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五条先生の音割れ開始合図と共に団体戦がスタートした。
両校共に二級呪霊が放たれている中心地へと向かい始める。
ちなみに、この時点で東堂は単独で動いている。
やはり呪霊をガン無視して東京校の生徒全員とやり合う気だ。
「いやー、始まりましたねー!
両者共に中心点へと向かい始めましたが、どう思います、解説の轟さん。」
「え、俺が解説なの?
まあいいや。
早速東堂が単独行動に出てますね。
恐らく一人で東京校を相手するつもりですよ。」
普通、俺が実況で解説が五条先生だと思うのだが。
貴方そっちのプロでしょ。
「オーっと!
早速東堂が東京校の前に現れましたが、速攻で悠仁が顔面に膝蹴り入れたー!
その隙に他のメンバーは離脱!!」
「東京校も京都の動きは折り込み済みでしたね。
メンバーで一番タフな虎杖が対応してます。」
にしても本当に迷いが無いな。
前の虎杖なら、タックルか何かで止めるだろうが躊躇無く顔面に膝蹴りとは。
余程、大切なナニカを任務で守れなかったらしい。
東堂は虎杖が対応している間に東京校は二手に別れて各自で森の中を進んでいる。
パンダ先輩と棘先輩と釘崎のチーム動物園と伏黒と真希先輩のチームブラック。
索敵出来るのが鼻が効くパンダ先輩と犬と鵺がいる伏黒だけだしこのチーム分けが最適だろう。
「東京校は2チームに別れて行動してますが、おや~?
京都校は中心地点を越えても全員で動いていますねー」
「可能性としては東堂の援護ですが、そんな事したら東堂を敵に回しますから、奇妙ですね。」
アイツなら全員敵に回しても構わないと思ってそうだし。
京都校は西宮先輩が空を飛べるので本来は上空からの索敵が出来る筈、広い索敵範囲を生かすなら散開して動いた方が良いと思うが。
で、東堂の方はというと、虎杖と絶賛殴りあっていた。
顔が笑っているからどうやら虎杖はお眼鏡に叶ったらしい。
眺めていると、二人と京都校を映す映像が途切れた。
(……雑すぎる。)
「へいへーい。
金もらってるなら、丁寧に仕事しろよ。」
「ふふ、動物は気まぐれだからね。
視覚を共有するのも疲れるし。」
嘘つけ、カラスの意識操るなんて朝飯前だろ。
だが、これで狙いが分かった。
どうやら、京都校は虎杖暗殺の為に動いてるらしい。
多分、京都の学長の指示だろう。
あの守銭奴にいくら払ったのやら。
(まあ東堂が虎杖気に入った時点で失敗するだろうけど。
というか今の虎杖を簡単に殺せると思っているのは節穴だな。)
成功すればラッキー位の指示なんだろうけど、生徒に殺しを命令するのはどうかと思う。
まあ、俺が京都の学長の立場なら虎杖殺すし、交流会なら事故死で処理される可能性も高いからチャンスではある。
(でもどんな作戦を立てるにしても東堂が邪魔すぎて成功率低いと思うけどなぁ。
実は子飼の特級呪霊がいるとかなら話は別か?
いや、でも東堂は特級祓った事あるみたいだし。)
多分、どんな作戦を立てようと東堂が虎杖を気に入った時点で破綻している。
再び虎杖達の画面が再び映るがそこに東堂以外の京都生はいない。
どうやら失敗したらしい。
チーム動物園とチームブラックも京都校の動きから虎杖暗殺を狙っていると判断して虎杖の元へと戻っていく。
あ、西宮先輩が伏黒の鵺で落とされた。
落ちた場所からして動物園が近い。
京都校は西宮先輩のフォローにメカ丸先輩と真依先輩が向かうみたいだ。
お、別れた直後にチームブラックが加茂先輩と三輪先輩を急襲した。
(組み合わせとしては、血筋対決と武人対決か。
動物園の方は色物対決と女の戦いか。
うーん、釘崎は真依先輩見つけられないと負けるなこれ。)
真依先輩の姿が見えないが恐らく西宮先輩のフォローに回ってる筈。
性格からして釘崎が止めを刺そうとした瞬間に横からズドンかな。
東京校も棘先輩が潜伏してるぽい。
「全員、呪霊ほったらかしって呪術師としてどうなんすかね?」
「青春だねー」
「ああもう、あの子達……」
笑って流す五条先生と呆れる歌姫先生。
どちらが教師として優れているかはともかく、人間性の差がはっきりと現れていた。
「ちなみに、轟はこっからどう展開すると思う?」
「全体で見ると両校とも伏兵が一人ずつですけど、真依先輩はフォローに回ってるので棘先輩が完全フリーで有利、しかし伏黒とパンダ先輩は階級で考えると格上と相対してますからその結果次第じゃないですか。
皆が本来のルール忘れてないならですけど。」
完全に潰し会う気満々なんだよな。
「おや、格上ならあの武具使いの子もそうじゃないか。」
「真希先輩は二級クラスはあるけど、実家がうるさい。」
自分が実家継ぐって宣言したせいで嫌がらせで四級らしいけど、実際は二級クラス以上の実力はあると思う。
実際に映像を見ていると、真希先輩と三輪先輩の戦いは一方的だ。
技術も手札の数も圧倒的に真希先輩が上。
三輪先輩も太刀筋から見て弱い訳ではない。
本来、森という不利なフィールドで大刀という長物を自由に振り回してる真希先輩が異常なのだ。
(三輪先輩が距離を取って居合いの構え。
あれがシン・陰流の簡易領域か。)
確か、シン・陰流の簡易領域は領域内に踏みいった存在を全自動で迎撃するって授業で習ったな。
得物の相性で考えれば、武器を弾いて二撃目で真希先輩を倒そうって魂胆か。
(甘いな。)
俺でも狙いは理解出来るのだから当然真希先輩も気付いている。
真希先輩は大刀のプロではない。
呪力が殆ど無いハンデと天与呪縛による身体能力を生かすためにあらゆる武具、武術を自分のモノにしている努力の人だ。
(多分、真依先輩が仲間に真面目に教えなかったな。)
あの人、真希先輩の事になると色々拗らしてるからな。
真希先輩の実力を正しく把握していれば一対一で戦う選択肢は取らないだろう。
案の定、真希先輩は大刀の持ち手を二つに叩き折って片方を太股の暗器と共に投げつけている。
(太股エロいね。)
簡易領域は全自動の迎撃、一つならともかく二個とも弾く時間を稼げれば、真希先輩なら間合いを詰める事が出来る。
そのままサクッと真希先輩は合気道で刀を太刀取りして三輪先輩の元から立ち去っていった。
刀を持ってない剣士はカス同然、真希先輩は新しい呪具手にいれて怪我も無しの完勝だ。
「さっさと二級に上げてやれば良いのに。
金に為らないしがらみは理解出来ないな。」
不服だけど、冥冥の言う通りだと思う。
まあ、仮に二級になれたとして当主になれるほどの実力かと言われれば少し疑問が残るが、それは本人が一番理解しているだろう。
真希先輩の戦い以外にも状況は進んでいる。
(色物対決はパンダ先輩の勝利。
血統対決は室内戦に移ったせいで見えない。
虎杖は……アイツ東堂に稽古つけてもらってない?
一番イレギュラーな奴等が一番交流会してるな。
釘崎は、まあ苦戦してるよな。)
釘崎は基本的に火力が高すぎて、今回の様な再起不能・殺し禁止とルールだとキツい。
『簪』も『共鳴り』も人体にぶちかます訳にはいかないから、空中で飛び回る西宮先輩を間接的に打ち落とさなくてはいけない。
(……狙うとしたら箒だな。)
釘崎は現在、西宮先輩が避けれるレベルの速さで釘を飛ばしている。
恐らく狙いは後ろの木、もう一回同じ所に来たら木を『簪』でへし折って隙が出来た所を狙うつもりだろう。
「野薔薇は結構良い動きするねー。」
「あれでも大分、手を抜いてますよ。
今回はルールのせいで大分制限かかってるので、殺しや再起不能ありなら今頃勝ってます。」
本来の釘崎なら今より数段速くて数多くの釘を放てる。
西宮先輩の本気は知らないが、今の速さなら余裕で打ち落として『簪』で粉砕出来る筈。
「ま、それは向こうも同じだよ。
あくまで交流会だし、本気は見せないでしょ。」
「まあそうですけど。
一番面白いのは虎杖と東堂が一番交流会してる事何ですよね。
あれ完全に稽古付けてますよ。」
ちょいちょい映像が途切れるから確実ではないが多分、東堂が虎杖に稽古つけている。
じゃなきゃ今頃虎杖倒されてる筈だし。
「気に入られたみたいだね。
学外の友人が出来てるなんて素晴らしいよ。
ねー楽巌寺学長!」
「………。」
うわ怒気がヤバイ。
京都側の狙いと反対の方向に進んだ上に五条先生から煽られて、踏んだり蹴ったり過ぎる。
歌姫先生も学長がキレてて何かアワアワしてる。
というか、この人は虎杖暗殺に関与してないのね。
とか何とか言ってる間に、釘崎が西宮先輩の箒の一部を手に入れた。
作戦通り木を倒して隙を突いたみたいだ。
釘崎の『共鳴り』が箒に対して発動して、コントロールが効かない西宮先輩が落下してくる。
あの人、箒を介して技を放ってたから、もう丸腰みたいなもんだろう。
釘崎と西宮先輩の戦いは釘崎の勝利だ。
(けどこれ団体戦だぞ釘崎。)
釘崎が止めを刺す為に金槌からピコハンに持ち代えて顔目掛けて殴るがアレでは流石に威力が低すぎる。
そして、二撃目を放とうとした時に釘崎が頭を殴られた様に吹っ飛びそのまま気絶した。
多分、真依先輩の狙撃だ。
やはり、釘崎は真依先輩が潜んでいる可能性を忘れていたか把握してなかったらしい。
そういうとこだぞ。
これで、カラスが捉えている戦いは全部終わった。
今映っているのは手ぶらで歩いている三輪先輩と稽古中の東堂と虎杖。
後は血統組が室内で戦っている建物を映す映像だけだ。
あ、電話にでた三輪先輩が気絶、いや寝てるな。
多分、棘先輩の呪言によるものだろう、誰かしらの携帯を奪ったぽい。
時間的にパンダ先輩がメカ丸先輩から回収して棘先輩に渡したのか。
「私ちょっと行ってくる。」
幸せそうに寝ている三輪先輩を見て、保護しようと歌姫先生。
まだ2体しか呪霊が祓われていない状況で、森の中で放置するの危険だから当然だろう。
「え?」
「いや、驚くところじゃないでしょ。」
何で教職の五条先生が驚いてんだよ。
「そうさな、三輪が心配じゃ。
はよう行ってやれ。」
学長の許可も降りて、審判室から歌姫先生が出ようとしたその瞬間。
全ての呪霊の札が赤く焼けた。
「……!?」
全員に動揺が走る。
呪霊の札は京都校の人間が祓えば青く、東京校の人間が祓えば赤く焼ける。
そして、真希先輩への配慮で未登録の存在が呪霊を祓っても赤く焼ける。
(つまり、イレギュラー!
狙いは虎杖か…?)
あの中で大胆な事をする意味は虎杖狙いしかない。
「特級なら俺が貰います。」
五条先生の許可を待たずに『神級』を発動させて審判室から一直線に試合会場まで走り出す。
(帳……!
呪詛師の可能性もあったか!)
帳が降り始めているが、まだ降りきるまでに余裕があり試合会場へと入れた。
(この濃密な呪力…!
確実に火山頭クラスの特級…!
最高だ…!!)
試合会場に入った瞬間に感じた濃い呪力。
燃えるような呪力でないため火山頭では無いが同等クラスの呪霊がいる筈だ。
最も呪力が濃い方向へと走り出す。
「俺の獲物だ……!
誰にも邪魔させない…!」
主人公、帳内部にいる呪詛師を知覚していますが己の欲望優先で動いています。
指摘があったのでここで説明しますが、作中に出てくるのは大刀ですが、中国の武器としての大刀です。