


何も無い一日

 結局、虎杖は黒閃を打つ事なく五条先生の斡旋した任務へと出発していった。

 スライム、けん玉、カスタネット、縄跳び、マラカス、コーラ缶、タコ紐、psp、クレジットカード、小銭やお札等々の財布の中や適当に買ってきた玩具等が虎杖のトラウマとして刻まれた位だ。

 映画鑑賞の時に差し入れでコーラ缶渡した時にビクッと震えてて面白かった。

 因みに伏黒や釘崎にも試した後のある日、東京で遊んだときに財布を取り出したら二人に身構えられた。

 

「何か二人とも人を全身凶器だと思ってない?

 流石に訓練の時だけだよ。」

 

「お前この前の任務の時にトランプ使ってただろ。」

 

「ああ、あれは雑魚だったから。」

 

「「チッ。」」

 

 何に苛ついてるのか知らないが、多分カルシウムが足りてないのだろう。

 あ、次は牛乳の紙パックにしようかな。

 

「次、何使おうかな…」

 

「普通の武器使いなさいよ。」

 

「普通の武器とかつまんないし、けん玉とか普通に使えそうな玩具って武具と変わんないしで、かといって使い道完全に分かんないのは持って握るだけだし悩むよね。」

 

「お前、それと戦う側の事考えろよ。」

 

「実力差って残酷だよね。」

 

 無言で脛を同時に蹴ってくるが、術式使ってるので痛くないでーす。

 

「で、三人とも暇だから東京に出てきた訳だけど何する?」

 

 たまたま、全員休日だったのでたまには三人で遊ぶかとなり東京へ降りてきたが、俺は玩具の調達出来ればラッキー程度、伏黒はそもそも休む気満々だったのを二人で連れ出したから目的がない。

 東京とは目的が無ければ無駄に人が多いだけの鬱陶しい場所だと今日理解した。

 提案しようにも、昔から呪霊狩りに勤しんでいたので、皆で遊ぶとか分からないし。

 こういう時、虎杖がいれば色々提案してくれるのだが生憎死んでいる。

 大事な時に死にやがって、あの野郎。

 

「どっか食べいくって言っても、旨い食べ物とか流行りの食い物は大体五条先生の奢りで食ってるし。

 ここら辺のラーメン大体食っちゃったしな。」

 

「お前、休日にそんなことしてんのか。」

 

 休日は大体ラーメンの食べ歩きをしている。

 術式による内臓の強化練習を兼ねて試してみたのが始まりで、元々好きなのもあって休日の度に5食位食べていたら大体のラーメン屋は制覇したと思う。

 後は材料工学とか物理学とか科学の本読んだり、格闘系の動画見る位である。

 

「私も最近、買い物しすぎてお金ないのよねー。」

 

「……」

 

 俺達の言い分に『じゃあ何で俺を引っ張り出した。』と言わんばかりに伏黒が顔をしかめる。

 そりゃあ暇だからよ。

 にしても、何をしようか。

 玩具屋回っても良いけど、二人にネタバレになってしまうのはつまらない。

 

「ラブホ街で昼間から入ろうとしてる人が不倫か当てるゲームとか?」

 

「一人でやってろ。」

 

「あ、そういえば東京の何処かに水族館あるらしいわね。」

 

「あー、何か駅にあるとかなんとか。」

 

 確か、品川駅のすぐそばに出来たとかで数年前に話題になった筈。

 というか、意外と水族館あるらしいね東京。

 

「じゃあ、そこ取り敢えず行くか。」

 

 と言うわけで、三人で品川駅の水族館に向かった。

 

「まじで目と鼻の先にあるのな。」

 

「さ、入りましょ!

 私考えたら水族館初めてなのよね。」

 

 一人、早足でチケット売り場に向かう野猿は水族館初めてらしい。

 

「食べちゃダメだぞー」

 

「流石に無いだろ。」

 

 ツッコミ所違う気がするぞ伏黒。

 テンション高めな釘崎についていき、チケットを買って中に入る。

 適当に各自で見て回るが、俺は十分で飽きた。

 幻想的な演出をしたいのか全体的に暗いし、明かりは紫とかピンクの光でボヤッしてる。

 それと割りと致命的なのが、俺は小さい生き物に興味ないのだ。

 2階はチンアナゴとかの小さい海の生物が売りなのだが、俺は食えそうに無いなとしか思わなかった。

 後は蠅頭が水槽の中にいる事だろう。

 魚を鑑賞してるとたまに視界に入ってくるし、祓おうにも水槽の中なので少し面倒臭い。

 後、地味に顔が魚ぽいのがムカつく。

 

(後で高専に報告しとこ。)

 

 蠅頭しかいないから無視されるだろうけど。

 意外にも伏黒は落ち着いた雰囲気が好みに合っているのか、ジーっとチンアナゴを眺めていた。

 釘崎は全てが珍しいらしく、あっちこっち見て回ってた。

 

(あ、真依先輩にメールしとこ。)

 

 そう言えば、最近してない事を思い出して『水族館なうです。』とチンアナゴの写真付でメールする。

 下でフランクフルトとコーラ買っているとメールが来ていたので適当な所に腰かけて返信する。

 

『そこ、品川のホテルの?』

 

『そうですよ。

 一年全員暇なので暇潰しに。』

 

『仲良いのね。

 後、そこはデートスポットよ?』

 

『ああ、だから暗くて照明がピンク系なんですね。

 酒も売ってるしホテル近いし。』

 

 館内飲食オッケーで酒も飲めるのは珍しいと思っていたが、やはりそういう意図があるのだろうか。

 

『ちょっと下品よ。』

 

『入って直ぐに飽きて暇なんですよ。』

 

「げ、出涸らしとメールしてる。」

 

 急に画面に影が差したと思ったら、釘崎が覗き込んできた。

 マナーを知らないのか。

 ああ、山にマナーとかないのか。

 

「出涸らしに負けた癖に何言ってんだ。」

 

「次は勝つから良いのよ。」

 

 出涸らし発言に関してはスルーしとく。

 真依先輩への敵意は釘崎のやる気の動力源の一部でもあるし、ここで真依先輩の肩を持って忠告すると絶対面倒な気がする。

 真依先輩の実力は知らないが、今の釘崎なら正面から来る弾丸に対して被弾はするが体を捻って致命傷を避ける位は出来るだろう。

 拳銃の弾丸って割りと遅いし。

 ライフルなら知らん。

 

「というか、もういいのか?」

 

「見飽きたわ、イルカショーとか無いのねここ。」

 

 有るわけ無いだろ。

 

『野猿が来たのでまた今度。』

 

『引っ掛かれないように気を付けてね。

 交流会の後に会いましょう。』

 

 そういえば、そろそろ交流会か。

 五条先生は虎杖を交流会で復帰させる予定らしいが、どうやって登場させるのだろう。

 まあ、あの人の事だからろくな事しないだろうけど。

 真依先輩にメールを返して立ち上がる。

 伏黒を探す為に術式で音響を利用して軽く一階を知覚したが、特徴的なツンツン頭は居なかった。

 どうやら二階でまだチンアナゴを見ているらしい。

 

「伏黒探して出ようか。

 何か明るい所行きたい。」

 

「地味に蠅頭うざいし賛成。」

 

 二階に向かうと、伏黒はやはりチンアナゴをボーッと見ていた。

 よほど、気に入ったのだろう。

 

「伏黒~そろそろ行こうぜ。」

 

「…おう。」

 

 肩を叩いて呼び掛けると、一瞬ピクッとしてチンアナゴから視線をはずした。

 

「何が良いのチンアナゴの?」

 

「別に、落ち着いたのが好きなんだよ。」

 

 まあ、伏黒は術式も影だしそういうの好きなんだろう。

 水族館を出て日に当たる。

 暗い所から出てきた時の日の光はより強く、激しく感じるのは錯覚だろうが心地良い。

 

「で、次何処行くか。」

 

 まだ時計は天辺に登ったばかり、これだけで高専に戻るのは流石に勿体ない。

 

「腹へった。

 轟、ラーメン詳しいんだろ。」

 

「良いわね。

 塩の気分よ私は。」

 

「品川ならアソコかな~。」

 

 適当にラーメン食べた後、結局何処に行くか決まらずに街をブラブラしつつ高専に戻る事になった。

 

「あ、眼鏡買わない?

 呪霊対策の奴。」

 

 呪霊は自分を知覚出来る存在に対して積極的に害をなそうとするので、術師や補助員は眼鏡を付けている場合が多い。

 目的としては利に叶ってるし。

 

「似合わないからパス。」

 

「伊達眼鏡でお洒落は安いしアリね。」

 

 という事で2:1で眼鏡屋に行く事になった。

 東京の良いところは眼鏡に限らず、デカイ専門店が確実にある事である。

 眼鏡クラスの知名度があると、複数のデカイ専門店があり適当にスマホで調べて近場のおしゃれ眼鏡が置いてある店に向かう。

 最初はちゃんとした場所に行こうかと思ったが全員視力は悪くないし、俺はどうにでも出来るので釘崎の意向でお洒落重視になった。

 そして、一つ分かったのが伏黒は眼鏡が似合わなかった。

 顔に眼鏡が負けるのだ。

 

「はえームカつく。

 眼鏡が勝つまで顔面殴って良い?」

 

「良い訳ねぇだろ。」

 

「私はどう?」

 

 釘崎が掛けているのは、濃い赤色のナイロールタイプと呼ばれる下半分に縁がついていない眼鏡だ。

 悔しいが釘崎の茶髪の髪と良くあっている。

 

「悔しいが良いんじゃないか。」

 

「…あんたが褒めるなんて珍しいわね。

 良いわ、これ買ってくる。」

 

 俺は濃い緑のスクエア型の緑色の眼鏡を掛けてみた。

 

「どうよ、伏黒。」

 

「…変じゃないから良いんじゃないか。」

 

 テンプルの部分に黄色ラインが三本走っているのが気に入ったし、変じゃないなら買うか。

 

「後は伏黒だけだな。

 至難の技だがベスト眼鏡がある筈!」

 

「なら、勝負よ轟。

 負けた方が晩飯奢りよ!」

 

 晩飯の奢りをかけた伏黒の眼鏡を決める熾烈な戦いは、しびれを切らした伏黒が店員におすすめを聞いた事で引き分けに終わった。

 流石に店員には勝てなかったよ…。

 因みに次の訓練の武器は水鉄砲になった。

 水は万能溶液であり、釘崎はジャージを一つ廃棄した。

 

 

 




次から交流会の予定。

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