バフデバフ   作:ボリビア

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PSPに関しては何かネットでネタがあるじゃろ?
カスタネットは多分挟んでる。


合流な交流会と

 最近は傘にはまっている。

 というのも、傘は強度の問題さえ無視出来れば片手武器としては中々優秀だと思うのだ。

 尖端を尖らせれば槍として扱えるし、凪ぎ払いも可能で展開すれば盾にも使える。

 後は芯を改造して銃にすれば遠距離も可能だ。

 ソウルシルバーな漫画でも使ってるキャラいたし有りかもしれない。

 

「どう思います、七海さん。」

 

「普通に戦いなさい。」

 

「でも、仕込み銃とか仕込み刀って憧れません?」

 

「まあ、奇襲としての価値と携帯性という意味ではあるでしょう。」

 

 傘なら晴れの日に持っていても『日傘男子』で済む話だし。

 

「で、何か分かりましたか。」

 

「うーん、微妙ですね。

 既に治療済みというのもあって表面上の違いは無いですし、魂の観測というのもフワッとしてるんで。

 ていうか話聞くにそもそもガード出来ちゃってるから難しいですね。」

 

(改めて観察するとスゲー筋肉、まさに鋼だな。)

 

 俺は今、七海さんの脇腹を見ている。

 虎杖が派遣された任務の担当が七海さんで、事件の黒幕に『魂に干渉する術式』を持った継ぎ接ぎ姿の特級呪霊が現れたらしい。

 そして事件の過程で、継ぎ接ぎと交戦し術式を一度防いだらしく、その時に継ぎ接ぎ呪霊曰く『無意識の内に呪力で魂を覆っている』と溢した事から、事件後に報告を確認した五条先生が俺に傷口の分析を依頼したという訳だ。

 因みに五条先生は虎杖とサプライズの準備のため、この場にいない。

 

(傷口は単純に流し込まれた呪力を防いだときの呪力同士の衝突によるものだし、手掛かりは無い。

 けど、魂なる存在があるのは面白い。

 しかも呪力で覆えるなら、仮に俺が自分の魂を知覚した場合、術式を施せるかも知れない。)

 

 自分の魂に術式を施してどういう効果があるか分からないが面白そうだし、意識して呪力を纏うことが出来れば継ぎ接ぎへの有効な対策になる。

 五条先生としてはそれを見込んで俺に頼んだのだろう。

 

「時間かければ何か見えそうですけど、取り敢えず今は無理ですね。

 後で家入先生のところで改造されちゃった人間見て、それでもダメなら別の手段があるのでそっち頼ってみます。」

 

 もう一つの手段とは釘崎の『共鳴り』だ。

 肉体の核を守った上で衝撃を与えてきたカラクリは俺の魂を打ち抜いたと考えれば納得が行く。

 魂の存在という前提で『共鳴り』を喰らえば分析出来るかもしれない。

 

「分かりました。

 結果は五条先輩か私に直接お願いします。」

 

「そういえば、虎杖が大分逞しくなってるけど何かありました?」

 

「……そういうのは本人の口から話すべきでしょう。」

 

 なるほど、大分重い経験をしたみたいだ。

 報告書を見る限り、大分善戦したみたいだし後は宿儺の術式が刻まれれば収穫時かもしれない。

 七海さんと別れて校舎を出る。

 本当は家入先生の所に向かいたいが、今日は交流会一日目なので指定された集合場所へと向かう。

 今回は範囲内なら土地をいくら壊しても許されるので派手にやりたいが、京都校で楽しめそうなのは東堂しかいないのが残念だ。

 

(京都も東京も関係なく全員襲おうかな?)

 

 集合場所の神社の境内ぽい所に向かうと釘崎以外の面子は揃っていた。

 

「お疲れ様でーす。」

 

「よお轟。

 後は野薔薇だけか。」

 

 真希先輩の言葉で釘崎の事を思い出す。

 そういえば、奴は交流会を京都でやると勘違いしている。

 真希先輩や伏黒との会話が噛み合って無い姿が面白くて、わざと勘違いしたままになるように会話を合わせたがまだ気付いて無いのだろうか。

 

「なっ、何で皆手ぶらなのー!?」

 

 とか噂をしていると、荷物を持った釘崎がやってきた。

 

「ブフッ。」

 

 驚く声が聞こえた瞬間に吹き出しそうになる。

 駄目だ、耐えろ。

 パンダ先輩の後ろに回って指を噛んで笑いを堪える。

 

「京都で姉妹校交流会って…」

 

「いや、京都の姉妹校と交流会な。

 東京で。」

 

「道理で最近噛み合わないわけだ。」

 

「ですね。」

 

(wwwwwwwww…!

 駄目だ、もう無理…!)

 

「去年勝った方の学校でやるんだよ。」

 

「勝ってんじゃねーよ!

 アホが!」

 

「アッハハハッハ!

 もう無理、あーお腹いたいwww

 駄目だ、笑いすぎて立てねぇ!」

 

 あまりの滑稽さに腹が痛くなるほど笑いが溢れてくる。

 改めて釘崎の姿を見ると、手にはスーツケースとカバンを持っており、カバンからは京都の観光名所か何かのパンフレットがはみ出ている。

 

「テメェ!

 知ってて黙ってやがったな!」

 

「だって、余りにも……駄目だ、見てるだけで笑える……!」

 

 俺の腹を押さえて大笑いしている姿と過去の言動を思い出して、俺がわざと放置した事に気付いたらしい。

 怒り心頭でカバンを投げつけてくるが、もう全てが滑稽なのでそれすら笑えてくる。

 周りが呆れた視線を向けてくるが笑いが止まらない。

 

「はぁ、お前らそこまでにしとけ。

 来たぜ。」

 

 真希先輩に言われて視線を向けると、京都校の面々が階段を登ってきた所だった。

 

「こんにちは轟君。

 ……お腹痛いの?」

 

「あっ、お久しぶりです。

 いやこれは後で話します……w」

 

 俺が腹を抱えている姿を腹痛と心配してくれたらしい、真依先輩。

 流石に勘違いが広がるとアレなので笑いを収めた。

 にしても、京都校の面子は歓迎会の時と変わってない。

 刀持った男の趣味が悪い三輪先輩に、ロボットなメカ丸先輩、魔女っ子ピアスな西宮先輩や多分一番まともな加茂先輩と一番頭のおかしい東堂の全6人。

 

「ブラザーだけで、乙骨いねぇじゃん。」

 

「轟はともかくとしテ、一年二人はハンデが過ぎないカ。」

 

「呪術師に年は関係ない、特に伏黒君は禪院家の血筋の人間だ。

 宗家より余程出来が良い。」

 

「チッ。」

 

 加茂先輩の発言に真依先輩が舌打ちをする。

 まともだと思っていたが、普通に加茂先輩もポンコツみたいだ。

 

「うるせぇ、早く菓子折り出せコラ。

 八つ橋、くずきり、そばうち。」

 

「しゃけ。」

 

「怖……」

 

 そりゃあ、さっきまで京都行けると思ってたら笑われてご機嫌最悪だもんね。

 というか、色物枠といい何でこうも被ってるかね。

 

「はーい、内輪で喧嘩しない。

 全くこの子達は……げっ、轟。」

 

 京都校の面子の後ろから引率の教師と思われる袴姿の女性と京都校の学長が現れる。

 ていうか、初対面の人間に対して反応酷くない?

 

「何で、京都の担任に嫌われてるんですかね。」

 

「学校ぶっ壊したからだろ。

 学長もガン見してんじゃん。」

 

 確かに。

 パンダ先輩に言われて学長に目を向けると、バッチリ目が合ったので会釈をすると視線を逸らされた。

 

「で、あのバカは?」

 

 京都の引率は俺を視界から外して此方に質問してくる。

 バカとは五条先生だろう。

 年が近そうだし、多分学生時代から迷惑被ってそう。

 ちなみに、バカは虎杖のサプライズ計画の為に遅刻だ。

 真希先輩達が遅刻の旨を伝えていると、台車を押しながら五条先生(バカ)が現れた。

 

「はいはーい、お待たせー!

 やあやあ皆さんお揃いで、私海外に出張に行ってましてね」

 

 急に語り始めた五条先生は京都校の面々に向かって良く分からない部族の御守りを配っていく。

 

「あ、歌姫のはないよ。」 

 

「いらねぇよ!!」

 

 あ、歌姫って言うんだあの人。

 

「そして、東京校の皆にはコチラ!!

 故人の虎杖悠仁君でぇーっす!」

 

「はい!!

 おっぱっぴー!!」

 

「「…………。」」

 

(うわぁ。)

 

 東京校側の空気、特に伏黒と釘崎の空気が死んだ。

 そりゃあ、死を無駄にしないために目茶苦茶特訓してたのに、死んだ本人がふざけたサプライズを仕掛けて来たのだ。

 リアクション取る方が難しい。

 京都校はそもそも、虎杖を知らないので関心が薄いしお土産に夢中だ。

 これを受けると思った虎杖が悪い。

 

「宿儺の器!?

 どういうことだ…」

 

 唯一派手に驚いているのは、京都の学長だった。

 五条先生の狙いどおりの反応らしく、空気が死んだ生徒達を放置して嬉々としてからかいに行ってるが京都の学長は目茶苦茶ぶちギレている。

 

(というか最初からターゲットは京都の学長みたいだな。)

 

 そんな光景を尻目に、予想外に受けが悪くて固まってる虎杖に近付いていく釘崎と伏黒。

 釘崎の目には涙が溜まっている。

 どうやら、釘崎の性格上そういうネタは好きではないらしい、というか事情があるとはいえ生きてた事黙っている方が悪いし当然か。

 

「おい、何か言うことあんだろ…」

 

 虎杖がちらりと此方に助けを求めてくるが、視線をそらして無視する。

 生きている事を知っていたと釘崎にバレるだろうバカ野郎。

 

「生きてる事黙っててごめんなさい。」

 

 こうして仲直りが果たされて、虎杖が東京校の面子に合流した。

 その後、夜蛾学長が五条先生を仕置きしながら団体戦のルール説明がされた。

 ルールは簡単で敷地内に放たれた二級呪霊を祓った方が勝ち、それ以外のルールは特に無く、殺しや再起不能にさせなきゃ何しても良い。

 野蛮だがクィディッチよりましだろう。

 

(ん?

 ……というか。)

 

「虎杖入ったら俺達人数多くね?」

 

「「あ」」

 

 俺の疑問に夜蛾学長と五条先生の声が重なる。

 どうやら二人とも頭から抜けていたらしい。

 

「虎杖もう一度死になさい。」

 

「えぇ!?

 俺も出たい!」

 

 さっきの涙は何処へやら虎杖に死ねと言う釘崎を尻目に少し考える。

 

(俺の相手になるのは、多分東堂位だし。

 でなくていっか。)

 

「じゃ、俺不参加で。

 そうすれば、多分戦力差良い感じでしょ。」

 

 虎杖も結構強くなったし、肉弾戦主体だから作戦への支障はない。

 まあ元々作戦とかあんまりないけど。

 

「何故だブラザー!

 俺との交流の機会を減らすのか!!」

 

「個人戦で良いじゃん。」

 

 東堂が喚くが適当に聞き流しておく。

 

「本人がああ言ってますがどうしますか。」

 

「構わん、東堂とやり合えば敷地が崩れるかも知れんしの。」

 

「分かりました。

 では轟は個人戦からの参加とする。

 団体戦は12時からとする!

 以上、解散!」

 

 というわけで、団体戦に不参加が認められた。

 東堂が泣いてるが知らん。

 まあ、今度握手会付き合ってやるか。

 

「轟、お前が虎杖の面倒見てたならどれくらい強いか知ってるだろ。」

 

 待機場所として用意された部屋で作戦会議が行われた。

 虎杖は葬式で使われる黒い額縁を持ったまま正座させられている。

 既に死んでいた事にされていた事情は本人から説明されてついでに、俺が関わっているのも説明された。

 ちなみに説明されてから釘崎が無視してくる。

 

「術式は無しですけど、肉弾戦なら多分一番じゃないですかね。(俺を除く。)

 俺の代わりに東堂にぶつけるのは悪くないと思います。」

 

 本来の作戦は一人で突っ込んでくるであろう東堂を俺が処理する作戦だが、虎杖なら長時間の足止めが精々だろう。

 術式無しなら多分東堂に勝てるかも知れないが、アイツが術式使ったら普通に負ける。

 

「なら、虎杖を東堂担当に据えて作戦通り行くぞ。」

 

「東堂って誰?

 強いの?」

 

「京都校で別格に強い。

 倒せれば勝ち確定だからがんばれ。」

 

 肝心の虎杖が東堂の事を知らないが多分大丈夫だろう。

 戦闘センスは悪くないし。

 一応、東堂の術式は俺から誰にも教えてない。

 フェアじゃないのと知ってしまうと皆が必死になれないだろうという優しさだ。

 

「じゃ、審判部屋に俺行きますね。

 健闘を祈ります。」

 

 部屋を出て、先生達が待機している審判部屋へと向かう。

 

(そういえば試合中の監視は誰がやるんだろうか、カメラとか仕掛けられてんのかな?)

 

 そこそこ広大で建物と林がある敷地で生徒を監視するのは、骨が折れると思うが。

 審判部屋へ向かうと、まだ先生達は来てないようで一人しか座っていなかった。

 

「うわ出たよ。」

 

「やあ、轟君。

 いつかの任務ぶりだね。」

 

「死ねファミコン守銭奴。」

 

 席に座っていたのは冥冥一級術師だった。

 この女は金が命というか、金しか信用しない女で何度か一緒に任務を受けた事があるが、この女は任務を利用して、別件として個人で受けた依頼に巻き込んで来たから嫌い。

 ぶっ壊せば済む案件なら良いのだが全て壊したら賠償がヤバイみたいな案件でイライラするのだ。

 おまけにクソ生意気なガキも連れてくるし。

 まあ、彼女が監視役として呼ばれる事は納得がいく。

 『黒鳥操術』と呼ばれる術式を持っており、カラスを支配下に置く事で視界を共有出来る。

 応用でカラスの視界を画面に写す事も出来るだろう。

 後は彼女は金の奴隷であり、中立だ。

 

「おや、今のは傷付いたな。

 慰謝料を請求したいよ。」

 

「事実だろうが…弟はどうした?

 クビか?」

 

「今回は必要無いからね。」

 

 冥冥にはくそ生意気な憂憂という弟という形の雇用関係の存在がいるが今日は連れてきていないらしい。

 とりあえず冥冥から離れたいので、一番離れた席に座って待っていると五条先生と歌姫先生が入ってきた。

 

「やっほ轟。

 ごめんね、交流会一日だけ参加させられなくて。」

 

「別に良いですよ。

 仮に参加してたとしても、東堂とやり合った後は多分棄権してますし。」

 

 もしくは、京都も東京も関係なく襲撃するかの二択だな。

 

「二日目はね好きなだけ暴れて良いから。

 もうジャンジャンやっちゃって。」

 

 始まるまで暇だな。

 

「はーい。

 そういえば俺、歌姫先生に初対面なのに、嫌われてるんですよねー」

 

「え、そうなのー?

 可愛そう、ちょっと~歌姫~教師としてどうなの~?」

 

 自分で振っといてアレだけどウザいな。

 歌姫先生はワナワナしだして、コチラを指差す。

 

「こっちの台詞よ!!

 いきなり東堂と喧嘩するだけなら未だしも、敷地ぶっ壊しやがって!!

 まだ復旧終わってないのよ!!

 どういう教育してんのよ!!」

 

 あ、まだ終わってないんだ。

 ていうか、正論過ぎて何も言えないや。

 

「そっちは天元とか居ないんだし、古くさい建物幾つか壊れただけじゃん。

 気にすんなよ歌姫。」

 

 確かに。

 京都はいくらぶっ壊しても金で解決するが、こっちだと話は別だ。

 

「あ、ん、た、ねー!!

 私は先輩なんだよっ!!!」

 

 なんて話をしていたら、学長二人も揃って開始の時間になった。

 

(開始の合図は五条先生がするらしいがこの人にマイクを握らせて大丈夫だろうか。)

 

 とか思っていると歌姫先生が無茶ぶり振られて真面目に答えている間にスタートの合図がされた。

 この人そういう星の元に生まれたんだな。

 というか学長二人が放置してる辺り、五条用に連れてきたんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




冥冥との因縁はざっくり言うと、高報酬で面倒くさい案件に何度か主人公を巻き込んだ。

復旧されてないのは、地面が液状化して地下施設おじゃんしたり建物が沈み混んだりしてるから。 

この主人公、釘崎に共鳴りを試してもらう話を完全に忘れて嗤ってるな…

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